にこやかなお茶会
明後日って来るのが早いですわね……。
もう、お茶会の日ですわ。
行きたくない。
その、王太子様が待ってるって言う中庭に行きたくないですわ。
トボトボとなるべく時間をかけて歩こうとしたらお母様に手を引っ張られてしまいました。
わかりました。歩きます。行きますから。
あぁ、中庭だ。着いちゃいました。
薔薇が綺麗ですね。
うーーん。
「はじめまして。フリージア・ジェネラル譲。僕はシェレル・スターチェスです。これからよろしくお願いしますね」
中庭の中に入るのを躊躇っていたら、無駄にキラッキラした男の子ひょこって出てきました。彼が王太子様ですのね。
私の名前知っていますのね。
私、まだ、名乗ってないのに。
絵本の世界で出てくるような金髪碧眼の王子様。輝く金髪にキラキラ笑顔。
私、こんなキラキラした方と将来結婚しなければなりませんの?
毎日毎日朝から夜まで、キラキラを見続けないと行けませんの?
………疲れそうですわ。目が。
あぁ、ちなみに私の色は水色の髪に、濃い紫の瞳ですの。
髪の色はお父様から、瞳の色はお母様から受け継ぎまして、お兄様は灰色の髪に黄色い瞳ですの。髪色はお母様、瞳の色はお父様からでして、ちゃんと両親の色が入っていて安心しますわ。
….あ、話がそれてしまいましたわね…。
「フリージア・ジェネラルと申します。
これからよろしくお願い致しますわ。王太子殿下」
私は軽く王太子殿下に頭を下げた。
相手が名前を知っていても、きっと自己紹介は必要ですわよね…。
初めてだからわかりませんわ。
「王太子殿下は堅苦しいからシェレルと呼んでくれ」
王太子様がキラキラ倍増笑顔で告げてきた。
「わかりましたわ。シェレル殿下」
とりあえず、そのキラキラ、抑えてくれませんか?あ、無理ですか?
それからにこやかに(一言も発さずに笑顔だけの)お茶会を楽しんで帰宅した後、お母様に
「私、あんな物語のようなキラッキラの王子様となんて結婚したくない」
と言ったら凄く笑われた。
…なんかおかしな事言ったかしら。