第二十八話
白夜の暴走は治まる事なく更にヒートアップし始めた
カイルはヒートアップする前にそれを感じ取り固まっているシン達を連れその場を一時離れた
百鬼衆も隊長である白夜がこのような状態なので追うこともなくただ立ち尽くしていた
カイルはなんとか百鬼衆の状態が見えるの場所まで離れると一緒に連れてきたknightの隊員にpriestを呼んでくるよう頼んだ
恐らく白夜は鬼に完全に取り憑かれるだろう…四肢があの大きさと太さだとすると釣り合うように大きく躰が大きくなったとすると…3mくらいか?…タイタンやタングステンどころの騒ぎじゃないね…アレは…
カイルの感覚的なモノからするとカイルの力を1とするとタイタンやタングステンは4くらいだろう、しかしあの白夜の力は軽く見積もっても6、その上アレでもまだ本当の力を出していないように感じた
文献や昔話だと鬼は知能に乏しく本能的に動くそうなのでカイルは百鬼衆と自分達の間に様々な罠をtechniqueを使い作ってみた
作り終わりふと百鬼衆の方を見ると石畳を叩くのをやめ暴れまわっている白夜がいた
帝都が…とも思うがとてもじゃないが近付ける気がしない
軽く何トンもあるであろう石畳を軽々と蹴飛ばしたり近くにいた百鬼衆の隊員をまるで紙切れのように引き裂いたりあるいは麺の生地を打ち付けるようにしたりとまさに血の海になっていた
白夜は遂に額から立派な角が生え顔のサイズも四肢と同じく躰に不釣り合いな程大きくなり口からは犬歯であろう歯が飛び出て既に牙と言うべきモノになり全身の色が妖艶な光を放つ黒っぽい青に変わり爪は先ほどからまるで発泡スチロールを削るかのように石製のモノを容易く削り取っている
八十人程いた筈の百鬼衆の数も今や既に二十人程しかいない
何故逃げないのか…正確には逃げれないのだ…
白夜が放つ覇気、と言うべきモノは凄まじく刹毅は腰を抜かしているだけで済んでいるが他の隊員は意識を失っているのだ
その覇気は勿論カイル達の所まで届いていてknightの隊員達は気を失いかけている
カイルはknightを下がらせ自らも一時その場を離れpriestに腕と肋を治癒してもらった
カイルが戻った頃には百鬼衆の隊員は既に刹毅だけになっていた
刹毅は覇気に慣れたのかまだおぼつかないが一応動けるようになっていて白夜の攻撃を紙一重でかわしていた
刹毅は必死でかわしながら何かを呟きながら白夜に何かを向けていた
シン『隊長…アレは?…』
シンが不信に思い尋ねた
カイル『恐らく妖刀を鎮める呪文と札、だろな…』
シン『だとしたら助けないと!』
カイルの冷静な物言いにシンは怒りを露わにしながら怒鳴った
カイル『治まるかわからないんだぞ?と言うか確実に治まらないな…恐らく奴が妖刀に取り憑かれ始めたのはずっと前からだ。恐らく既に90%は鬼だ。どうせ治まらないなら刹毅が死んでから相手しても遅くわない…』
カイルは冷静にそう言い放った
シン『隊長…それを本気で言っているんですか?…』
シンの言葉には熱が籠もっていた…
怒りと悲しみの熱が…
シンはわかっている…
カイルが本当は刹毅を助けようと誰より助けたいと思って居ることを…
だが隊長として敵に情けをかければ自分だけでなく家族や周りの人にも火の粉が飛ぶため必至に感情を押し殺していることも…
だが慕い尊敬している相手の冷たい言葉に感情を抑えきれなかったのだ
カイル『はぁ…やっぱダメだわ…敵でも目の前で大切な誰かの為に頑張る奴を見捨てれそうにない…』
刹毅は助けを求める事はせず呪文の合間に白夜に頑張って打ち勝って!魔に負けないで!と叫んでいた
その声や顔は自分が助かる為ではなく明らかに白夜の為に言っているように聴こえた…
他人からすれば自惚れや他人を信じすぎ…と想うかもしれない…
でもそれが俺だ!
きっかけがあれば人は分かり合える!
カイルはそう信じ心を決めた…
カイル『我が隊はこれより刹毅を救出後、白夜傷付けず尚かつ白夜の気を引く…死ぬなよ』
カイルは最後の言葉は一番強く…そして優しさの溢れる心の籠もった言葉だった
応えるように皆も笑顔で大きく頷いた
俺がしようとしてることは間違ってるかもしれない…確実に帝都の法には…規律には反している…
でも…
それでも俺は見捨てる気にはなれない…
つくづく俺は隊長って柄じゃないな…
まっなるようになるさ!




