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New life  作者: 中神 雄喜
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第一章(5)

月1回の更新ペースの投稿になってます、現在2つ書いてまして

順番に更新しています。

様々な国が作られ時は1000年ほど過ぎた、佐竹と妻達は

子供たちとの寿命の違いから距離を置いて見守る決断をした。


 見守ると言うより管理者が正解で、これは旅立つ前にウルゲン

に決められた条件だった、この星には地球と同じく月の様な衛星

がある、違いは2つ有ることだ、そのうちの1つを拠点とし来た

時の宇宙船で月に向かった。


 月で見守り500年の歳月が流れ佐竹と妻達の血は薄まって

いった、それぞれの国にも違いが表れ始めた。

気候、生活環境、初期に干渉した妻達の性格等にも影響された

事も違いに反映されていた。


 国の8割は王政による政治の形態であり残りは共和制と民主制

であった、成り立ちを簡潔に説明すると人々の統治に対する考え

方は成熟しておらず現段階では幾つもの集団が離合集散を繰り返し、

その中で強い力を持つ者が統治者になり経済的に価値の有る物を

管理し始めた。


 多くを持つ者と持たざ者に別れていくにしたがい身分に格差が

生まれてきた、格差社会の始まりである。


 佐竹は地球で暮らしていた時の事を思い出していた、西暦2000

年代世界は程々に平和を謳歌していた、一部に紛争や人種差別など

問題は有るものの概ね幸せな時代だったと思う。


 今の状態を地球の歴史と照らし合わせて考えてみると西洋近世に

近いように思える。簡単な魔法、例えば飲み水や排泄物の浄化や

火お起こしなどは誰でも使えた。この事で妙に文化的な生活を享受

していた。


 ウルゲンは佐竹が創造した世界の管理者になることを条件にした

意図については不明だが、何か理由が有るのだろうが今は考えない

事にする、考えすぎて誤謬になっては元も子もないからだ。


 それぞれの国の情勢は大きな集団が小さな集団を吸収し成立した

国は安定しているが、同規模の集団で成立した国は王政、共和制

共に主導権争いが続いていた。


 星の管理者である佐竹だが管理仕事は得意と言うより苦手であった

そこで彼はもう1つの月に星を管理する集団を置く事にした。

佐竹と妻達の遺伝情報を持ち身体能力や魔法などを強化した生命体を

人工受精で作り上げ、彼らをオブザーバーと呼ぶことにする。


 佐竹がオブザーバーに指示した命令は

1争いには干渉しないこと、大量の生命が死に瀕している

 場合は佐竹に報告する。

2 オブザーバーは自己繁殖をしない。

3 定期的に地上に出向き状況の報告をする事。


こんな感じで始める、どうにかなるだろう。


◇さらに300年が過ぎた◇


 妻達も人々に干渉している時もある、特にターラが熱心に

関わりを持つ国があった、国名はデュカキス王国である。

モナルケス・デュカキス王が治める王国でターラの子孫に

当たる人物でターラに顔立ちが似ていた事もありカーラが

強く興味を抱いていた。


 彼でモナルケスの名を受け継ぐのは2代目で正式名称は

モナルケス2世・デュカキス王である。

デュカキス王家は代々短命で30歳前後で崩御していたが

初代モナルケスは60歳まで生き、この星では平均的な寿命

であった。

初代モナルケスも27歳を迎えた年に病に冒されたが、奇跡的

に回復し生涯を全うした、これには秘密があり病の回復には

ターラが関わっていた。


 どうやらターラは長い世代交代の中で自分の遺伝情報を

色濃く発現させたモナルケス親子に過剰に関わる傾向に

あるようだ、妻達との取り決めで地上の民に干渉することは

禁止事項としていたし全ては第二の月で管理を行うオブザーバー

と地上に住まう民により未来を決めて行くことが理想と考えた

からだ。


 ターラの行いは妻達のリーダー役を任せていたシュリ(アズサ)

からの報告で知る事となった。


『佐竹さん、ターラが過剰に地上に住まう一部に干渉している

 件はどうしましょうか?、私の方から注意しましょうか?』


 シュリは対応を僕に訊いてきた、同じ妻の立場として判断に

困ったのだろう。


『そうだな……僕の方から地上の民に干渉しないように話して

 みるよ、ターラの気持ちは少なからず理解はできるが、皆で

 決めたルールは守らないとな』


『お願いします、佐竹さん。私は食事の支度がありますので

 ご用の際はお呼び下さいね』


 シュリ(アズサ)は妻になっても初めて出会った時と変わらず

メイド口調だな、ある意味心地よいと感じている。

妻達の事は等しく愛しているが、シュリは地球を離れて初めて

出会った女性で心と共に体も随分と世話になった事が彼女を

妻達の中でも特別な存在に感じていた。

 

 しかしターラの件はどうしたものか……

地上に干渉しないと言うルールは絶対に守らなければならない

訳ではない、管理者の心得としてウルゲンから指導されたに

過ぎない。

その事からもターラの話を聞いたら僕は彼女の行いを否定できる

だろうか?


 地球での常識と言うか、神話に登場する神々は人間が登場する

前から存在し人を創造したりしている、故に人よりも上位の存在

として扱われている事もあり、干渉するにしても神託とか奇跡

などが多いように思える。

ライトノベルなどの作品に登場する神なんかは干渉の度合いが

強い作品が多いと感じる。


 正直なところ僕自身は干渉する事は問題視していない

何故なら月での生活は退屈すぎるのだ、妻達は気の合う者と

何やら暇潰し的な事をしている様だが、僕もターラも孤立気味

な為に時間をもて余している、だからと言って地上に干渉して

良い訳ではないのだが……。


 しかし今回はターラ以外の妻達の総意のようであり、個人的

な考えとルールは混同するべきではない。

妻達からのターラに関する報告書を読んでからターラと話す

事にした。


・・・・・・報告書を読む・・・・・・


『ん~これはちょっと干渉が過ぎるな、妻達が心配するのも

 理解できるよ、肩入れが露骨だな』


 報告書の内容については当然だがモナルケス王について

書かれていた、初代モナルケスは第二王子で持病もあり王宮でも

短命ではないかと囁かれていた。そんな時ターラの目に止まった

のだった、王を見たターラは自分に良く似た顔立ちの王を好まし

く思っていた。


 王の病は今の地上の医療では治療できない、魔法や薬草では

怪我や内科的な病は治療できるが王は癌であり治癒魔法では

腫瘍の類いは治療は難しかった。


 第二の月で地上管理の任務にあたるオブザーバーによれば

ターラは異国の強力な治癒魔法の使い手としてデュカキス王国

に入国し強力な治癒魔法の使い手として王宮に仕える事になる、

仕える事となる過程でも精神に作用する能力を行使したようだ。


 僕や妻達も気が向けば同じように能力を使い地上の民に紛れ込み

ちょっとした娯楽として行う時もある。

しかし今回のターラは少し干渉が過ぎたと言わざるを得ないだろう。

二世代に渡り病を癒すという奇跡の供与、それ以外にも王宮内抗争

にも関与しデュカキス国王の絶対的な権力に加担していた。


 デュカキス王国は王位継承で争う事が多かった、それは代々王位

継承一位の王子が病弱だった為に兄弟間で争う原因になっていた。

王位継承を争う事自体は決して悪ではないと僕は考えている、例え

暗殺や謀略であってもだ。

そもそも善悪は物事の見方で変わるものだ、悪側から見れば善は

悪となるのだから、生物としての視点で考察すれば弱肉強食が

自然な形態であり生物を生物たらしめるものだろう、人間も生物

であるのだから違いはない。


 争う事が生き物の本質であり生存本能に沿った行動なのだろう、

動物や原始的な人間では己の肉体や武器で闘いだが、人間は知性

を得た事で争い方が変化した。

肉体的な強さでの優位性なら単純明快であり従属する方も納得

はしやすいが知性を得た事で肉体的に弱い者が強きものを従える

事が可能となり複雑な状況を作り出していた。


 地球で生活していた時は考えてもいなかった事だが、この惑星

で生み出した人類の成長過程を観察していた事で地球人類が経験

してきた複雑な精神的成長の過程を垣間見る事ができた。


 このまま歴史を重ねて行けば魔法文明と機械文明の違いは

あるが似たような社会構造になって行くのではないだろうか?

ごく平凡なに人間だった私は富める者や貧する者の辛さや喜び、

人としての身分の違いでの差別、宗教弾圧等々とは馴染みの無い

生活を送っていた。

しかし今は管理者として、この造り上げた世界に関わっている

神の様な存在ウルゲンに永遠に近い生を授かり、この惑星に

降り立った。

それから彼女達との間に子供を儲け、その子供達が世代を重ね

人口を増やした事がこの世界の成り立ちである。


 永遠に近い寿命、言い換えれば「永遠なる者」になるのだが

その事で自分の意識中で少し変化があった、それが何かと言え

ば善悪に関する考え方である。


 人類の営みを2000年ほど見守ってきていると生物として

時の流れと共に存在し、生と死を繰り返して行く様を幾度も

見る事となる、その中では善なる者も悪なる者も生は有限で

あり体制が一時的にどちらかに偏る事はあっても反対勢力の

勢いが盛り返して均衡を保つ流れになる、それは指導者の

交代や戦いの勝ち負けであったりする、栄枯盛衰は世の習い

であった。


 話は戻るがターラの行いを責めるつもりは無い、地球の神話

でも神々が人々に関わる逸話はある。しかし今回の件は妻達と

僕が決めたルールだった、魔法が存在している時点で地球と

同じような歴史を辿るとは考えにくいが、管理する側として

思った事は我々が歴史に極力介入する事は避け、この魔法文明

の成長を観察したいと思っている。

『ターラが納得してくれれば良いが……話してみるか』


 ターラと話す為に通路を歩いているとターラの部屋の方から

シュリが歩いて来るのが見えた。


『シュリ、どうしたんだい? ターラと会っていたのかい?』


 この先はターラの部屋以外は無いので確認のため聞いてみた。


『佐竹さんこそ・・・・もしかしてターラさんの所に行くの?』


『ああ、皆から出された報告書を読んだからさ無視はできな

 いよ、シュリはターラと会っていたのかい?』


『はい、お茶しながら少し話してました。ターラから話しか

 けられるのは滅多に無いので押し掛けてしまいました』


『もしかして地上に干渉し過ぎるって話かい?』


『そうですね……彼女の気持ちも理解できるので何も言えま

 せんでしたわ、佐竹さんから話して頂く方がターラも

 話を聞いてくれるのではないでしょうか?』


 ターラの気持ちを考えた事で今まで注意を先伸ばしにした

為に他の妻達に気を使わせてしまったかもしれないな。


『そうだねシュリ、僕から話してみるよ、皆にもこの事を

 伝えてくれ』


 シュリとの会話を終えターラの部屋の前まで来た

ドア脇のインターホンでターラに入室の同意を得て部屋に

入り話を始めた。


『ターラ、君と話がしたくて来たんだ……時間は大丈夫かい?』


『予定は特に無いわ、話を聞かせて。私が地上に干渉している

 事について話しに来たのでしょ?』


『気づいていたのかい?ターラ、その通りさ……良いかな?』


『ええ、そろそろ来る頃だと思っていたわ、話して……』


 やはりターラもこの件に関しては問題視されてると考えて

いたのだろう。そうであれば回りくどい言い方ではなく

率直に話す事にした。


『ターラ、地上の民に干渉する事については僕自身いけない

 事だとは考えていないよ。

 皆の考えは単純に先に相談し決めた事を守ろうって事だと

 思う、僕も長い年月の中でよく似た子供を見つけた事が

 あった時は何か手助けしたくなったよ、でも皆との約束事

 を思いだして踏み止まったのさ。ターラはどうだったの?』


 ターラに話したが僕にも覚えがある、容姿が似ている子供を

見つけた時は強く興味を持つたのは事実だった。


『佐竹さん……心配をかけてしまいましたね、あの子を

 見つけた時、どうしようもなく感情が昂ってしまい

 力になってあげたい気持ちで私の心は満たされたの。

 皆との約束は忘れた訳ではないの……』


『ターラ、これからの事だけど・・・・僕としては皆との

 約束事は大切にしたいと考えているんだ、だからねターラ

 今後は彼等に対しては見守るだけにしてくれないか?

 大袈裟な考えかもしれないが、この世界の行く末は自然な

 流れに任せたいから』


 地球では神の様な存在の影響があったのかは分からないが

今、僕が関わっているこの世界はもう少しの間は不干渉で良いと

思っている。はっきりした理由は無いのだけれど。


『ごめんなさい佐竹さん、今の気持ちのままでは彼等を見守る

 だけなんて・・悲しくて……できない。

 でも、駄目よねこんなの・・・・私を・・・・彼等の・・

 が・・感じ取れなくなるまで眠らせて下さい……

 お願いです……あなた』


 その後ターラはメンテナンスカプセルに入り長い眠りについた。

僕はシュリと安らかに眠るターラのカプセルの前で話していた。


『佐竹、ターラの寝顔・・綺麗ね……もしかして眠る事で安らぎを

 得たのかしらね、彼等との関わりは嬉しさと悲しさが同居して

 いたのかもしれないわね。これで良かったのよ』


『そうかもしれないな・・・・シュリ。僕はターラに何かして

 あげる事はなかったのかな?

 そんな事ばかり考えちゃってね、最近はさ……』


『そんな事はないですよ佐竹さん・・彼女が目覚めた時は

 きっと幸せな笑顔ですよ……』


『そうだねシュリ……』

六話からは妻達と発展し始めた世界に争いが蔓延した事で

佐竹と妻達が干渉しない約束をどうするか悩み始めます。

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