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First Novel  作者: GARAM
33/37

第三十話

カイル達は今、本来敵である白夜、刹毅と雑談に華を咲かせていた




それまでの話を総合した仮説をお話しよう




鬼を打ち負かした白夜と刹毅はデータや今までとは考えられない程内気で優しい性格の持ち主だった




恐らく両名既に妖刀からの侵食を受けていたと思われる




妖刀の元の持ち主は天地 竜との事




元は白夜も刹毅も一般兵だったがとある日、竜に呼び出され妖刀を授かり、妖刀を肌身離さず持っておけ、と念を押して言われた事から察するに竜はこうなる事をわかっていたと考えられた




とすると絆は刹毅をも助けたのか




カイルはふとそう思い地面に転がった二本の妖刀を見た




未だに禍々しいオーラを発しているが最初程ではない




レイに授けた妖刀はどうなんだろう…




カイルはふとそう思った




あれは代々受け継がれていると聞いたし、クロフォード家は代々シルディ帝国に仕え、歴代のknightの隊長やassassinに入隊するものやpriestの五大神官になった者までいる




言わばエリート家系の筈だ




妖刀が何代目から受け継がれているのかはわからないが過去に妖刀の虜となった者がいるなら受け継がない筈…




とは言え妖刀を使えなかったとしたら…




カイルは気が気でなかった




と気付けば既に日は傾き戦場から聴こえていた音や声も無くなり始めていた




カイル『白夜達はどうするんだ?このまま素直に退却した上、部隊は壊滅、妖刀は打ち負かすと竜の機嫌を損ねるには十分過ぎる理由だと思うが?』




カイルの問に二人は頭を抱えた




カイル達と分かり合ったとは言え帝王レムは残忍な性格の持ち主である




若干27歳で国を継いだ。としか国民や教本などには教えられていないし乗っていないがカイル達や先代時代から奉仕していた者からすれば《乗っ取った》の方が正しかった




先代の帝王は武もなければ知も浅かった




だがそんな自分を変えようとカルロスに手合いをしてもらったり先代の五大神官のトップ、ジャンに色々学んだりなどしていて、国民からの支持はそれなりにあった




間違いを認める強さもあり失策を隠蔽したりなどはしなかった




そんなある日、先代の帝王は大きなミスを犯した




軍人や国民は皆で頑張れば取り返せる。だから頑張りましょうと彼を応援した




しかしレムは無性にも父の大失策を攻め自殺と言う死に追いやった




しかし先代をよく知るカルロスは先代の自殺を不信に思った




休むことなく調べ尽くしたが結局、レムの尻尾は掴めずハードな任務との疲労により老衰し、40歳と言う若さでこの世を去った




カイルも不信に思ったがカルロスの自分宛ての遺書にレムには逆らうな。と言う文があったため父を信じレムを信用して付いてきている




だがレムがこちらに寝返ると言っても敵兵を生かして置くはずがない




不穏なモノは根から絶やすのが彼だからだ




イニア、サルティアの両国はシルディ帝国を囲むよう陣型を変えたので二人慎ましく暮らす。と言う夢さえ今は実現出来る事ではなかった




カイルは悩んだ末に一つの答えをはじき出した




カイル『賭だ。どうせ敵兵を助けた俺達の行動が知れたら多かれ少なかれ罰せられる。ならお前等二人くらいかくまってやるよ』




白夜『しかしそれでは貴方だけではなく家族にまで火の粉が降りかかる事になる!』




カイル『心配すんな。大体、いくら敵兵でも困ってる奴ほっといたら嫁さんが恐いんだよ』




カイルの嫁、サヤを知っているシン、カヤル、レナは激しく頷いた




刹毅『しかし…やはり迷惑をかけるわけには』




カイル『誰がいつ迷惑だ。なんて言った?俺はあんたらみたいな相思相愛の兄妹が大好きなんだよ』




カイルは優しく微笑みながらそう言った




シン『諦めな。隊長は超頑固だからそう易々と意見は曲げないよ』




うるせぇと相槌を打ちこんなにもピンチの状態でも笑顔で笑い合う五人のassassinを見て白夜と刹毅も笑顔でよろしく!と言った




人目に着きにくい路を歩きながら家路に着くカイルと白夜、刹毅




カイルは今日の出来事を思い出していた




愉しくて嬉しかった…




初めて思った…




俺は…




人に…




産まれてよかったと…

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