月光
浮き出た背骨
食べさしの林檎
月の随分白い夜
あなたの
痩せてしまった身体
肥えた月の下
窪んだ目よりも
深い場所へは
まだ
行ってほしくはなくて
何せ
月はとても明るく大きいものだから
あなたの尖った指先を
誘い
狭いベランダに腰掛ければ
(薄い身体)
(重なり重なり厚くなる夜)
さらさらと降る
月光の音に
静かに耳をすませ
この美しい夜が
あなたの身体の隅々まで
行き渡り
一筋の光も溢さぬまま
どうか
あなたと世界を
繋ぎ止めるように