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試案6
そこにあるのは、死体の山だった。機械的に殺され並べられた死体がおよそ二百.。つまりは今主人公がいる村の住人全員分の死体だ。必死に吐き気と戦う主人公の前で、おられたり曲げられたりした彼らは、もうすでになにも語らなくなったはずのその体で――殺人者の手によって地に並べられた体で――語っていた。
家に帰れ、と。
間違っているのかもしれない。悪趣味な血文字ならぬ死体文字を前にして主人公は思った。結局自分がしたことは、中途半端なガキの遊びだったのだ。外からやってきた少女に出会って一人で胸を躍らせ、特に目的があったわけではないのに禁忌を犯した。そしてつまらない冒険心の代償が、今目の前に広がる光景だ。
生まれて初めて見る、死に満たされた空間の中で、主人公の心は一瞬にして飽和し、麻痺した。今まで人の死とは無縁の空間で生きてきた主人公にとって、最初に遭遇する死が大量殺人の現場のものであるというだけでも卒倒ものなのに、その殺人の原因が自らにあるという事実は、到底受け入れ得ぬものだった、




