Prologue
知ってはいけない、踏み込んでは行けない領域。
選ばれた者以外は、認識すら許されない第二の社会。
そういうものがもしも、現代世界にあったとして
そういったものを、世界を垣間見たものがいたとしたら
知ってしまったものはどうなるのだろうか。
答えは明確にして単純だ。
知ったものを世界から排除すればいいだけの事なのだから。
例え、知ったものの存在が世界から消えてしまっても
社会は何の変化も見せず、いつもどおり動くだけなのだから。
そうやって都合の悪いものを消して、社会の秩序を保ってきたとすれば
その行為は善なのか、悪なのか。
そして、それを知ろうとするもの、暴こうとするものは悪なのか善なのか。
僕自身は、周囲から見て善なのか悪なのか。
自分自身に問いただしてもわからない、答えを見出せない。
形容しがたい恐怖と、耐えられない程の後悔の念で手は小刻みに震えている。
いつまで経っても震えの止まらない手で、
髪をグシャグシャとかき乱して、キーボードを叩いている。
何を間違ってしまったのか。
どこで間違ってしまったか。
僕はどうすればいいのか。
僕にどうしろというのか。
誰か、僕はどうすればいいのか教えて欲しい。
誰か。




