第一章(15)
妻達が集まり今後の方針を決めた。
アステリア王国の内情は不穏さを増す中、佐竹も 現地に向かう事になった。
~~~エストラエル国の佐竹が宿泊するホテル~~~
意見交換したいらしいけど何かあったのだろうか?
アイラ以外はホテルに来ているみたいだ、話をしたいと言っていたラムが
一番早く来たけど何かあったのだろうか?
会議室で行う予定だったけど、時間の調整が難しく結局はアイラの部屋で
行う事になったんだよな・・・念の為にスイートルームにしていたので
広さは十分なはずだ。
今回はラムの希望で集まったけれど、他の妻達の様子もこの機会に確認
してた方が良いかな・・・アイラからの報告で順調なのは知っているが
直接話したい事があるかもしれない、それに顔を見ながら話したいしね。
アイラはまだ来ないのだろうか?
『ごめーん、もしかして私が最後?』
『遅い遅い、アイラ。もうみんな待ってたんだから〜』
お、アイラも来たみたいだな僕も行くか。
『では第1回合同会議を行います!』
『も〜アイラったら・・・真面目なんだから』
『じゃティーナが司会進行する?』
『わかった、わかった。アイラにお願いするわ』
『それではラムさん、相談したい事って何?聞かせてください』
『私の担当しているアステリア王国の王族なのですが、国民には
知られてないようですが良き統治者ではありません。
今回の私達の目的を考えれば問題のある王族を排除し後に私達の
意に沿う統治者に移行してから計画を実行しようとも考えたの
ですが、その場合の計画遂行には時間を要するので、皆さんの
状況を聞いてから判断しようかと思いこの様な集まりをお願い
した次第です』
『わかりました、では他の方々の意見を聞きたいと想います、
ではナーマさんお願いします』
『私のミッションは今のところ順調かな、あと一年程で準備は
整うと思うのよ、そこで皆の状況に合わせて進めようと考えて
いたわ。良いかしら?』
『サリーさんはどうかしら?』
『そうですね・・・今、協力者が属する組織に潜入できましたので
信頼を得、こちらの意図する方向に導くにはまだ時間が必要な
感じでかな。
今回の計画を始めるに際して旦那様(佐竹)からは具体的な目的
達成時期の指示って無かったわよね?』
あ、妻達にこの任を伝えた時に何時までとは伝えていなかった・・・
うっかりしていた・・・
『実は各国の実情と此方側の協力者を選定に要する時間が予測できない
為にある程度情報が出揃ってからと考えていたんだよ。
今日の報告で皆と相談して決めようと思うので、現状の意見を何でも
出してくれ』
ん〜こんなもんで誤魔化せたかな・・・
『わかりました、では次にティーナさんお願いね』
『こちらは現在次期教皇の選定を行っている所なので具体的なアクション
は次期教皇が決まってからでしょうね。
そこからが具体的に進めると想定すれば後2年は必要かな・・・』
『次は私ですね、カストル帝国は兵器開発力では他の国を大きくリード
しているわ。
でも積極的な戦争への関与は考えてないでしょう、理由については調査中
ですが、戦争当事国への兵器輸出による利益と兵器の実験が考えられます。
詳細はこれから調査し協力者の選定を始めた所です』
『今回はラムさんの呼びかけにより集まったわけですが、先ほどの旦那様
からのお話で時期については足並みを揃える事が重要だと私は理解しました。
ラムさん、他の方々もまだ準備段階ですし、今後も定期的に集まり時期的
な事は調整して行くという事で如何でしょうか』
『今回は私の不安から皆様に集まって頂きました、本当にありがとう
お話を伺って私は少し焦って居たのだと思い知りました。
今後は定期的に集まるとの提案は心強いです』
『何を遠慮してるのラム、私達は家族なんだからね』
『『『『そうだぞ』』』』
何とか纏まったようで良かったよ、僕の中途半端な言い方で不安に
させてしまったようだしね、今後は注意しよう。
お詫びとして一つ提案しようかな。
『僕から良いかな?』
話は一段落なようで、ここで僕から皆に提案をした、これから一年
で各国で活動している妻たちを支援する為に会いに行く事を伝えた。
これは僕自身が直接現場を見たいのと、ただ待っているのも暇だった
からで別に出しゃばるつもりはないのだ。
でもこの案は快く受け入れられた、よし!。
その後はお茶を飲みながらの雑談タイムとなり色々な話題が出た。
何々が美味しかったとか、面白い人物がいた、思惑と違う事になり
少し焦ったなど二時間程で話が出尽くし解散となった。
さて、誰から始めようか・・・やはりラムが最初だよな。
~~~~~~アステリア王国の闇~~~~~~
僕は今回の相談を提案してきたラムの所に来ていた。
相談の内容は時間的な事だし大きな問題は無いと思うが念の為
確認したかった事と食料の輸出国として重要なポジションを得ている。
輸出するほど豊富な食材があるのだから食文化も充実しているだろう
と想像した。
今は食事を必要としない体ではあるが、食べる事に興味が無くなった
理由でも無い。
事前に調べるのでは面白くない、行き当たりばったりで食べた方が
驚きもあるだろう・・・少し楽しみだ。
『佐竹さん、何から始めましょうか? 先入先の王室には休暇として
届けているので一度戻る必要がありますが・・・』
『そうだな、ラムは戻ってメイドの仕事に復帰してくれ、僕は街に出て
王国の状況を確認しようかな。
たしか通いで仕事してるんだよね?後で借りている家で今後の打ち
合わせをするよ』
僕は王国の一番の繁華街で情報を集める事にした、情報収集と言っても
実態は食べ歩きだ、でも聞き耳を立てながらだが。
まだ食事には早い時間なのでカフェで寛ぐ事にするかな。
小一時間ほど過ごしたが、聞こえてくるのは仕事や恋人、家庭の愚痴など
聞く分には面白いが情報としての重要性は無い、場所が場所だけに仕方が
ないのだが・・・
しかしディナーが評判の店の情報は得られた、情報元は身なりの良い紳士
信頼性は高いと思う。
今夜あたりラムを誘って行くかな、ラムが好みの店だと良いが。
『今夜、誘いたいレストランがあるんだけれど、どうかな?コース料理で
評判が良い店の情報を得たんだ』
『今晩の予定は空いてますけど、任務はよろしいので?』
『この前の集まりで話したと思うけど、任務の方は皆と足並みを揃える
と考えれば、まだ急ぐ必要はないさ』
『そうでしたね、楽しみです』
その夜、僕たちは繁華街の中程にあるレストランで食事をした、評判
通りでコース内容、味に満足した。
食事を終え宿泊場所に戻り夫婦としての営みを一通り済ませ今後の行動
について話し合った。
翌日ラムはメイドとして王宮に行き、僕は王族を調査する事にした。
盗聴だけでは分からない情報を得るのが目的になる。
簡単に言えば街のカフェでの情報収集で噂話などを聞ければなどと
思っている。
昨晩、食事後にラムから僕が現地に出向いて調査協力をする意味を
問われた。
現地の出向く以前に僕には星全体の空間を把握する能力がある。
ウルゲンにより与えられた能力で星を統治する為のものだ、これは
単に空間把握だけではなく、そこに存在する生物も含めた物質全てを
組成や意識まで把握できる能力である。
この神の様な能力の事を妻達も知っているので、態々現地に出向く事を
不思議に思ったのだろう。
今回の現地に向かう理由は情報を得る行為は補足的なもので実際に
肌に感じたい、それと長らく食事を摂取していないので久しぶりに
食事という懐かしい事をしてみたい、そんな単純な理由なのだ。
『ラム、現在の調査状況の確認だけど王国民の王族に対する印象と
現状はかなり違いがあるみたいだね。
王族は王国民を楽しみの為のコマとしか考えていない、でもそれが
圧政や暴動に発展しないのは生活が安定しているので王族には
あまり関心が無いのだと考えられるな。
その事も王族達は良く理解しているのだろうさ、戦闘には参加せず
食料支援に留めている。
支援の見返りまで求め、戦争で疲弊した両国に攻め入る計画まで
あるようだ。
その時に王国民は王族の非道さに気づくのだろうな』
『流石、旦那様です。報告無しでもそこまでご存知とは・・・
報告する手間が省けます。
では今後の行動についてなのですが、やはり王族を正す方向で
進めるのでしょうか?』
『そうだな基本的な方針は極力干渉しないって事が前提と考えてくれ。
今回に限っては無意味な殺戮が予想される事態となった、いくら
不干渉が原則でも時代の終焉を迎えるには少々早すぎると思ったのさ。
どんな文明でも何れは滅ぶけれど僕としてはもう少し、2・300年
は続いて欲しいかな、だから最低限の干渉を決めたんだよ。
手始めは僕らが王族を正すのは避けたいな、それは王国民が判断
すべき事だろう、それにアステリア王国は軍備を拡大しようと考えて
いるみたいだね、この事はこの世界にとって今後に重要な意味を
持つ事になるんだ。
だから僕たちは大きな流れを変える事ない程度の干渉に留めたいのさ』
『分かりました、では王族は現状維持で周辺もしくは今回の協力者
候補を動かすのですね?
私としては王族打倒を考えていたのですが、旦那様のお考えと違うと
思うのですが・・・』
『僕から言える事は、人々の運命・・・この国とそれ以外の国々に住まう
人々が決める事が望ましいのさ、僕らは彼らを創造し見守るつもりで
いたけど良くない傾向の争いが始まった、僕が以前住んでいた地球でも
権力者が庶民を先導して戦争を起こす事はあったんだ、常に弱い者が
犠牲になり戦争当事国以外の国々が犠牲者に同情したり戦争を主導者を
非難する。
国同士の関係が深ければ自国が影響を受けない程度で支援を行ったり、
していたのさ。
戦争当事国だけでなく無関係な国々にも戦争を肯定する者と異論を唱える
者達が存在し無責任な議論をしていたな。
地球もこの星の世界も人々は真に平等ではないのだろう、生きる為に他者
を糧としている。
存在する為の基本原則が他者の生命を奪う事、それはどのように言葉を
飾り宗教などで意味を持たせようとも他者の犠牲の上に成り立ってる事実
で、そこには善も悪も無い必然なのだ。
だから僕はどちらにも加担しない、でもこの世界を少しでも長く存在
させたい理由は生と死を持つ種族が長く存在する為の手段を探るのが
目的なんだよ。
具体的には歴史の表舞台に出てこない庶民にも権力者を打倒しようと
立ち上がる人達もあれば流されるままに生きる人々も存在する。
そして流されるままに生きてるそれらは大多数を占めているが少数の
権力者に望まぬまま利用されている、それは本能から来る集団を形成
する絶対的必要性のある知性に該当するものなのか?
それとも生物が持つ遺伝的に有する生き残り戦略なのか?
今回が失敗に終わったとしても次に繋げる成果が欲しいので可能な
かぎりデータを取りたい、だからラムは予定通り協力者の支援と保護
を行う事、支援者の行動については彼らに委ねるのを基本とします。
僕は人々の雰囲気を感じたいと思っている。これで良いかな?』
『はい、私の方は引き続き王族の情報を集め協力者であるルーベン氏に
少し脚色した報告と彼の動向を監視しますね』
『そうだね、現状を正確に伝えるのは控えた方が良いね』
ラムは僕との打ち合わせを終え、王城の仕事に戻った。
~~~~~~エストラエル国大統領府~~~~~~
『大統領、アステリア王国より兵器に関する協定申込みの依頼が来て
おりますが、如何いたしましょうか?』
*大統領執務室に国防長官、兵器開発長官が報告に来ていた。
『ロバート(国防長官)よ王国の意図は何なのだ?兵器供与など
我が国が簡単に合意できるものか。
カストル帝国からは一時的に兵器の性能テストとしてイクシオンハープ
を供与されているが継続的に供給される理由でも無い。
アステリア王国が欲しがっている兵器は何なのだ?』
『国防と考えれば何処の国でも兵器調達は重要事項でありますが
今回は単に輸入とは違い協定を持ちかけてきている事が不可解では
あります。
現状では情報が少ないのですが、諜報部で掴んでいる情報では
大掛かりな軍備拡張が疑われています』
『今回の戦争と関係はあるのか?』
『諜報部の情報によればエストラエルが勝利しラウビサウ領土の
手に入れればアステリア王国は領土の一部を食料供給の見返りとして
要求すると思われます、領土拡大とそれに伴う軍拡と軍備拡張ではな
いかと・・・』
『十分に調べよ、協定などそれからで良い。所詮は農業国家慣れぬ
軍事に走るとは蛮勇よの』
『諜報部に詳細な調査の継続を指示します』
『フリッツ(兵器開発長官)報告を聞こう』
『実戦テストで借り受けているイクシオンハープの解析情報報告ですが
基幹駆動システム及び制御装置のプロテクトが難航しております。
この事は当初から予想されてまして現状では原理すら不明であります。
詳細は後ほど報告種として提出ますが、我が国の技術レベルでは複製
及び同レベルの兵器開発は困難と考えております』
『ロバートよフリッツの報告では兵器では敵わぬらしいな、このまま
カストル帝国を放置することは危険ではないか?
あの兵器の威力を考えると近々帝国も野心が芽生えないか?』
『帝国は科学技術で見れば他国と比較すると進んでおりますが
小国であり総合的な戦力と考えた場合は弱小で他国に侵略戦争を
仕掛けるにはリスクが高いと考えるでしょう。
それ故、帝国は我々の様な大国と武器供与により同盟関係を結ぶ
事で間接的に存在意義を示すのでしょう。
我々は帝国の制御を適切に行う事で此方に都合良く操れば良いと
考えます』
『なるほどな、兵器の解析は引き続き行い帝国については同盟関係を
維持、アステリア王国は引き続き調査を行う、良いな』
『『はっ』』
仕事の合間に作業しているので、ストーリーの整合性をチェックする時間が~(TT)。




