第三十三話
次の日…とは言っても、まぁまだ日を跨いで数時間だから辺りは真っ暗だ
人がイイ気分で寝てたのに軍に召集かけられて苛々してる半面、白夜達の事がバレたのか心配で大分と血圧上昇中だ
心配の要素は二つ
召集内容は帝宮に着いてから説明するとかで馬車に乗せられた事
馬車の中にはassassinのメンツしか居ない事
ん?確実バレてんじゃんって?…そんな殺生なぁ…希望の糸断ち切らんとって下さい…
などとカイルがしょうもない事を思っている間に馬車は帝宮に着いてしまった
帝宮に着くなり五人はレムが待っていると言う帝王の間に行くことになった
他の四人も後ろめたい事があるため皆引きつった顔をしている
レム『カイルよ…私に何か隠しているであろう?』
まさか…本当にバレてるとはな…どうすっかなぁ…せめてサヤ達は逃がしてやりたかったな…
カイル『いえ、何も隠してなどおりません』
兎にも角にも考える時間を稼がなくては…
レムは、ほぉ…と呟やきカイルを視た
その眼は確信に満ち溢れていた
つまりは証拠がある…と言うことか…
カイルは心の中で舌打ちをした
と帝王の間に一羽の鷹が飛んできた
俺が居なくなった家に押し入って何かしら調べたか…サヤ達…無事だといいんだが…
レムは伝書鳩から文を取り出し目を通すとカイルに問い掛けた
レム『何故だ?何故、お前程の地位を敵の為に捨てる?』
ここまで…か…
カイル『どの道貴方にはわからない…』
カイルは溜め息混じりにそう言った
レム『確かにわからないな…一度でも刃向かった人物を助ける道理が』
カイル『何故わからない?…私からすれば貴方の方がわからない!何故一度でも刃向かったら殺さなくてはならない!?』
わかっている…レムは不安の芽は全て刈り取る…邪魔なモノも含めて…
レムはカイルの予想通りの言葉を言い放った
カイルは無駄とはわかりつつ今までの経緯を話した
レム『愚かな…少し計画が狂ったが…まぁよいか…』
計画?…どういう事だ?なんの計画だ?
レムはそれを読み取ったのか…その計画を話し出した
レム『お前達は私の掌で踊らされていた…と言うことだ』
??カイルは意味がわからなかった。軍に入った時点でレムの手足になることは明確…つまりは掌で踊る事になる。そんな当たり前の事が計画?
レム『冥土の土産だ。計画の詳細を話してやろう。始めから私はお前達を生かすつもりはないのだよ。天下を平定した時点で濡れ衣でも何でも被せて葬る気だった。まぁもうその必要もない…勝敗は決している。この文はな…竜とゼウスの捕縛に成功した。と言う文なのさ。つまり貴様らはもう不必要』
なっ…まさか…サヤ達は…もう?…カイルは自らの身よりサヤ達の事が気が気でなかった
レム『心配するな…お前だけを先に逝かすつもりはない。愚か者は明日まとめて処刑してやる』
そこでカイル達の意識は遠退いていった…
普通ならかわせたであろうpriestの捕縛用techniqueも動揺したカイル達はかわせなかったのだ
遠退く意識の中…カイルは自らの無知さを怨んだ…
ん?…ここは?…あぁ…そうか…そうだったな…私は…
カイルは目覚めた…巨大な十字架に張り付けられた状態で…
時間は…恐らく午前中か…燦々と照りつける太陽とももうお別れになるのかな…
周りを見渡すとサヤや子供達…そして白夜達とシン達の姿があった
がゼノの姿は見当たらなかった…
無様だねぇ。下から声が聞こえた
それは間違いなくゼノの声だった
ゼノ『計画で抜けてた部分教えるよ。俺はスパイ♪初めからね♪』
はぁ…んな事まで見切れなかったのか…俺は……せめて…
それ以降…誰が話しかけようとカイルは全く口を開かなくなった
そして死刑執行の時刻…カイルは唐突に沈黙を破った…




