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どうぞ蔑んでください  作者: 渚シエロ
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17歳の頭の中

今の気持ちを忘れないように、書きました。

1


なんでも話せるお友達がほしい、あの頃の私はそう、思っていた。至極真面目に、真剣に。お互いの持つ秘密、たとえば電車の中で男の子の逞しい背中を見ていやらしい気持ちになったとか、そんなくだらなく、とても大切なことをなんでも打ちあけあう。生理前、私はずっとひとりぼっちで、世界には私以外私と仲良くしてくれる人なんていないんだ、そんな気持ちになった時は、その子と2人で話し合いをする。1人で生きていく方法について、この世の全ての逆説について。あの頃の私は、私以外の誰かをひどく必要としていた。自立を早くに求めすぎたせいだった。


しかし現実は、真っ黒に焦げたパンをかじり続けるような毎日だった。学校の女の子達はうわさ話や悪口が大好きで、毎日何かを査定することに一生懸命だった。勝手に傷ついて、人を攻撃して、自分の傷を癒す。誰かが誰かを非難すれば一緒になって非難する、例えそれが間違ったことであっても。女が女の中で生き残っていくためには、そういうことができなくてはならない。私だってごく普通の人間だから、悪口くらい言ったことはあるし、他人の失敗を馬鹿にして笑ったこともある。でももう私はそういうことに飽き飽きしていた。なにより大人になりたかった。そんなわけで次第にクラスメイトの女の子達と話をすることはだんだんと少なくなり、それと同時に友達も減っていった。最初からその子達は友達だったのか、それはいささか疑問だけれど。


先生達も頭がおかしかった。子供たちを社会の犠牲者にするために、せっせこせっせこ働いていた。綺麗に答えが写されたノートに合格の判子を押し、評価をつけた。そしてまた、皆が綺麗に答えを写す技術を身につけるためだけにある宿題を大量に出した。私たちはコピー機だった。これを言うのは2回目、もう私はそういうことに飽き飽きしていた。早く家に帰って、口の中にふんわりひろがる珈琲の甘みだとかを単純に感じながら、本を読んだり、音楽をきいたり、作曲をしてみたり、そういうことがしたかった。学校で教えられるお勉強は全て私にとって無意味だった。私に必要な知識は、私が自分の手で手に入れる。好きなことを、好きなぶんだけ、好きな時間に。コピー機にはならない。私はひとつの心を持った人間だった。


こんな偉そうなことをいう私も所謂受験生だった。受験生だなんて言葉を聞くと、私も実は真面目な人間だから、少しやる気が湧いた。聡明で、知的で、品のある女性には憧れていたし、知識を増やすことは楽しかった。

けれど、私は家にいると必ず、際限なく、文化的な、お堅いお勉強とは遠く離れたお遊びを始めてしまう癖があったから、近くのファストフード店へ行って勉強することにしていた。日曜日の昼間は子供やお母さんたちで溢れかえって、勉強どころの騒ぎじゃないけれど、平日の夕方なんかは比較的空いていた。暇そうなおじいちゃんや、中学生達がスマホを眺めている程度だった。だから私はその時間帯を狙った。


いつもみたいに平日の夕方、私は、暇そうなおじいちゃんや、スマホを眺める中学生達が集まるファストフード店で、英語のテキストを読んでいた。夢の認識の歴史、というようなタイトルだったと思う。フロイトだとか神のお告げだとかそんな話。そうこうしていると、事件は起こったのだった。


電話がなった。

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