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甘い何か

おそくなりすみません……




「えっと、あの。離してくれません?」

「嫌だ」

「………」


私達の現在地は王太子様の私室です。

パーティ会場が王宮だったこともありそのまま私室まで連れてこられました。


そして、今、私は、王太子様の膝の上に座らされていて、後ろから抱きしめられている状況にあります。

今までで一番近い距離で戸惑っています。

まぁ、キラキラが見えないからいいんですけど、あの 得体の知れない何かをすごく近くで感じていて、凄く怖いのです。


「…ねぇフィーア。なんで君は俺を見てくれないの?」


「はい?」


王太子様を見る?

よくわからないんですけど。


「………質問を変える。なんでフィーアは俺の名前を呼んでくれないの?」


名前?

名前、たしかに呼んでませんね。

そういえば私、王太子様の名前覚えていないなぁ。


「……私、王太子様のお名前を覚えていなくて…。申し訳ございません…?」


きっと多分どうでも良かったから覚えていないのだろう。うん。

でも、そう言ったら抱きしめられる力が強くなった。いたい。


「はぁ……。俺の存在はフィーアのなかではその程度……」


「…………で?王太子様は一体何を言いたいのですか?私にはわかりかねます」


「俺を。俺自身を見てくれ」


「はい。見ました。それで?」


「何か、言いたいことはないのか?」


「離してください。そろそろ私、怒りますよ?王太子様が力を入れすぎていて痛いんですから」


私は冷めきった目をして王太子様をまっすぐ見た。

本当離して欲しい。


「ピンクブロンドの令嬢はあの本のヒロインとやらに似ていただろう?だから利用しようと思ったんだ。フィーアと学園で会ってからしつこく付きまとわれていたから、利用しようと思った。なのに……………。それ以前の問題だった、とは……」


いや、話を聞いてくださいませ。

力はちょと弱まったけど、離してはくれないのですね。


「私も思いましたよ。あ、あの子ヒロインみたいだなぁって。それで彼女を見ていたら王太子様も一緒に見かけるようになって、あぁ、本当にあの物語のよなことが起こるんだな と思うと同時に王太子様を軽蔑しておりました」


「だから、それは茶番だって言ったじゃん。ねぇ。フィーア……茶番だとわかっても、俺を軽蔑したまま?」


王太子様がキラキラした瞳で見つめてくる。

あー。そのキラキラ やっぱりニガテです。


「えぇ。まぁ。そうですね。……私には何故あのような茶番をしたのか分かり兼ねますので」


まぁ、私もあの本を題材にしようとしてましたけども。


「………そっか。じゃあ、もう、こうするしかないかなぁ?」


「……え?」


こうするって何を?って言おうと思ったら視界がぐるっと変わった。

背中には柔らかいソファーの感触。

視界には至近距離に迫った王太子様。

……え?な、何?え。私、今、押し倒されてるの……?


「ねぇ フィーア。フィーアがいけないんだよ?」


王太子様のキラキラはなりを潜めて、代わりにあの、得体の知れない甘い何かをまとっていた。


「お、王太子様?えっ「シェレル。俺の名前はシェレルだよ」……はい?」


私が王太子様を見つめていたら顔が近づいてきて、


「ねぇ。名前、呼んでよ」


そう、耳元で囁かれて耳を甘噛みされて、背中がゾクゾクして顔に熱が集まったのがわかった。

今の状況がわからなすぎて困惑した。

え、何で今、耳噛まれたの……?


「し、シェレル殿下……?」


名前を呼んだらふわって笑ってくれた、のに。


「違うよ。シェレル。殿下はいらないよ」


ふと笑みを消して顔がまた近づいてきた。


「呼ばないと、キス、するよ?」


また、「いいの?」て耳元で囁かれて。


私は真っ赤になりながら王太子様の名前を呼んだ。


「シェレル様。これが限界です……」


うぅ。私は今、何をしてるのでしょうか……。

なんかすごく恥ずかしいです……。


「うん。まぁいいかな。次は忘れないでね?」


その言葉と共に唇に柔らかい何かが触れた。


「……え?なんで…」


「ん?だって呼んだらキスしないとは言ってないでしょう?」


そう微笑んだシェレル様がまた近づいてきて……。


何度もキスされた。


「好きだよ。フィーア。君だけを愛してる」


酸欠により遠のく意識の中 「なんでこうなったのかしら」と考えていた。





もうちょっと続きますー。



…やっとシェレルさん手を出した…

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