第十七話
カイルは一軒の家の前に来ていた
assassinに提供されている家でレナの家だ
造りは洋風
掃除なんてする暇はないが週に一度、帝都最上階を清掃するときについでにしてもらえるため外見はとても綺麗だ
カイルの家はサヤが断って自分で磨いている
カイルは一息つきドアをノックした
返事はなかったがドアが開いた
レナ『すいませんでした…ワガママを言って…でも一言…一言でいいから謝って欲しいです…ダメ…でしょうか?…』
レナは泣いていたらしく眼は潤み周りには涙の跡があった
カイル『はぁ…俺がダメだ!って言うと思うのか?アイツ謝るのは当たり前だろうが、モノには限度がある。限度を越えたら謝るのは当然だ。妥協してもらって悪いな』
カイルはそう言うとレナの頭を撫でジンが住んでいた家、ゼノ宅に向かった
レナ『隊長!』
カイルはレナに呼び止められ振り返った
レナ『有難う御座います』
レナは深々と頭を下げた
カイルは微笑むとまた歩き始めた
有難う…か…イイ言葉だな
その頃…シン達は頭を抱えていた
まだゼノには会っていない
どうやってお灸をすえてやろうかと考えていた
シン『軽く、じゃないとダメなんだよなぁ…』
カヤル『重く、なら色々あるんだけどなぁ』
う〜ん
カイル『あれ?お前ら何してんだ?お灸すえ終わったのか?』
長いこと考え過ぎていたらしくカイルが来た
シン『いやぁ、どうやってお灸すえようかなと悩んでました』
シンのあまりにも抜けた答えにカイルは頭を抱えた
カイル『ったく…もういい俺がするから』
カイルはそう言うとゼノ宅の扉を叩いた
すると扉の向こう側から応答の声が聞こえ扉が開いた
ゼノ『またあんたかよ、一体何?説得ならごめんだよ?』
ゼノは鬱陶しいという顔でカイルにそう言い放った
カイル『単刀直入に言おう。明日、任務の前にレナだけでいい。謝れ』
カイルは怒りを込めて言った
ゼノ『なんで俺が?馬鹿馬鹿しい。そんな訳のわからない命令には従えないねぇ!大体自分の身を護る事さえ出来ない奴が悪いだろ?事実を言っただけだろうが!』
ゼノは完璧に扉を開きそう言い放った
カイル『一つ聞く…それはマジで言ってんのか?マジで自分が謝る必要ねぇと』
思ってるねぇと言うゼノの言葉にカイルの言葉は遮られた
カイル『そうか…はぁ…外に出な』
カイルはそう言うとゼノ宅の庭に向かった
ゼノも何も言わずに外に出た
ゼノ『殴り合おうって?男って感じだねぇ笑、負けちゃうよ?笑、俺つえぇからさぁ』
ゼノはそう言いながら指を鳴らし始めた
カイル『弱者はよく喋るな…耳障りだ』
カイルが嘲笑しながら言うとゼノは殴りかかった
勝負は一瞬でついた
ゼノの拳はカイルに当たる事はなかった
代わりに飛び込んだゼノの顔面にカイルの渾身の右ストレートがクリーンヒットした
ゼノは宙を舞い…いや宙を物凄いスピードで地面と平行に飛び自分の家の壁に激突した
壁にはヒビが入りゼノは少しの間動かなかった
カイル『お前には人情を教える気にもならんな…選ばせてやるよ。このまま死ぬか、これ以降俺達の前に現れないか』
カイルは地に伏し吐血するゼノに冷たくそう言い放った
ゼノは息絶え絶えになりながらこう言った
ゼノ『俺はassassinの新隊員だぞ!なんて事しやがる!お前の前に現れるなだど?ふざけんじゃねぇ!』
ゼノは何とか立ち上がったが既にフラフラだ
カイル『ふっ口だけは達者だな…死にたいようだし殺してやるよ』
カイルはそう言うとゼノに向かって歩き始めた
シン『隊長、流石に殺してはマズいのでは?』
確かにいくらassassin隊長とは言え戦場以外で人を殺せばただではすまない
カヤル『ゼノ、素直に謝りな。お前の言葉はレナを傷付けたんだ』
カヤルは冷静に理由を述べた
ゼノは黙ってフラフラながらも自宅のドアノブに手をかけ
ゼノ『わかったよ…俺だって死にたくねぇし…明日謝るさ』
と言い残し家に入っていった




