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New life  作者: 中神 雄喜
10/18

第一章(10)

やはり御昼休憩時だけで書いているので更新は遅くなります

マイペースで書いて行こうと思います。

    

♯10



*アステリア王国の首都アスオンにラムは協力者を探しに

 来ていた。


『さて、どこから探しましょうか・・・アイラの話では

 この国の協力者は私が選定するみたいだし。

 まずは街でもぶらぶらしましょうか』


 ここは農産物が主産業の国よね、って事は料理は美味しい

のかしら?

基本食事を必要としない私達は月で食事はしないのよね、

スイーツでお茶なんかはするけど。

だからかな地上に降りてくると食事に対する欲求が出てくる

のよ、どこかで情報を得なくては・・・


*ラムは情報収集の為に落ち着いた感じのカフェに入った。


『いらっしゃいませ、お一人様でしょうか?』


『はい、お願いします』


*店は初老の店主と若いウエートレスの二人で切り盛りして

 いた。

 ラムは窓際席に案内されメニューから紅茶セットを注文した。


『お待たせしました紅茶セットになります、ごゆっくりどうぞ』


『あ、ちょっとお尋ねしたいのですが、よろしいでしょうか?』


『構いませんよ、どの様な事でしょうか?』


『観光で来たのですが、アステリアは農業国ですよね、美味しい

 食事ができるレストランとかご存知なら教えてほしいのですが』


『そうですね・・・カバーショなんて良いですよ、フードコート

 ですので食べ比べするには最高だと思いますよ。

 この近くですので、お帰りまでに案内図を用意いたしますが

 如何いたしましょうか?』


『まぁ〜、ありがとう・・・お願いしますね』


 ちょっとぐらい大丈夫よね、久しぶりの地上だし・・・・

少しぐらい自分の為に時間を使ったって・・良しとしよう。


*カバーショは本当に近く歩いて数分の所にあった。

 数十件の飲食店が飲食スペースを囲む様に並び食欲を唆る

 匂いを出していた。

 ラムは大きめのトレーから零れそうな程に料理を載せ

 満面の笑みでテーブルに着いた。

 

 ちょっと多いかな・・・でも朝食も兼ねた早めの昼食だも

の、良いよね・・でも少し目立っていて恥ずかしいかも・・

どれもこれも美味しそうなんですもの〜


早い時間なのに混んでるはね・・・開いてる席は〜っと


*ラムは席を探していると後ろから声を掛けられた


『席を探しておられるのなら、ご一緒にいかがでしょうか?

 向こうに席を取っているので』


*振り返ると30代半ばくらいの男性だった

 身なりも整い誠実そうな感じである。


 席は嬉しいけど・・・どうしよう・・・でも混んでるしな

食事を同席するくらいならば・・・いいか


『ご親切にあるがとうございます、相席させていただきますね』


『では、こちらへ』


 やった〜!中々の美人さんだ、今日は運が良いな。

食事だけでは少し寂しいな、食事中の会話で親しみを

持ってもらえたら食後の誘いに乗ってくれるだろうか・・・

会話を頑張る!


『私の名はルーベン、農作物管理組合で働いてます。

 貴方のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?』


『私はラムです、エストラエル国から観光に来ました

 アステリア王国は食べ物が美味しいと聞いています。

 今日は、ちょっと取りすぎてしまいましたわ』


『よろしいではありませんか、急ぐ旅でなければ

 優雅に食事をするのも宜しいではありませんか。

 私も食事を楽しむとしましょう』


*二人は言葉通り時間をかけて食事をした、2時間程で

 食事が済むとルーベンはデザートを持ち席に戻ってきた。


『これは大きな木の実を使ったデザートで実の部分ではなく

 種の中身を素材として使っています。

 胃に負担が少なく消化を助けてくれますよ、良ければ

 お試しください』


『お気遣い、ありがとうございます。ちょっと食べすぎ

 ました』


 優しさなのか、下心なのか分からない感じね・・・・

エストラエル国の情報が聞けるかもしれないけど

どうしましょうか?

こちらから誘うのも何か軽いよね・・・

農産物管理組合ですか、国の機関かな?

ん・・・・


『私で良ければですが、観光案内しましょうか?』


 よし、このタイミングだな、良く言った!自分。


『よろしいのですか?食事の後に観光案内所に行こうと

 思っていましたのよ。

 お仕事はよろしいのですか?』


 自然な成り行きで相手からの誘い、ナイスですよ〜

ルーベンさん。これは受けるしかないわ。

何か有益な情報が得られれば良いのだけれども・・・

そこまで都合よくは無理でも、この国の内情を少しでも

聞ければ良しとしましょうか。


『今日は仕事を休んでまして、全然大丈夫ですよ。

 どこか行きたい所とかありますか?

 無ければ、オススメの場所に行きますが』


『お任せします、思いつきで来た旅行なので

 美味しいものを食べる事以外は考えていませんでした』


『では、行きましょうか』


*ルーベンは牧場へとラムを案内した、牧場はカバーショ

 に隣接する湖の対岸にあった。

 観光地化された牧場で飼育されている動物との触れ合う

 事もできた。

 牧場では乳製品が生産され農産物同様にアステリア王国

 の特産品になっていた。


『船で移動すると景色が綺麗ですね、ちょっと得した気分

 ですわ、それに湖上の風が心地よいです』


『気に入ってくれたなら案内して正解でした。

 アステリア王国は農産物だけではありません牧畜も

 盛んに行われているのです、だだ最近は・・・・・』


『どうなされたのですか?』


『あ、いえ何でもありません、ちょっと考え事ですので』


 おや?何かありそうね、チャラ男だと思ってたけど

一瞬だけど雰囲気が変わった気がしますわね。

この男、面白いかもしれませんね〜。


*牧場は観光の設備も整備され土産物の売店、小さな

 子供用の遊戯施設、カフェなどが併設されていた。


『これは中々の素敵な所ですね、湖からの風も心地よい

 ですね。

 大きな動物は少し苦手ですので雰囲気の良いカフェで

 時間を過ごす方が私には向いてるみたい。

 ルーベンさんカフェで少し話しませんか?』


『喜んで、湖がよく見える席を探してきます』


*二人は他愛もない話をしながら一頻り過ごした

 

『良い国ですね、自然が豊かで食材も豊富、生産国で

 しょうから安価で暮らしやすいのではありませんか?』


『あ、、、あ、そうですね・・・・』


『?、何か私、変な事をお聞きしましたか?

 そうであれば、ごめんなさいね』


『いえ、違います。ちょっと思う所がありまして考え

 込んでしまいました。ごめんなさい』


『それなら良いのですが、差し支えなければ聞いても

 よろしいですか』


『実は最近、食品の物価が上昇してて生活を圧迫して

 いるのです。

 輸出量が増え国内需要に対して供給量が不足している

 のです』


『それはお困りでしょうね、でも国民から不満とか出ない

 のでしょうか?

 私なら騒いじゃうかも、フム!』


『国民も不満は溜まっていますよ、既に物価は倍近くに

 なっていますし・・・

 集落には国から派遣された役人が居て彼らが抑えて

 いるのですよ、強制的に。

 私も国の機関の人間ですので、出された指示には

 逆らえません。

 でも私もこの国に住む住民ですから生活苦は感じて

 ますよ。』

 

『そうなのですね・・・私は観光で来たので気づきません

 でしたわ』


 ん〜全く気づかなかったわ、来る前にもう少し調べる

べきだったわ・・・反省。

でも。、このルーベンって男は探している条件に合ってる

きがしてきたわ。

もう少し彼の事を調べようかしら。


〜〜〜〜ラオビサウ共和国、英雄の苦悩〜〜~~


*野戦病院を退院したネムは看護をしていたナーマと

 共に共和国内の政治団体ヘルトに来ていた。

ヘルトは戦争に関する情報提供を行う機関で共和国

 の外郭団体である。

 ここでネムは部下の家族の情報を調べようとしていた。

 献身的な看護で信頼を得たナーマは退院したネムの

 自分だけが生き残ったという後悔の気持ちと死んで

 いった部下に対して出来る事がないか苦悩している

 彼の力になりたいと申し出たのだ。

 本来の目的であるサポート要員としての事もあるが

 彼の精神状態を安定させる事を優先したのだった。


『ネムさんはこれから何をするのか教えていただきたいの

 ですが?』


『ナーマさん、すまないな・・・俺なんかの我儘に

 つき合せてしまった。

 自分だけが生き残り部下を死なせてしまった。

 あの状況で自分が出来た事など何も無いだろうが

 それでも自分が許せないのだ、せめて残された家族に

 最後の状況と隊長として何もできなかった事の詫びを

 言いたいと思っている』


『気遣いはいりませんわ、手助けを申し出たのは私なので

 すから。

 それに私も看護師です、助けられず看取った患者さんも

 沢山いました、ネムさんの気持ちも理解できるつもりです』


*二人は戦死した部下の遺族に会う為に国境の街に向かった。

 国境の街、バーゼルはラオビサウ共和国では小規模で人口は

 2万人、農業従事者が多い何処にでもあるそうな農村である。

 ここはネムの片腕だった副隊長ディーボの出身地であった。

 

 出発して2日後にバーゼルに到着したネムとナーマはディーボの

 家を探していた。

 そこで商人らしい男に声をかけた。


『すいません、共和国の兵士でディーボという方のお宅を探して

 いるのですが、ご存知ならば教えていただけませんか?』


『ディーボ?知らねえな、俺は仕事で来ているだけさ、すまね

 えな』


 ん〜何人かに聞いたけど小さな街とはいえ簡単に見つかるわけ

ないわね、やはり役所とか警察で調べた方が良いかしら・・・


『ネムさんはディーボさんについては名前と出身地しかご存知ない

 のですよね?

 役所か警察に行き調べた方がよろしいと思うのですが?』


『ああ、そうだな。聞き込みだけでは無理だと感じたよ。

 ナーマさんの考えに従うよ、よろしく頼む』


*二人は警察に行ったが転居したらしく役所で転居先を調べる

 事になった。

 転居先はバーゼルから半日程の距離にあり共和国の中心に

 近い街だった。


『多分、この辺よね・・・聞いた住所は。

 あ、このアパートじゃない?

 "すいません〜” ちょっとお尋ねしたい事があるのですが

 何方かいらっしゃいますか〜』


*少し待つと奥の方からドアに近づいてくる足音が聞こえてきた。

 そしてドアが開き初老の男が立っていた。

 

『どちら様ですかな、私は貴方との面識は無いと思うのだが』


『すまない、俺が話そう。

 俺は退役したが元共和国の軍人で隊長をしていた、部下に

 ディーボという男がいたのだが、この家の者ではないか?』


*男は名を聞き目を閉じ空を見上げ静かに語りだした


『ディーボ・・・は儂の息子じゃよ、ひと月程前に共和国から

 戦死の知らせが来たよ・・・

 部下と話されたが、どのようなご要件ですかな?』


『息子さんが戦死された時に俺も隊長として同じ戦場にいたが、

 運良く俺だけが生き残ってしまった。

 隊長として部下に何もできなかった・・・

 詫びても何も変わらぬが、それでも残された家族に対して

 少しでも謝罪の言葉を・・・と思い訪ねて来た。

 謝罪を受け入れてはもらえないだろうか?』


『そうだったか・・・儂も以前は軍人じゃった、御主の様に

 部下を率いて戦場に赴き死なせた部下も少なくはない。

 軍人であり部下を従えれば犠牲が出るのは仕方があるまい

 息子は軍人じゃ、死は覚悟してたであろう。

 命令での戦死であれば御主は気にするな、儂も咎めはせん』


『その言葉、感謝する』


*ネムは一礼しディーボの家を後にした。


『ナーマさん、俺は戦争の正当性を少し疑っているんだ。

 俺は兵士だが、軍を通じて多少の情報は得ている

 エストラエル国へ侵攻した理由については不当な輸入価格の

 吊り上げに対しての制裁だと聞いている。

 これは真実なのだろうか?』


『私は断言できる立場ではありませんが、貴方を看護していた

 時期にそのような噂を聞いたことがありましたわ。

 でも、それだけではないような気がしています』


 今後のためにも、あまり詳しい理由は情報として話さない方が

良いでしょうね、彼が自ら情報を集めそれを基に考え、判断する

事が重要であり、それによる行動の内容は私達は強制できないと

思う。

こちらの意図に添っていただけるなら都合が良いのでしょうが・・・


*その後ネムとナーマは部下の遺族を訪ね謝罪の言葉を告げた。

 謝罪を終えた二人は情報収集の為、共和国に向かった。

11話は各国の戦争拡大を回避する為の協力者を探す為に

妻達が奔走する続きを書く予定です。

読んでいる方がいたら気長にお願いします。


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