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婚約破棄イベントを模した茶番





「待て。待ってくれ」


………。

出て行こうとしたのに。

王太子様に止められた。

…なんで?

私、なんかまずい事言った?

あの本みたく 断罪されてしまう?


「フリージア………。フィーア」


…久しぶりにその呼び方を聞いた気がする。

前は毎日聞いていたのにね。


「…なんですか?」


私は振り返り無表情で王太子様を見た。


「フィーアは、俺になんか言いたい事はないのか?」


言いたい事?

今日も無駄にキラキラしないでくれます?

……じゃなかった。


「……王太子様は女を見る目がないのですね。

そこの彼女。何人もの婚約者がいる殿方とベタベタベタベタと。見ていて汚らわしかったですわ。都合が悪くなると泣くところも全て。そして、その彼女と仲睦まじくしている貴方様も汚らわしい。早く私の視界から消してしまいたいのです。だから、私、帰っていいですか?」


私は冷めきった目をして王太子様をまっすぐ見て言い切った。

いいよね。文句ぐらい言っても。断罪されちゃうかなぁ。

…もういいか。不敬罪でもなんでも。


「そうじゃなくて、」


王太子様は悲しそうな顔をする。

あ、私がちゃんと2人を祝わなかったからかな。


「あぁ。御二方。おめでとうございます。晴れて邪魔者である私がいなくなるのです。これからも仲睦まじく、国を守ってください。

まぁ、私は汚らわしい御二方の姿は見たくないので領地に帰らせて頂きますが。

遠くから幸せを願っていますわ」


私はニッコリ笑った。

周りからは感嘆の声がする。

私よくやったわ。


王太子様は今にも泣きそうな顔をして私を見ていたけども、アリーナはそんな事に気付かずその、豊満な胸を王太子様の腕に押し当てて幸せそうな顔をしていた。


「本当に、俺のこと、どうとも思っていないのか?」


「えぇ。まぁ」


なんで、王太子様は傷ついたような顔をするのですかね。


「……そうか。この茶番は無駄だったか」


「今、なんて言いました?」


茶番?

茶番って聞こえた気がした。


「ああ。茶番だよ こんなの。

ねぇ。フィーアは本当にこんな馬鹿な令嬢に俺が惚れたと思ってたの?」


「……はい?」


王太子様は一体何を言っているのだろうか。


「……はぁ。俺がどんな気持ちでこの馬鹿な令嬢と一緒にいたと思ってるの?」


王太子様の気持ち?そんなの知りませんけど。


「何が言いたいんですか」


「俺はね。フィーア。母上に渡されたこの本通りにすればフィーアが嫉妬して俺に感情をぶつけてくれると思ったんだ。なのに……。なのに、フィーアから聞けた感情は、思いは俺をどうとも思っていないって事だよ。泣けてくるよね。……はぁ。せっかく今日フィーアの兄を仕事って事で飛ばしたのに……」


本?………本。

あれ、あの本って……。


「「悪役令嬢とヒロインの夢物語!!」」


あれ?だれかと声が被りましたわ。

あぁ、あのピンクブロンドの彼女ですね。


「なんで!?なんでその本がここにあるのよ!意味わかんない!」


ピンクブロンドがヒステリックに叫んでますわ。

あの子 こんな子だったのね。


「あぁ、まだいたの?君。もう下がっていいよ。君はいらない。あ、あと君は色々不正事項が上がっているみたいだらこの後王城で取り調べね。って事で 衛兵。彼女連れてって」


「ちょっ、ちょっとまってよ!なんで!?私はヒロインなのに!!私が、シェレル様と結ばれるはずなのに!!」


王太子様がそういうと、喚いていたピンクブロンドの彼女は衛兵に連れていかれてしまった。

え、何?どういう事?

私よくわかんないんだけど。


「さぁ フィーア。君は俺とこっちにおいで。皆んなごめんね。じゃあ、パーティを楽しんで」


「え」


私は王太子様に腕を引かれて会場を後にした。






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