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試案4

 ヒロイン1が魂達の家(シーズハウス)と呼んだ廃屋の中には、信じられないぐらいたくさんのガラクタが詰まっていた。もとはショッピングモールか何かだったのだろうが、ハンガーや鍋、手鏡などの良く見慣れた雑貨から、ウィスキーやワインといった各種酒、果ては拳銃や刀といった武器まで転がっている。俺にとってもこれはかなり珍しい眺めではあるのだが、殊買い物となると女性陣のほうが滾るものがあるらしく、ヒロイン1とヒロイン2はとっくの昔に俺のそばからを離れてウィンドウショッピングを楽しんでいる(正確に言えばウィンドウはとうに朽ち果てているし、ショッピングでもないのだが)。

仕方がないので、俺も建物の中を歩き回って適当に物色しているのだが、今のところなぜ彼女らがああも大騒ぎできるのか不思議になるばかりだ。確かに、廃墟をうろつくという行為は多少冒険心をくすぐられないではないけれども、目の前にあるのがゴミだけではそこまで興奮することはできない。

例えば、今俺の目の前にはリボルバー拳銃が陳列されているのだが、それは随所に赤錆が浮いていて、引き金も弾倉も撃鉄も、まったく動きそうにない。俺だって男だ、これを見て興奮しないではないが、動かない銃を見ても一定以上までテンションが上がることはない。隣の日本刀だってそうだ。刀身と拵が別々に展示されているところを見ると、もとは相当な名品だったのだろうが、鞘の漆ははげちょろ、色褪せた柄糸はほつれて往時の艶やかな姿を想像することはほぼ不可能。刀身は刀身でいわゆる赤鰯の状態で、触った瞬間にボロボロと崩れて粉にでもなってしまいそうだ。

「こんな粗大ゴミに特別な精霊なんて宿っているのかよ」

 俺はそういいながら何とはなしに刀を手に取ってみる。ざらざらとした錆の感触が伝わってくるが、それだけだった。それだけの、はずだった。

「うっるせぇーなぁー。こんなものとかいうんじゃねえよ。その手を切り落とすぞ? それから、気安く女の子に触るな、この変態。痴漢で訴えるぞ!?」

 気づけば、俺の目の前には全裸の女の子が立っていた。歳は、十二、三歳だろうか。歳の割には平坦な胸を思い切りそらして、半眼を俺に向けてきていた。


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