表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
New life  作者: 中神 雄喜
19/19

第一章(19)終焉

一つの物語が終わりを迎えた、人の業なのだろうか・・・・・


ラオビサウ共和国の一室にビクテル最高司令の側近とは別に国軍侵攻作戦本部

のメンバーが集まり今後の侵攻について議論をしていた。


『司令官はこの戦争に勝利しようとする気概が感じられぬ、皆はどう感じるか?』


 この発言は若くして将校となり才能を見込まれ作戦本部入を果たしたケネス少将

である、この場には作戦本部以外の上層部に不満持つ士官も集まっており活発な

議論が行われていた。


『ケネス少将殿、現状は上層部の意向に関係なく戦況を好転させる手段は無く

 このままでは敗戦どころか属国の危機にあるのではと考えます、それにあの

 新兵器が存在するかぎり国そのものが消し去られるかもしれません・・・』


『それはそうなのだが・・・我が共和国に新兵器に対抗する手段、兵器、そして

 開発する技術力もないぞ、それを踏まえて考えはあるのか?』


『私が指揮する諜報部は、兵器開発元はカストル帝国だと報告が上がっています

 開発が無理ならば奪えば良いのです、製造工場及び保管場所は調べております』


『そうか君は諜報部担当のコール少佐であったか、しかし新兵器を盗めるほど

 手薄な警備体制とは思えぬが・・・』


『カストル帝国は戦争当事者ではなくただ単に兵器を供給しているだけであり

 地理的にも戦地からかなり離れているからなのか、危機意識や国際情勢などに

 関心が薄いとの報告が上がっています。その辺を突けば何とかなると考えます』

 

『コールよ警備も手薄な帝国であれば奪い取る事は可能と申すか?

 中々に面白い計画よ、この戦争が終結すれば世界の情勢は変わるであろう

 小競り合いなどは無くなり再び戦争になる事態は遠のく、であれば兵器は必要

 としない時代が来る、ならば兵器開発などの労力は無駄であるな・・・

 コールには兵器を奪う事を命ずる』


『全力を尽くします』


『それとは別に勝敗に関係ない企みを持つ上層部に対してだが何か情報を持って

 いる者はおるか?』


『ビロー少佐であります、意見具申いたします。

 これは偶然なのですが戦況報告を上層部メンバーが受けている会議室に議事録

 作成用の録音機材を床に落とした状態で放置してしまったのですが、落とした

 衝撃でスイッチが入ったのと同時にテーブルの奥に転がってしまったようで

 発見されずに会話が録音されたのです。

 その時の内容なのですが、お聞きください』


*彼は録音を再生した


(『条約は詰めの段階です、外交官からは今のところ重要な

 変更の報告は来ておりません』


『そうか……この条約により我が国の国土の3分の1が他国の

 領地となる、それに加え戦争により人口は大幅に減少する。

 ここに居る3名以外はこの侵攻の真の意味を知らぬ。

 軍治政権の樹立による政権交代、侵攻により略奪した物資

 の国民への分配が侵攻の大義名分ではあるが真実は異なる。

 減った国民を養える国家に我が国を委ねるのが目的であり

 残った国土もやがて併合されるであろう。

 歴史の中で売国奴と呼ばれるであろうが、国民を飢えさせる

 よりは……後悔は無い』)


『これなのですが、上層部は戦争を利用し疲弊した共和国を解体に近い

 状態にし一部を他国に譲渡、国民を減らし、統治しようと計画している。

 これの問題は上層部の独断であり共和国民の意思を反映しているとは

 思えないのです、確かに人口減により食料供給などは持ち直すのも不確か

 であり民意を欺いているとしか思えません』


『貴殿の言う事も間違いではないが、戦争に勝利して共和国民の望む未来は

 来るのだろうか?』


『犠牲はあれど戦いの勝利は共和国民に勇気を与えるのではないでしょうか?』


『それは分かるが、勇気では腹は膨れんぞ・・・』


『敗戦し教国民と領土を減らし統治するなど目先だけの愚行であり、国力が

 衰退すれば他国より再度侵略されるでしょう。

 この戦争は他国の思惑が入りすぎており共通しているのは我が共和国を消し去る

 事が目的なのです、共和国存続の為には戦いに勝利しなければならず、敗戦

 すれば属国とかし共和国民は奴隷扱いとなりましょう、我々には戦争に勝つ選択肢

 しかないのです』

 

『勝つしかなく、勝つ為には他国から兵器を奪う事も辞さないか・・・

 では決定する、兵器を奪取せよ』


*この会議の数カ月後カストル帝国より数基のイクシオンハープが奪われた。

 しかしその事実は伏せられ各国に知れる事はなく後に重大な事態に発展する。


◇◇◇エストラエル国大統領府◇◇◇


『ジェームズ大統領、緊急の報告が入りました・・・』


『どうしたポーター局長、顔が青いぞ』


『そんな悠長な状況ではありませんぞ、カストル帝国がイクシオンハープを

 奪われたとの情報がありました、奪った者の正体は現在不明ですが・・・

 おそらくはラオビサウ共和国ではと考えます、もし我が国に向けられれば

 国力考えれば負ける事はありませんが被害は甚大なものとなるでしょう』


『ポーターよ確認するが反撃及び勝算は有るのだろうな?』


『最悪、都市攻撃に使用されても軍事施設が攻撃を免れれば、こちらにも

 予備のイクシオンハープは所持しており同程度の報復攻撃を実行し陸軍

 により軍事拠点を制圧します。

 しかし相手の攻撃目標が不明であり大統領には暫くの間、軍の地下司令室

 へ移動願います』


『そうか・・・国民には犠牲が出るが戦争早期終結にはなるか・・・

 だが国民には危険が迫っている事実を伝えるべきではないのか?』


『今回は国民への情報開示は避けるべきかと・・・知ってしまえば命の危険

 から暴動に発展する危険があります。

 逆に知らずに攻撃を受け我々がラオビサウ共和国からの攻撃であると

 公表する事で敵国への憎悪、自国への信頼に繋がると考えます』


『なるほどな・・・被害を受ける国民には申し訳ないが、戦争終結と国益

 の為、納得してもらうしかないようだな』


◇◇◇アステリア王国謁見の間◇◇◇


*カヌート王の下に大公ルコントが重大な情報を報告すべく謁見の間に来ていた。


『どうしたのだ大公よ、慌てて』


『我が配下の諜報部に信じがたい情報を得たので急ぎ報告にに来たしだいです。

 カストル帝国より大量破壊兵器イクシオンハープが数機盗まれたらしく帝国

 内軍部は騒ぎになっているとの事、現在行方を捜索しているが手がかりすら

 無い状態だと・・・』


『その盗まれた兵器とは先に前線で使用されたものか?』


『そうです、ラオビサウ共和国軍に甚大な被害を出した兵器であります』


『奪った者共はラオビサウ共和国であろうな・・・何とわかりやすい。

 帝国が開発した兵器である事は知らぬ国は無いのだ、戦争当事国からは

 離れていると油断してたのか・・・兵器を使用され窮地に立つ共和国が

 奪いに来ると考えなかったのか・・・愚かな事よ。

 しかしだな我々も備える必要が有るのではないか?

 自暴自棄になり他国を巻き込む可能性も有るやもしれぬ、奪われた

 兵器の数はわかっているのか?』


『至急調査します』


◇◇◇ガッタス教国教皇庁◇◇◇


『次期教皇選出の最中の重要な時期に騒がしい事よな、何があった、マロウ枢機卿』


『各国にある我が教会に在籍している諜報員から無視できない情報が届いており

 内容は帝国がラオビサウ共和国に甚大な被害を出した新兵器が強奪されたようです、

 そしてその情報は各国も得ているとの事』


『その情報が真実として我が教国に脅威は有るのか?

 エストラエル国に対しての報復攻撃に使われるだけであろう?』


『私もそのように考えたのですが、強奪された兵器が複数であり、その意図が気に

 なるのです』


『なるほど・・・気になるな、強奪された数は把握しているのか?』


『それは現在諜報部に調査させているところであります』


『奪われた兵器が複数となると考えられる可能性は単純に報復だけとは考えられぬ、

 教国も戦争支援を行っている事は知れているのだ・・・警戒するべきであろうな。

 マロウよ教国への報復も含め、凡ゆる可能性を視野にいれ共和国の動向を調べよ』


『諜報部の他に教国内に潜入している間者に指示を出します』


◇◇◇管理者達◇◇◇


 僕はこの惑星の月にある管理事務所に来ている、僕の役目は月から地上の様子

を確認し好ましくない方向に世界が向かっていれば必要最低限の干渉をするのだが、

基本的には悪意がある行動であっても彼らの意思と行動を尊重したいと考えている。

言い換えれば生存も破滅も彼らの意思決定の先にある結果だと思うからだ。

今日は惑星に派遣している妻達も月に戻ってくる、どんな報告を聞けるか楽しみだ。


『旦那様、戻って来ました、私以外はまだなのでしょうか?』


『そうだねシュリ(アズサ)、君が一番早かったよ、報告と言うより地上は楽しめたかい?

 その話から聞きたいかな?』

 

 彼女は担当している国は無く全体の情報収集をお願いしている、僕との付き合いは

妻達の中で一番長く転移して初めて出会った女性であり心身ともに支えてくてた。

一時期、転移後の不安から激しく彼女の体を求めてしまった事があり、とても思い入れ

がある妻である。


『そうですね、各国を担当している方々の情報を聞きながら合間に見物したり、

 その国の名物料理を食べ歩いたりしていましたけど、旦那様とご一緒であれば

 もっと楽しめたと思ってました。

 それで報告なのですが、戦争は私が引き上げる時点では新兵器の使用により

 ラオビサウ共和国の被害は甚大でかなり状況は悪くなっております、以後の状況は

 ナーマさんに確認すべきかと。

 他に気になるのはカストル帝国でしょうか・・・新兵器の開発だけでなくアイラさん

 が潜入の為に用いた技術が導入される事になれば他国では太刀打ちできない状況に

 なるでしょう、その辺を確認した方がよろしいかと。

 それ以外の国々については目立った動きは無いようです』


『そうですか・・・僕も行ければ良かったみたいだね、いくつかの国には行ったけど

 妻達に任せていたから深くは聞かなかったよ、皆が来たら聞くとしよう』


*それからしばらくして妻達は集まった、今回は調査に加わっていない妻も同席する

 事と久しぶりに会う妻もいるので近況報告するなど賑やかな集まりとなった。


『それでは各国に派遣されていた方々から報告をお願いしますね』


『それでは私くしアイラから報告しますわ、私は教会の給仕として潜入し、協力者

 候補の枢機卿にはティーナが担当しました。

 教会内では情報が限られていまして早々に引き上げカストル帝国へ向かいました。

 そして情報収集に有利と思われる国家機関の技術研究所に潜入する為に帝国の

 新兵器の運用に役立ちそうな技術としてミサイルの原型になるアイデアを提案し

 研究所上層部に認められ研究員として採用されました。

 でもこの研究は新兵機と組み合わさると現段階ではオーバーテクノロジーとなる

 ので有益な情報を得るまでの繋として利用するだけで完成はさせません。

 そんな感じで過ごしていた時に新兵器の強奪事件が発生しました、はっきりした

 数は分かりませんが何機か奪われたと聞きました、現状で報告は以上です』


『次は関連してると思われるのでラオビサウ共和国の報告をしたいと思います

 アイラさんの報告にありました新兵器強奪は共和国が行ったのは事実のようです。

 軍部の一部、過激な思想を持つ集団が実行したようです、目的は報復攻撃と思われ

 ますが、強奪した兵器は複数であり報復以外の目的については調査中です』


『ナーマ、確認したいのだけど奪った兵器の保管場所は突き止めているの?

 今後の展開を予測する為には重要な情報となるし・・・』


『私の情報源は宗教戦士と戦士団なのですが教会が関わっている事もあり様々な

 情報が集まります。

 教会も今回の事に関しては問題視しているのですが教会上層部も軍部同様に

 一枚岩では無いようで意見が分かれています、保管場所については軍施設と

 思われますが現在は確認できていません』


『次は私サリーがエストラエル国について報告しますわ、皆様もご存知の通り

 新兵器を実戦で使用した国です。その効果は絶大で戦況は有利に進んでいます。

 彼らは兵器の重要性を感じ自国での生産に向けて兵器の解析を行っていますが

 潜入調査と関係者の聞き取りなどから判明した事は構造自体は解明したようで

 ですが兵器の核となる連鎖的なエネルギーの解放、爆発の原理については解明

 は難しいようです。兵器の解析を進めるまでの間に開発国であるカストル帝国

 との軍事同盟を考えているようですがアステリア王国からの同盟の申し出が有り

 その真意を探る関係でまだカストル帝国との軍事同盟は棚上げになっています』


『ではアステリア王国についてラムが報告します、旦那様の協力を得て王宮の

 情報が分かりましたので報告しますね。

 王族は戦争を他人事の様に楽しんでいるだけです、元々アステリア王国は農業国、

 強力な軍隊は無く戦争当事国に食料支援をしています、その中で先程も報告が

 有りましたがエストラエル国との同盟を申し込んでいます。

 エストラエル国が勝利した際に一部の領土の譲渡を条件に食料支援をしている

 ようですが現段階では確認はとれていないですが、サリーさんにその辺を聞きたい

 のですが・・・』                               9の修正が必要

  

『そうでうね・・・私の知るかぎりでは王国上層部での詳細までは把握してない

 ので何とも言えませんが、可能性としては有りますね』


『最後は私ティーナがガッタス教国について報告しますね。

 現教皇の信頼厚いマロウ枢機卿の協力を得る事に成功していますので情報収集

 は内部情報を含め順調です。

 現在、時期教皇の選出が行われ二人の候補者に絞られています、情勢は五分五分

 でしょうか。

 こちらもアステリア王国と同様に領土確保と信者の確保を目的が戦争支援の

 目的のようです、内部情勢は新教皇が決まった以降に動くと思われます』


『皆んなご苦労さま、兵器の強奪がちょっと気になるけど想定内かな?

 今後の事だけど、戦争終結に向けての工作と情報収集は続けるとして

 各国潜入う調査以外に行っている計画の進行状況はどうなっているのかな?』


『では私、シュリが纏めて報告いたします。

 旦那様の指示により万が一の戦争拡大により文明崩壊した場合に備え

 新たに文明を築く基礎となる人類の確保ですが、人族については約10万人

 各国の若者の中で危険な思想の因子が無い者達を選別し、行方不明を装い

 コールドスリープにて確保しています、動植物も数万単位で実体と遺伝情報

 に分けて人類同様に確保済みです。又、環境維持に必要な細菌などの微生物

 も動植物同様に確保しました。』


『計画通りだね、シュリ。これで最悪の結果になっても大丈夫そうだね。

 皆、僕たちの子供なのだし・・・それで今後の事なんだけど、各国担当者は

 引き続き内情調査と全面戦争回避及び現戦争の終結に向けて行動してね。

 シュリ達は確保に漏れが無いか調査しつつ全面戦争に発展し大量破壊兵器の

 使用後の環境復活の準備を検討と準備をお願いね。

 僕からは以上かな、何かあれば聞くけど』


『特には無いですけど、事態が安定してるなら休暇が欲しいですわ』


『あ、アイラさんの意見に賛成!』


『『『『賛成〜』』』』


*妻達は月にある様々な施設で休暇を過ごす事になった、それは惑星では

 仕事気分が抜けないのではって事になったからだ。


◇◇◇ラオビサウ共和国上層部が知らない兵器倉庫◇◇◇


『しかしあの兵器がこんなにも小さい物だったとは信じがたいな、これならば

 秘密裏に仕掛けるのも容易であるな。コール少佐よ今後の計画はどうなって

 おるのだ?』


『ケネス少将殿、我々も兵器はもっと大掛かりな物と予想していた為、当初の

 作戦行動での攻撃目標はエストラエル国だけを想定していましたが仕掛ける

 容易さを考慮した場合、影で戦争による利益を貪る国を新たに加える計画で

 進めています、何故なら戦況により新たな国の参入も考えられる状況となって

 きています。よって全ての国に兵器を設置し攻撃を可能にする計画です』


『その様な仕掛けは我々の技術でも可能なのか?』


『工業技術だけでは難しいですが、今はあまり使われなくなった魔法を利用する

 方法を軍部が開発しました、本来は兵器の核となる部分をレザーなる技術で圧縮

 する必要があるのですが、それに変わる物質圧縮魔法を代用したようです。

 しかし魔法使いが近くに居る必要が有るため洗脳した魔法使いを配置し起爆させ

 る方法であります、爆破指示も魔法通信で行い、各国への潜伏先が決まるのに

 あと30日を予定しています』


『戦局は厳しい状況なのだ、どの様な手段であれ勝利は勝利、上層部の考えでは

 我が共和国は消滅してしまうわ』


『手始めにエストラエル国の首都を準備ができ次第消滅させます』


『頼んだぞ、コール少佐・・・我が共和国の明日のために!』


『は!』


*コール少佐が部屋を去り部屋にはケネス少将だけになり今後の事を思案していた


 コール少佐は優秀な奴だ、上層部とてエストラエルが戦況に影響を及ぼす

甚大な被害を被れば勝利に対する欲望も出よう・・・だがエストラエルが有利な

状況から苦境に立たされれば影に隠れて勝利後の利権を得ようとしていた国々の

奴らが表立って支援を表明してくるであろうな・・・そうなれば戦渦の拡大に

繋がるのは確実だな・・・他国にしてもその事は理解している、世界戦争状態に

なれば人が生き残っても経済破綻していては人の生活も困窮し路頭に迷う人々も

各国で多数出るだろう・・・この状況を招く作戦を実行しようとしている我々の

正義・・・いや、そもそも戦争に正義など無い、有るのは指導者のエゴと戦争で

私腹を肥やそうとする輩だけだ、我もその一人だが・・・


◇◇◇そして人々は恐怖した◇◇◇


*エストラエル国首都で大量破壊兵器イクシオンハープが起動、首都の8割が壊滅

 政治、工業、商業などがが機能しない状態となった。

 政治中枢は失われ郊外の一部軍事施設や小規模の地方都市だけが残り国としての

 統治機能が低下し混乱に乗じたてラオビサウ共和国の軍隊が侵攻し次々と制圧

 していった、ラオビサウ共和国の勝利宣言は侵攻後2か月で出されたのだった。

 この事実を知った各国は打倒ラオビサウ共和国の旗の下に集結したが、中心となる

 国を決められずにいた。

 その中でもガッタス教国だけはラオビサウ共和国を避難する事は軍事協力している

 立場から難しい状況にあった。

 エストラエル国が攻撃される暫く前からラオビサウ共和国との連絡は途絶えており

 ガッタス教国内では対応が協議されていたが次期教皇選出の最中でもあり派閥間の

 方針の違いを纏める事に難航していた。

 その中、一部の次期教皇候補に無関係な枢機卿強行派がラオビサウ共和国に対し

 兵器使用に対し非難する書簡を送りつけた、これに対しラオビサウ共和国は戦争協力

 の解除と国公断絶の決定を伝えエストラエル国と同様に首都攻撃の指示が潜入部隊に

 指示され、後に首都に甚大な被害が齎された。

 この情報が佐竹達に伝わった事で妻達との会議が開かれた。

 

『戦争は沈静化とは逆に暴走する方向に向かっている事に関して意見を聞かせてくれ』


『では今回の原因となったラオビサウ共和国の担当として申し上げます、急ぎ調査しましたが

 今回の首謀者は軍上層部ではなく一部の戦争肯定派が暴走したようです、上層部は困惑して

 いるようですが結果が共和国にとって好ましい事もあり黙認しています』


『ナーマ、調査を急がせてしまったねご苦労さま、ダッカス教国とエストラエル国については

 被害の大きさを考えると報告されるまでも無いかな・・・ティーナ、サリーどうかな?』


『では私からダッカス教国についても先程の報告に有りましたが被害は甚大でり多くの上層部

 が亡くなられました、教皇、次期教皇候補の二人、有力な枢機卿などが被害を受けました

 現状は地方に居た数名の枢機卿と神父などにより辛うじて国として機能していますが今後に

 ついては不透明な部分が多いと感じます』


『エストラエル国についは私から報告します、先程のダッカス教国の報告同様に被害は

 甚大です、被害が軽微な地方の軍関係者が集結しカストル帝国とアステリア王国に使者を

 派遣し支援を求めたようです、両国とも事が事だけに協議するとだけ伝えたようですが』


『アイラ、帝国はどんな感じ?』


『研究室も混乱してますわね、こちらが開発した兵器によって戦争当事国の一方と支援国

 が壊滅に近い状況になったのですから・・・まだ噂の段階ですが兵器の増産に着手して

 いるとの話が来ています、私のところにも研究中の成果を求められ、どの位の重さまで

 飛ばせるのかと確認の問い合わせが来ました』


『次はラムの報告を聞こうか』


『はい、王族達も戸惑っている様子でした、漁夫の利、的な思惑でこの戦争による領土拡大

 をと考えていたようですがラオビサウ共和国が優勢になった事で風向きが変わり支援の

 要請が来た事で報復対象になるのではと危機感を持っているようです』


『なるほどね、皆には苦労かけたね、できるならこの様な状況は避けたかったのだけれど

 この世界の事はここに住む人々に委ねたいと思ったから皆には強く干渉をせず戦争回避

 もここに住む人々の力で行い我々は手伝う程度に留めたいと考えていたんだ。

 僕の予想ではラオビサウ共和国、カストル帝国、アステリア王国の三カ国で最終戦争に

 発展すると思う。

 だからかな・・・シュリ達に進めさせていた惑星種族保存計画を実行していたんだ。

 だから皆には戦争に干渉しない為に地上に戻らず月に居てもらう。

 今の文明が滅んでも全てが無にはならない、この惑星があるかぎり何度でも文明は

 復活できるのだからね、いいね・・・』


*彼女達も理解し成り行きを月から見守るのだった。

 そして数カ月後にラオビサウ共和国とカストル帝国、アステリア王国の連合軍との

 最終戦争が始まった、開戦当初は連合軍が優勢に思えたがラオビサウ共和国は2国に

 対してエストラエル国同様にイクシオンハープを設置しており2国を攻撃した。

 カストル帝国は被害を免れた部隊が急造したイクシオンハープ携え決死の覚悟で

 ラオビサウ共和国に進軍した、しかし急増した事で制御が不安定となり威力が通常の

 3倍は超えていた。

 その威力は凄まじくラオビサウ共和国は壊滅し惑星環境も生物が生存困難な程に悪化し

 生き残った人類及び動植物も消え去り広陵とした大地だけが残った。

 そして1000年の時が過ぎた・・・


『状況はどうなっているかな?』


『はい、文明の痕跡は微かに瓦礫として残っていますが、そこから何かを復活させる

 様な技術的な資料は無いでしょう、例えるならオブジェの様な物でしょうか?

 植物は先行して投入した事から環境の方も以前の状態に戻りつつあります』


『そうか・・・順調そうだな・・・なら計画を進めてくれ』


 滅びは避けられない運命思える、僕が以前地球に存在してた時も争いや環境破壊

 は当たり前の様に存在していた、地球の文明は今でも存在しているのだろうか・・・

 思えば地球を離れて数千年は過ぎた、地球の歴史を考えると文明は滅んでいる確率

 が高いかな?

 僕はこの惑星で検証したかった事がある、文明限界または種の限界と言った

 ところかな・・・

 地球で生活していた頃も小規模な戦争が各地で行われていた、原因は宗教対立、

 資源の奪い合い、人種差別、社会体制など理由も様々だが僕が思うに根底にある

 のは有力者エゴではないか?

 社会体制以外は身勝手な理由だし社会体制にしても資本主義、社会主義と体制は

 違っても両体制共に上層部の金銭・権力欲に支配されれば腐敗する、問題は体制

 ではなく頂点に立つ人物であり体制ではない。

 しかし優れた人物であっても寿命には逆らえない、人は学ぶとは言え腹も減れば

 攻撃を受ければ反撃もする、それが生命の性であり進化の中で得た生き残る手段

 であったと考えれば生物進化で存在している生物の奥底存在している思考が様々

 な行動、社会秩序構築に影響を与えているのだ。

 社会体制に話を戻せば民衆の不満などが限界を超えた時に民衆の中から人々を

 束ねる才能と力を有する人物が現れた場合に社会体制を覆す事が可能となる。

 しかし、その英雄的存在も永遠ではなく次代の指導者は体制を引き継ぐが、それも

 次第に志も失われ権力の魅力に取り憑かれ腐敗していく。

 これは体制にとってはさけられない運命とも言えるだろう、この世界を作くり

 その辺を検証したかった、何故なら僕は地球での歴史を最後まで見ていないし、

 知りたかった事でもある、地球で生活していた頃は物事は複雑に入り組んでいて

 人も世界も単純ではないのだろうと考えていたが、この惑星で文明を作り全てを

 内部から観察した結果は一部の原因者の単純な思考の上に幾重にも他者の思惑が

 重なり複雑な様相を形成しているだけで始まりは単純な一人の思考が原因である。

 生物である人は寿命に縛られている事を考えれば世代を超えて受け継がれる知識

 はあれど死と言う絶対的な現実を前にすれば理性や常識など意味をなさなくなる

 のだろうね。

 その制約に囚われない存在は生物としての寿命を超越している者だろうか?

 宗教では悟りという境地も有るが、悟りの考え方の範囲が曖昧ではある・・・

 ウルゲンは僕に永遠に近い寿命を与えたのには何か理由があったのだろうか?

 『人々を導く時が来たら、行く末を見据えなさい』と僕がこの惑星に旅立つ時に

 言われたが彼の真意は何なのか・・・シュリは何か情報を受け取っているようだが

 何故かロックされているようで聞き出す事ができない。

 今は僕達の子孫を幸せに導く事に専念すべきだな、たぶん・・・

 さて・・・どうしようか・・・皆で相談して決めるとしよう。



次回から第二章が始まります(^^)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ