表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追われし者 中編  作者: 成瀬なる
王宮にて
5/31

スリンの反撃

「わかったわ」

 あまりにもあっさりしたものいいに、メルーナーは返って戸惑ったが、すぐに、スリンの手に縄をかけようとした。

 スリンは笑った。

「それがあなたたちの目的ね。いいわ。とらえたければとらえなさい。ただし何が起こってもわたくしは責任をとりませんわ」

その言葉を聞くが否や、メルーナーは黙って、共に連れてきた兵士を見捨てて逃げた。

「情けない男ね」

 そしてスリンは密かにオンディーヌ、ジルフェ、ウムスに耳打ちをした。

「あれに恐怖を感じさせて。フェリア狩りなんてやりたいとちらとも思わないように」

 三人はうなずくと、兵士を取り囲んだ。

「アブスコンデ」

 オンディーヌがそう呟き、兵士の周りを水壁で覆う。

「テンペスターテム」

 ジルフェが水壁に手を突っ込みながら叫ぶ。

中で、兵士の叫び声がする。

 恐らく、中で暴風に襲われているのだろう。

 しばらくそれを楽しげに見ていたウムスは突然ふいとその場を立ち去った。

 スリンはウムスを一瞬見たが、すぐにウムスがやろうとしていることを理解し、放っておいた。

「ディミッテ」

 ジルフェが声を上げた。スリンの合図が入ったのだ。

「シカーティオ」

 オンディーヌもそれに続いた。濡れていた兵士の服が見る間に乾いていく。

 スリンはにっこりしていった。

「フェリア狩りをするのはやめなさい。フェリアは今や人口の三分の一はいるのですよ」

 兵士はがくがくと頷いた。

「ウムス、やめてあげて」

 ウムスはそれを聞くや否やつまらなさそうに戻ってきた。

「僕は役なしか。がっかりだな」

「地割れを起こすのはかまわないけど、周りの迷惑を考えてね」

 優しくそう囁いたスリンにウムスは静かに首肯した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ