表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追われし者 中編  作者: 成瀬なる
王宮にて
8/31

スリンの決断

 王宮で、スリンは、大勢の侍女に外出を妨げられていた。

「いけません。王女様。王様の許しなく王宮を出ることは禁じられております」

「ええ、その決まりは知っているわ。でも、今はわたくしが王の代わりだわ。

 父上の喪が明けたらわたくしが王になるのだもの」

「ですが」

 なおも言いつのろうとしたスリンをそっとオンディーヌが引っ張り、スリンに耳打ちした。

「わかりました。それではおとなしく部屋に戻りますので」

 態度が急変した王女に戸惑いつつも、侍女たちはスリンが部屋に戻るのを見ていた。

 部屋に帰ったスリンは返ってきたウムスに向かって、心から安堵の笑みを見せ、抱き付いた。

「よかった。とっても心配したのよ」

 ウムスは、突然のことに目を白黒させながらもうなだれた。

「ごめんなさい」

「いいえ。こちらこそ、ごめんなさい。このご時世にあなたを一人で外に出すんじゃなかったわ」

 ウムスは表情を硬くした。

「……それは、僕が光を失っているから?」

「そういうわけじゃないわ。精霊狩りが横行しているこの時に、わたくしの大切な友人を一人で歩かせるべきじゃないということよ。

 あなたは確かに力がある。それこそわたくしなんかよりもずっと。でも、わたくしが知らない間にあなたになんかあったら、わたくしは後悔してもしきれないから」

 それを聞いてウムスは安堵半分、悲哀半分といった表情を見せた。

「本当に、僕はひねくれものだね」

「あなたに何があったか知らないけれど、あなたがひねくれているとは思わないわ」

 スリンの言葉に、ウムスは心から安心してスリンに身を預けた。

「今なら、聞けるかもしれない」

 オンディーヌがスリンにそっと耳打ちをしたが、スリンはかぶりを振った。

「今はまだその時じゃない。ウムスは話したくなったら自分で話してくれるわ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ