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ひなたの詩&エッセイ集

百個目の奇跡

作者: ひなた

 一 何もわからずに 僕は一人立ち尽くす

 二 優しく手を差し伸べてくれた君 とても嬉しかった

 三 幼い僕にとって 君はとても大きく見えていた

 四 知らないことを知るという 喜びの中で君を想う

 五 僕の狭い世界の中で 君というものは全てだった


 六 少しずつ慣れてきて 一人でもできることが増えてきて

 七 君に褒めてもらいたくて 一生懸命に頑張った

 八 笑顔を向けてくれる君 僕の胸を締め付ける気持ち

 九 知らなかったんだ 辛いことなんて何も知らなかった

 十 世界を知らない僕にとって 君というものは全てだった



 十一 一人でできるようになるということ

 十二 君が隣にいてくれたその意味

 十三 僕の胸の中で膨らみ続けていく想い

 十四 知っているようで どれも何も知りやしない無知な僕

 十五 日向の隣に日影があるということ その頃は知らずにいられた


 十六 順調さから生まれていく自惚れ

 十七 自分の持った狭い世界を 世界なのだと信じて疑わず

 十八 叶うはずもない未来を見据え 夢を見て

 十九 全てが輝いて見えて 何もかもが楽しかった

 二十 報われない努力もあるのだということ その頃は知らずにいられた



 二十一 いろいろなことを知り始め 僕はもっと広い世界を望んだ

 二十二 自分には力があるんだと思っていた

 二十三 これまで努力してきたんだから 大丈夫だって思っていた

 二十四 そして何より 君がそのことを望んでくれていると思っていた

 二十五 始まりの場所が遠ざかっていくことに 成長を感じ喜んだ


 二十六 花が咲いて 人々が幸せな気持ちに包まれていく

 二十七 続いてきた平和を象徴するような 華やかな祭りの最中

 二十八 盛り上がりの中で 僕は広い世界へと降り立った

 二十九 これこそが 僕の力を試す絶好の機会だとも思ったよ

 三十  周りにも人は大勢いるのに そこにいること自体に成長を感じ喜んだ



 三十一 大きな街には 今までに見たことがないほどの人がいる

 三十二 頂点に立つような人には 手が届きようもない

 三十三 しかし反対に 僕よりも下がいることも確かな事実だった

 三十四 最初から僕は 最下層に位置することはなかった

 三十五 中途半端な力と空回るヤル気が 僕を半端な位置に留めた


 三十六 眩しく太陽は輝いて 人々の心にも火が点いている

 三十七 度胸を試す 恐ろしい祭りが開催される

 三十八 その裏には 人の訪れが少ない地域を盛り上げようという

 三十九 偉い人の企みがあることも 薄々は気付いていた

 四十  都会で培った冷めた考えは 僕を半端な位置に留めた



 四十一 周りに合わせていかなければ だれにも見てもらえない

 四十二 どんなに頑張ったところで 人の多いところでなければ……

 四十三 街へ出て暮らしていくうちに 僕は教えてもらえなかったことを知る

 四十四 やっと気が付いたんだ 君が哀しそうな顔をしていたこと

 四十五 自分の実力など所詮はその程度 初めて僕は挫折というものを知る……


 四十六 少しでも実力者へ近付けるように 僕は寄せていこうと決めた

 四十七 見てもらいたい 評価してもらいたい 認められたい!

 四十八 そんな気持ちが 僕の心を闇色に染めていく

 四十九 楽しいという感情は消えていて 努力の方向も曲がっていく

 五十  それが褒められるはずもなく 初めて僕は挫折というものを知る……



 五十一 上ばかりを目指していても 希望など持っても傷付くだけ

 五十二 どうせ傷付くだけならば 尽くす努力もないというもの

 五十三 楽しくて仕方がなかったのに 好きだったはずなのに

 五十四 簡単に僕は諦めてしまいそうになっていた

 五十五 何もわからなくなって 僕は一人立ち尽くす


 五十六 凍えるほど冷たい風に吹かれ 人々の心も冷たくなる

 五十七 街に出て初めての冷たい季節に 僕は勝てるはずもない

 五十八 もう慣れていたつもりなのに 心は更に氷っていく

 五十九 ”どうせ”なんて腐った考え方が僕になってしまっていた

 六十  もう何もわからなくなって 僕は一人立ち尽くす



 六十一 そんなときに 僕と君は出逢ったんだ

 六十二 成長したと思っていたのに 結局何も変わっていなかった

 六十三 またも僕は君に助けられてしまっていたね

 六十四 もっと広い世界を見てごらんと 君は笑顔で言う

 六十五 広い場所で暮らした僕は 広い世界を見た気になっていたんだ


 六十六 腐った考えばかりでなく 楽しみというものを思い出す

 六十七 評価されたいわけでなく 好きなのだということを思い出す

 六十八 届かない場所へ手を伸ばすより 届くところから目指していこう

 六十九 下を見て自信を付けるのではなく 自分というものに誇りを持とう

 七十  殻に閉じこもっていたくせに 広い世界を見た気になっていたんだ



 七十一 周囲を見回してみたならば みんな僕と同じ世界を生きている

 七十二 勝利を手にした人なんて ほんの一握りなのだと気が付いた

 七十三 そこに入ろうと無謀な挑戦をするより もっと気楽になってもいい

 七十四 君が笑顔で言ってくれた言葉が 僕の心の闇を取り払ってくれた

 七十五 だから僕は素直に楽しめる 仲間の応援もできるようになったよ


 七十六 見返りなんて求める必要がない 楽しんでいるんだから

 七十七 僕と同じように努力している人の 力になれたらいい

 七十八 諦めてしまう人が 少しでも減ってくれるようにと願って

 七十九 素晴らしいものをもっと見てもらえるように 願いを込めて

 八十  敵視するのではなくて 仲間の応援もできるようになったよ



 八十一 多くの人と接し その素晴らしさを伝えていく

 八十二 僕の言葉に力などないけれど 少しでも……少しでもと……

 八十三 ありがとう 嬉しい 驚いている

 八十四 僕に返ってきた言葉の数々は みんな足掻いているのだと感じさせる

 八十五 自分が一番頑張っているなんて それが最大の自惚れなのだとわかった


 八十六 僕の素直な気持ちを 一つ一つ言葉にしていく

 八十七 隠すところもなく 正直に言葉にしていく

 八十八 共感したと言ってくれる人 中には馬鹿にする人もいた

 八十九 けれども僕がいかに楽しんでいるか それを再確認できたと思う

 九十  自分だけが頑張っているなんて それが最大の自惚れなのだとわかった



 九十一 人の多いところにいて いつでも顔色を窺って

 九十二 確かにそれが頂点への近道なのかもしれない

 九十三 僕はそれよりも僕自身が楽しめる方がいいって 思えるけれど

 九十四 そして本当に称賛されている人は 楽しんでいるということもわかる

 九十五 だから僕は帰ろう 君が待っている場所へと


 九十六 人数は少ないかもしれないけれど 強い交流を持てる

 九十七 求められていないかもしれないけれど 僕が楽しめる

 九十八 人が多いからといって 必ずしもそれだけが正しいわけではない

 九十九 だから僕は帰ろう 君が待っている場所へと

 百   だから笑顔で帰ろう 君が待っている場所へと

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― 新着の感想 ―
[良い点] 100編目おめでとうございます( *´艸`)そして今、気づいた!ひなたさん、わたしより一年なろう歴が先・輩!そう思ったら、余計にわたしも勇気付けられました。いつも、真っ直ぐに突き進む気持ち…
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