試験の後で
――その夜、五人の精霊が、この空間から消えた。
「おめでとう、スリン。よくやった」
トラクタスは心から嬉しそうな表情をした。テンパスもスリンの方を喜ばしげに見た。二対の無色透明な瞳が、スリンをまっすぐに見ていた。
「僕たちの友になってくれ、リュウア・スリン」
そういってトラクタスはスリンの前に膝を折った。それに倣ってテンパスも膝を折る。
精霊たちは珍しいものを見たと思った。あの矜持の高い双子精霊をここまでするとは。
二人が顔を上げたとき、その瞳の色の変化にスリンは驚いた。
「僕たちは、他の精霊とは違う」
スリンの疑問を読み取ったかのようにテンパスは話し出した。
「僕たちの瞳が再び完全な無色透明になったとき、その時が君とのお別れだ」
「俺たちは、君を認めているが、それだけではない、ということも覚えていてほしい。
今、悪意あるフェリアがこの国に現れた。俺らがそれと契約させられれば、とんでもない災害がこの世に降りかかるだろう。
それを防ぐための目的もあるのだ。スリン、俺らをがっかりさせないでくれ」
二人の漆黒の瞳に見つめられ、どぎまぎしながらもスリンはうなずいた。
「分かりました。できるだけわたくしも希望に添えるよう努力いたしますわ」
そういってスリンは二人に向かって手を差し出した。
「よろしくね、テンパス、トラクタス」




