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Delusion WORLD  作者: いがろ
Episode 1:Weblog
3/29

現代裏社会調査部

用語集:

ツイッパー【ついっぱー】

140文字以内の「ツイル」と称される短文を投稿できる情報サービスで、

ツイパ社によって提供されている。「ミニブログ」「マイクロブログ」

といったカテゴリーに分類される。


にゅーちゃんねる【にゅーちゃんねる】

日本最大の電子掲示板サイトである。

略して「にゅちゃん」「νch」「νちゃん」などとも表記される。


マックスコーヒー(MAX COFFEE)【まっくすこーひー】

マッ缶などと称されるコーヒー飲料。

大量の練乳が加えられており、他のコーヒー飲料では味わえない甘さが特徴。

その味にリピーターになる者も多い。

自分の受ける講義をすべて終えた僕は、

特に行く宛もないので、2階の休憩スペースに居座ることにした。

スペース内にある自動販売機で買ったマックスコーヒーを飲みながら、やることもなくケータイを開く。


「にゅーちゃんねる」。


日本で一番巨大で、知名度のある匿名掲示板。

そこではいつでも、様々な話題のスレッドが立ち並び、

ざっくばらんに盛り上がっている。

こういう場所で持ち上がるのは基本的にくだらない話題ばかりだが、

稀に面白い話題を見つける。

何が言いたいかといえば、時間つぶしにはもってこいの場所ということ。


「みんなで大喜利やろうぜwww」やら

「ナンパマスターだけど今日10人目の女の子食ったったwww」

などというスレッドが並んでいる中、ある文字が目に留まる。


「元警察官ですが、疲れたので色々と暴露します」

胡散臭く感じつつも、そのスレッドをなんとなくクリックしてみる。


本文を見るに、どうやらスレッドを立てた本人は今さっき辞職した警察。

警察をやっていて黙っていたこと、つまりは裏事情を色々と暴露しようとしているらしい。

だが、当然ながらそのスレッドには

「はいはいウソ乙。さっさと死ねよ」

「なんか証拠出せ」

「いるんだよなー こういう馬鹿が。ハイハイお疲れ様でーすwww」

「通報しますた」

「ここはお前の日記じゃあねぇんだよ」

などといった、冷やかしや誹謗中傷の書き込みばかりが溢れていて、

誰ひとりとしてまともな話をしようとする者はいないらしい。

確かに、こういったウソの書き込みは少なくない。

この本人はマジメに語ろうとしているのかもしれないが、仕方がないといえば仕方がない。ここはそういった場所なのだから。


トントンと肩を叩く感触。

不意の事に驚き顔をあげると、そこには鞄を持った夏河の姿があった。

「おまたせー。もう。目の前に居るのに全然気づかないとか鈍くないー?」

いつの間にか、僕はそのスレッドを読むことに集中していたようで、

夏河の存在に気付かなかった僕に対して不満そうな様子を見せている。


「ああ、ごめんごめん」


「もー。あ、マックスコーヒーだ。好きだね~それ。

そんなのばっかり飲んでると病気になるよー?」


「まだ若いんだし問題ないよ、多分ね。」

軽くなったマックスコーヒーの缶を持ち上げて

残りを一気に口の中に流しこんだ。

コーヒーとは思えないそれのおかげで、口の中は甘ったるさで一杯一杯だ。


「で、今日はどうするの」

空になった缶をゴミ箱に投げる。

ガコン、という小気味良い音と共に、缶はゴミ箱に吸い込まれるように入っていった。


「ナイスシュート。とりあえず、なんか面白いネタないか聞きに回ってみようか」

夏河はそういうと、どこかへ歩き出す。

そんな彼女の背後を、僕は少し歩くスピードを落としてついていく。

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