第三話
涙と悲劇と憤怒の食事を終えた五人は既に国境近くの高野まで来ていた
戦場によくなる場所で色々な所に崖のようなモノや地面がえぐれて大きい岩などがある
国境まで行くと勿論警備兵がいるので一応保険として見つかっても軍人だとすぐにわからないように変装はしている
場の空気はピリピリしている
と思いきやクスクス聞こえる…
カイル『カヤル…お前…反則だぞ?笑』
カヤルは変装するときの服を二年程前から買い換えていないので
カイル『ピッチピチとか反則だぞ笑』
四人は爆笑の渦に一人は憤怒の渦に呑まれた…
レナが何かに気付きそこを指差した
指の先は小さな村を指していた
カイル『確かに…プッ…このままじゃな…プププッ…』
カヤル『笑いたきゃ普通に笑えばいいでしょう?!…はぁ村に行ってきます!』
カイルは肩を震わせながら頷いた
カヤルは足早に村へと向かう
少しすると丁度いいサイズの服を着たカヤルがやって来た
カイル『あれ?あの服は?笑』
カヤル『ズタズタに切り刻んで焼きましたよ』
カヤルはそういいながらカイルを睨んだ
当のカイルは気にすることなく更に追い討ちをかける
カイル『似合ってたのに…笑』
他の三人は肩を揺らしている
カヤルは国境の方を見ながら歩き出した
カイルはわかったわかった笑といい隊列を整え再出発した
国境を分ける高さ3m程度の鉄柵が見える距離まで来た五人は近くの草壁に隠れていた
警備兵の数が多いため遠回りになるが山を登り国境を下る事にした
国境をまたぐ大きな山グランドキャニオンに着いたカイル達だったが不法入国が多いのか警備兵が歩き回っている
カイル『無闇やたらに殺生したくないんだがな…』
しかし事は急をようする…
今見える警備兵の数は両国合わせて二十人
半分は国境であろう場所に立ち様子を見ている
残りの者は色々な場所に分かれて様子を見ている
自国の警備兵はカイルを知っているため襲ってくることはないだろう
しかし国境の警備兵を殺す事は宣戦布告する事と同じ…
カイルの考え出した答えはカイル達にしか出来ないやり方…
グランドキャニオンに流れている川の流れに身を任せ入国する
と言うものだ
カイル達は身動きをとらないのなら水中でも5分以上息を止めていられる
四人は頷きシルディ帝国からイニア連合国に流れている世界一大きい川グランドリバーへ向かった
川の流れは早く、水量も桁違いに多い
常人が流されればひとたまりもないだろう
水温もたったの18℃
そんな恐怖の川だが外見はとても綺麗だ
光を反射する水面
その光を受け輝いているように見える草木
そして静かに聞こえるは自然の唄
声の主は鳥
メロディーは木と川
カイルは人の手が全く入っていない自然の美を見て一息付き川に入る準備を始めた




