7/31
メルーナーとウムス
ウムスはメルーナーにとらえられていた。
「なぜわたしを捕らえる、イレサイン・メルーナーよ」
メルーナーはそれを聞いてあざ笑った。
「スリンのもとに堕ちた精霊風情がわたしに質問とはな。
時に、お前は盲目だと聞くが、なぜそう普通に動けるのだ」
「お前に答えてやる義務はない」
そういったきり、ウムスは黙り込んだ。
「黙っていてもいいことは何もないぞ」
メルーナーが、ウムスを脅す。
「テラエモタス」
ウムスはつぶやいた。その最後の文字が言い終わるか終らないかのうちに、二人の周りが激しく揺れだした。
「地震か」
メルーナーは急に慌てだした。それもそのはず、この国ではもう何百年も地震などというものはなかったのだから。
「フラクトゥラム・イン・フェラム」
すると、メルーナーの下にあった地面がぱっくりと割れ、支えを失ったメルーナーはその中に吸い込まれていった。
「クラウストラム」
そして、ウムスは、割れた地面を閉じると、さっさとスリンのもとに戻るべく、踵を返した。