第三十二話
白夜と刹毅が居候して、もう一週間になる…
イニアもサルティアも主戦力は壊滅状態で形勢は完全に逆転していた
兵力ではまだイニア、サルティア連合軍の方が上だが既に圧倒的な差はない
カイルはまたいつもの場所にいた…
帝宮、最上階の屋根の上…
カイルのお気に入りの場所だ
帝都付近は相変わらず鼻がもげそうな程の死臭が漂っている
慣れたっていや慣れたが臭い事に変わりはない
白夜と刹毅は毎日毎日レイとリンの相手をしてくれて助かってるってサヤが言ってたけど…
レイはともかく毎日リンの相手か…
よく精神崩壊を起こさずやるもんだ…
あのガキンチョは最近テレビであまり観なくなった《で○ょ。》とか言う芸人を改造してとある一言を語尾に付けてくる
全く意味がわからん!
例をあげよう!あれが事の始まりだ!
風呂出たら俺に教えてくれるよう頼んでいたんだ
まぁ30分後くらいに髪の毛拭きながらリンが来たんだ
リン『パパ〜お風呂開いたんですかぁ?』
と満面の笑みで聴いてくる
意味がわからん!
さっきまで入っていたんじゃないのか?と思いながら『誰か入ったのか?』って聴いたんだ
リン『ううん、誰も入ってないんですかぁ?』
またもや満面の笑み…
まず言葉が既におかしい!何故否定して否定した出来事を疑問文にして返すんだ!有り得ないではないか!そう思わないか!諸君!
ぬ!?何子供相手にムキになっているんだ?だと?ふっふっふっ…甘いな…何度も何度も言われていたらイラッとするよ?疲れて早く風呂済ませてベットに入ったのに耳元で
『パパ〜絵本読むんですかぁ?』
『絵本読まないんですかぁ?』
『読んで欲しいんですかぁ?』
『起きてるんですかぁ?』
『生きてるんですかぁ?』
『死ぬんですかぁ?』
と延々と続けられてみろ!
とにかく睡眠不足間違いなしだ!
リン曰わく芸名は《ですかぁ?》らしいが…
白夜と刹毅を心から哀れに思う…来る家を間違えたようだな…アレはサヤをも越える器だ
我が嫁と娘ながら恐ろしい…
だがまたそこが可愛いと言えばまぁ可愛いのだが…
何?親バカ?ぬ?ただの馬鹿?ん?ドアフォ?
うむ!子を持てばわかる!子を持つ親は皆少なからず親バカになるのだ!
ん?最近よく本題から離れる?それは作者に言ってくれたまえ!元々読書する質ではなかったが為苦労しているらしいのだ!
とまぁ雑談はこの程度にしてこの一週間で起きた主な出来事をお教えしよう…
敵側の主だった戦力は壊滅状態だ。前に見せたリストで残っているのはジュピターとアフロディーテのみだ。予想外な事にどちらもそれなりの使い手だったのでまんまと逃げられたのだ
順を追って簡単にお話しよう
まず白夜と刹毅が来た次の日、勿論まだ修正が終わっていない東門を狙って進軍してきた
その中には相手の能力を低下させる符術を得意とする沖田 神流や主戦力のポセイドン、ルナの姿もあった
白夜と刹毅に呪符に対する対抗策を教えて貰った
対抗策とは水だ
呪符は効果を発するまではただの紙切れらしい。一度効果を発すると効果持続時間が無くなるまでどうしようもないとの事だ
幸い俺が水の攻撃techniqueを使えたので沖田 神流の力は容易く防げる
問題はポセイドン、ルナのコンビだった。コンビネーションは抜群…と言う情報しかない上、白夜も刹毅もいくらサルティアと同盟を結んだとは言え詳しい事まではわからなかった
しかし退く訳にはいかない
knight2部隊を連れ迎撃を開始した
雑魚はknightに任せassassinは本命である神流、ポセイドン、ルナに当たった
神流に気付かれる前に神流を水浸しにする事に成功したがポセイドン、ルナのコンビに邪魔され一時取り逃がしてしまった
ルナの速度が異常な程早い弓矢とポセイドンの圧倒的なパワーを誇る業火を吹く大剣
水浸しの場所なら…と思ったが一瞬で全て水を蒸発させる程の業火だ
ルナの矢も速度に担う貫通力で石の塀に軽々と穴を開ける程だ
業火は石畳を使えばガード出来るが矢は貫通してくる上に穴からは業火が噴き出すと言うなんとも厄介なコンビネーションコンボだ
この状況を打破する為にカイルは大胆な作戦にでた
前に抹殺した呪符師。楓の亡骸から拝借した筋肉レベルを上げる呪符を脚に数枚張る
呪符師が既に札に呪文を書いき力を封印している場合は誰が貼り付けても効果がある。と白夜と刹毅が教えてくれのだ
案の定、呪符は貼り付けられると同時に少し光った
皆にも貼り付け、カイルの大胆な作戦がスタートした
作戦内容は至ってシンプル。素早い移動で二人をおちょくり回す!相手を激怒させ冷静さを欠いた所で同士討ちさせる。と言うモノだ
上手く行くはずがないと思いきや大成功だった
苛々する二人は自分達の立ち位置など考えずただ大技を連発していた
そして四人は同時に二人の間を通り抜けた
ポセイドンのヘルファイアーと言う真青な業火とルナのエンジェルスターと言う矢を一気に十本飛ばす技とがぶつかり合ったがルナの矢は業火を貫通しポセイドンを貫いた
ポセイドンのヘルファイアーもたかが十本の矢が貫通したくらいで消えはせずルナを焼き尽くした
逃亡を計った沖田 神流も護衛無しに敵陣から逃亡出来るわけもなくknightの三番隊隊長ハウロによって討ち取られた
ここにカイル達の勝利と同時に主戦力の大半を失ったイニア、サルティア連合軍の劣勢が確定したのだ
勢いに乗ったシルディ帝国は少数の精鋭を使い敵陣に夜襲をかけた
敵兵は向かってくる者だけを倒し敵陣の兵糧庫を強襲
食糧難に陥った敵軍は兵を付近の乗っ取った都市へ向かわせ食糧難の打破を試みた
だが既にシルディ帝国の別働隊が既に付近の都市への道に隠れていた
敵軍も油断していた訳ではないが地の利はシルディ帝国にある
伏兵を見付ける事は出来ず敵軍別働隊は全滅した
更に勢いに乗るシルディ帝国、それとは逆に士気が低下し続けるイニア、サルティア連合軍…
勝利の女神はシルディ帝国に微笑み始めていた




