ロストワンの号哭 【修正の修正】
ほんとに多大なるご迷惑おかけしてスイマセン
駄文でほんとにスイマセン
当初はナレーションを予定していたのですが、ナレーション無しになりまして、
もしも、ナレ:の部分がありましたら、ご報告ください。
【備考】
*僕は泣き出しながら教室にある椅子と机をめちゃくちゃにしているだろう。それはただの明日のこと。
修正:「たった」→「ただの」
これなんですけど、『ただの』っていうのは唯一って意味で使ってるつもりです。その明日の日は僕にとってもう一人の僕を殺した日であり、自分の名前が出てくる日でもあるので大事な日だなぁと。
なのでわかりにくかったらこんなようなニュアンスの言葉をくださると嬉しいです。
*僕ことまもるは一人称【僕】、もう一人の僕は一人称【俺】を意識しています。
文章だとあれ?なんで変わってるんだろうと思うかもしれませんが素敵な演者さんの声が入れば違いがわかるのかなぁと……ほんとスイマセン
*書いてて見つからないいうのもアレなんですけど、きょうごうは驕傲って書きます。ロストワンの歌詞の2番にに出てくるやつです。『どうしようもない位の驕傲を ずっと匿っていたんだ』
見下すとか馬鹿にするって意味なんで、見下したように言ってくださいって意味です。見つけられなくてごめんなさい。
*僕:元通りに机を戻すのに時間はかかるだろう。【戻す気力】にはなれなかった。
修正:戻す気力→戻す気にしてください、これも見つからなくてほんとスイマセン
*あとは少々変更した程度であまり変わってないので、お時間ございましたら読んでいただく程度で結構です。最後になんか書いてあるんでそこだけ読んでくれればうれしいです。
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※句読点、ダッシュ等を意識して演じてください。
僕:主人公
文学:文学少女
ムー:ムードメーカーの子
ロス:ロストワンの子供
裏僕:もう一人の僕
先生:先生
私の中でのイメージとしては、
僕ことまもる:普段は大人しいが、自分が虚無であることに気づき(もう一人の僕によって)、人格が変わっていく
文学少女:普段はおどおどしているが、主人公の前では絶叫最後はクール
ムードメーカー:とにかく明るくてちょっとギャルっぽい感じ。
ロストワンの子供(イメージとしてはテディ太なんですが、今回はロストワンとさせていただきます):両親から虐待を受けている子供(最終的には死んじゃいますスイマセン)、主人公の前では明るい。
もう一人の僕:普段はチャラくてニコニコしているけど、時々冷酷になる。自分を乗っ取ろうとして失敗。
先生:みんなの憧れの先生
って感じです。
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僕:僕は、教科書や宿題よりももっと大切なものを、教室に忘れてきたのかもしれない
その号哭は――――――止まらない。
ここでOP(ロストワンの号哭)、主に歌い手。(ただしOP通常サイズ)
(ロストワンの最初の音楽、歌詞しゃべる前ぐらいでフェードアウト)
(ざわつき)
ホームルーム。落ち着かないクラス。
先生:「先生はこれから職員会議だから。とりあえず学級長、あとの進行よろしく」
(ガラガラッ、扉を閉める音)
(立ち上がる音)
文学「えっと……ということで、今日のお知らせをしますね」【おどおどした感じに】
(ガヤ)
文学:「し、静かにしてください」
僕:平凡な一日だった。僕は息をし、僕は教室の一番奥の隅の席に座り、外を眺める。
文学:「静かにしてください!!」
(ガヤが消える)
文学:「す、すいません……大きな声をあげてしまって……」(不安げに)
ムー:「早く進めちゃいなよー」
文学:「あ、そ、そうですね!明日の時間割をお知らせしますね」
僕:僕は人の話を聞かずに出された宿題を解いていた。
今まだに解けなかった問題はない。
(ペンの音)
僕:前に立つ文学少女の話を聞かずに僕はただただペンを進める。
文学:「そ、それではこれでホームルームを終わりにしたいと思います!」
思った以上に時間がたつのは早く、いつの間にかショートホームルームは終了していた。
(席を立つ音)
僕:「帰るか・・・」(退屈そうに)
(ガヤ)
ムー:「ねぇ、○○くん」(ピー音/電子音)(できるだけチャラく)
僕:声をかけられたかと思うとクラスの女子だった。名前はよく覚えていない。僕は何も言わずにクラスの女子の顔を見る。
ムー:「ここの問題わからないんだけど、教えてもらってもいい?」
僕:「別にいいけど……」
僕:何も変わらない毎日。優等生な僕は勉強を誰かに、作業的に教える。
(倒れる人の音)
僕:僕がペンを握ろうとしたその時であった。突如、僕の近くで人が倒れた。
モブ1「キャアアアアアアアア」
モブ2「おい!誰か先生呼べ!」
モブ1「わ、私・・・呼んでくる」(おどおどした感じで)
僕:「・・・ん?」
ムー:「誰か、倒れたみたいね」
僕:ざわつくクラスに僕は無関心だ。
(誰かが走って近づく音)
ムー:「あ、先生」
先生:「どうしたんだ……ってまた倒れたのか」
モブ1「大丈夫かな、○○ちゃん(効果音2)」
(抱き上げる音)
先生:「とにかく、こいつは俺がつれていくから」
モブ1「あ、いいなー」
モブ2「私もお姫様抱っこされたいー」
先生:「ははっ、そういってくれるなんて嬉しいよ」
(立ち去っていく音)ナレ:自分には関係ない日常の1コマ。
ムー:「あ、ごめん、勉強聞くところだったのに」
僕:「ん?あぁ、いいよいいよ」
ムー:「えっとここがわからないの」
僕:僕は平凡な日常を送っていた。誰かに存在を否定されることもなく、邪魔されることもない。
僕:「うんと、今その式で出た答えと、そのやり方と同じやり方でここを解いてもらって……」
ムー:「うん……」
僕:「で、比較すれば出るよ」
ムー:「えっとちょっと待ってね……あ、ほんとだ。ありがとうー!○○くん(ピー音)」
僕:「いや、でもさ……」
ムー:「え?」
僕:「人に聞いて宿題やるのってどうなの?」
ムー:「だってわかんないし……。ていうか、勉強なんてやったって意味ないし」(最後の方を強調)
僕:「えっ?」
モブ1:「おーい」
ムー:「あ、今行く!ごめん、教えてくれてありがとう!」
(立ち去る音)
僕:頭の中か外の世界か、時計の音が鳴り行響く。誰かがいたような気配を感じたがすでに誰も教室にはいない。僕はいつも通り家に帰ることにする。
(BGM)
(フェードアウト)
僕:最近妙な夢を見るようになった。
裏僕:「おはよう」(元気よく)
僕:「誰だよお前」(面倒くさく)
裏僕:「冷たいなぁー」(冷やかす感じで)
(BGMスタート)
僕:ある時期を境に、自分とそっくりの少年が目の前に現れるようになった。
裏僕:「今日は学校どうだったの?」
僕:3日目の質問も同じ質問で、まるで自問自答のようだ。
僕:「特に何も・・・」
裏僕:「ふーん、今日も女の子としゃべってたよね、あの明るい感じの女の子」
僕:「ん?あぁ、それが?」
裏僕:「いやぁー、あの子君のタイプでしょ?」
僕:「は??」
裏僕:「照れなくたっていいってば、俺にはわかるよ」
僕:「ち、違う!たまたま話かけられただけで」(あわてた感じで)
裏僕:「それとも文学好きのあの委員長さん?」
僕:「あれはないって・・・」(吐き捨てるように)
裏僕:「そう?僕は好きだなぁ」
僕:自分がまるで言ってるように聞こえて虫唾が走った。
僕:「やめろよ」
裏僕:「あはは。君と会話してると生きた心地がする」(狂い気味で)
僕:「何言ってんだよ、生きてねぇだろ。これは夢だろ」
裏僕:「さぁ?」
僕:僕はどうすればいいかわからない、思わず無言になった。
裏僕:「お前は俺が実体化してほしいの?」
僕:「やだよ」
裏僕:「なんで?」
僕:「なんでって……そりゃあ自分が自分に話しかけられるのは……」
裏僕:「そう?困ったときは相談に乗るよ」
僕:「困ったことなんかないし」
裏僕:「なんで?」
僕:「いや……優等生だからさ」(溜める感じ)
(プツンッ効果音)
僕:何かが切れる音がした。
裏僕:「今日はもう寝るね」
僕:「早く僕の前から消えてくれよ」
裏僕:「ひどいなぁー、泣いちゃうよ」
僕:「思っても無いくせに・・・」
裏僕:「さすが、だって自分だもんね」
僕:「うっ・・・」(怖がる感じで)
僕:なぜか僕は背筋が凍った。
(ヒールで歩く靴音)
裏僕「そんじゃあ、またねぇ~」(不気味に)
僕:もう一人の僕はどこかに行ってしまった。(少し間をあけて)
僕:翌日、自分が目を覚ますのは一時限目の国語の授業のこと。
(BGM(短め))
数学が好きな自分は数学の時間が生きがいだった。
数学の先生の言葉が好きだった。
「数学ができなかったら、何もできないけどな」
その通りだ、数学ができれば、何でもできるんだ。
モブ1:気を付け、礼
僕:あれ、数学の先生じゃない。
そして、僕の大嫌いな、小説の朗読が始まった。
(BGM:人間失格-Neru)
文学:「私は、その男の写真を三葉、見たことがある。
一葉は、その男の、幼年時代、とでも言うべきであろうか、十歳前後かと推定される頃の写真であって、その子供が大勢の女のひとに取りかこまれ、(それは、その子供の姉たち、妹たち、それから、従姉妹いとこたちかと想像される)庭園の池のほとりに、荒い縞の袴はかまをはいて立ち、首を三十度ほど左に傾け、醜く笑っている写真である。醜く? けれども、鈍い人たち(つまり、美醜などに関心を持たぬ人たち)は、面白くも何とも無いような顔をして、
「可愛い坊ちゃんですね」」
僕:僕は何も考えずに授業を聞いていた。
僕:「退屈だ・・・」(呟く感じで)
文学:「といい加減なお世辞を言っても、まんざら空からお世辞に聞えないくらいの、謂いわば通俗の「可愛らしさ」みたいな影もその子供の笑顔に無いわけではないのだが、しかし、いささかでも、美醜に就いての訓練を経て来たひとなら、ひとめ見てすぐ、
「なんて、いやな子供だ」 と頗すこぶる不快そうに呟つぶやき、毛虫でも払いのける時のような手つきで、その写真をほうり投げるかも知れない。」
僕:ありきたりな物語の一部のページを読むなんて全くもってつまらない。こいつが考えていることやこいつが思うことなんて自分には考えられない。自分が体験しなければ理解できないことだ。
裏僕:「へぇ~君はそう思うの?」
(文学少女がしゃべっていたのを切断)
僕:「え?」
裏僕:「ほんとにリアルでも冷たいんだね君は」
(ヒール足音)
僕:僕には理解ができなかった。目の前にもう一人の僕がいる。そして目の前に僕がいるのに誰も反応しない。
裏僕:「おいおい、そんな困った顔をすんなよ」
僕:なんなんだよ……
裏僕:「俺はお前以外からは見えないの」
僕:「なんでだよ」
裏僕:「そりゃあ、お前が夢の中でしか俺としゃべれなかったのと同じ」
僕:「リアルに出てくるのかよ。」
裏僕:「これはノーフィクションさ、そこに書いてある物語なんかよりよっぽど面白いよ」
(BGM終了)
僕:「お前がでてきたことが?」
裏僕:「そうそう、俺と仲良くなればいいよ」
僕:「自分と仲良くなるなんて気持ち悪いじゃないか」
裏僕:「まぁまぁ、でもほんとこの子可愛いね」
僕:もう一人の僕は文学少女を見ながら冷たく笑ったのだった。
(BGM)
僕:平凡な帰り道。僕はいつもどおり一人で歩く。誰かと一緒に帰ることが嫌いな僕は普段どおり過ごしていた。
(車の通り過ぎる音)
僕はひどく困っていた。
裏僕:「浮かない顔をしているね」
僕:「そりゃあそうだろ……国語の宿題なんて聞いたこと無いぞ」
ナレ:その日僕らのクラスに出された課題は人間失格の話を読んで感想を書くというものであった。
裏僕:「感想文は今までどうしてたの?」
僕:「いつもはネットから引用してた」
裏僕:「じゃあ、それでいいじゃない」
僕:「最近パソコンが壊れたから」
裏僕:「ハハッ、それは災難だね」
僕:「人事のように……自分なんだから心配ぐらいしろよ」
裏僕:「君が思わないことを僕が思いつくわけないじゃない」
僕:「そりゃあ……そうだろうけど……」
僕:僕が宿題をやらないというのは今までにありえないこ・・・
ロス:「誰か!助けてえ!!!!」
(走る音)
僕:突如、僕の思考が叫び声に遮られた。
裏僕:「おや?なんだろうね」
僕:もう一人の僕が振り向いた先には小さな少年がこちらに向かって走って来ていた。ボロボロの服を着ており、裸足だった。手足には血が滲み出ている。僕なら死にたいと思った。
ロス:「お兄ちゃん助けて!!」
僕:「ぼ、僕?」
僕:その少年は僕の制服をつかみ泣きながらこちらを見つめてきた。
裏僕:「一緒に逃げたほうがいいみたいだね」
(手を掴む音)
(息を切らしながら、少年と駆けていく音)
僕:僕はいつの間にか子供の手を握って一緒に走っていた。
裏僕:「この辺でいいんじゃないかな」
ナレ:もう一人の僕に言われたとおり、僕は走るのをやめて近くの公園のベンチに腰を掛けた。
僕:「(息切れ) で、君何処から来たの?」
ロス:「(息切れ)わからない……」
僕:「わからないのかよ……」
裏僕:「虐待されてるみたいだね」
僕:そりゃあ見たら一目瞭然だ。つま先から首にかけてどこもかしこも傷だらけでボサボサの髪をしてる。
ロス:「どうしよう……」
僕:「何が?」
ロス:「僕……おうちに帰りたくない」【泣きそうな声】
僕:僕はひどく狼狽した。僕がどうすればいいのか、こんなの虚構だと。
僕:「とりあえず警察に」
裏僕:「へぇーなるほどね・・・」
僕:「な、なんだよ・・・」
裏僕:「君の判断は警察を呼ぶなのかなぁ~って思ってね」
僕:「いけないのかよ」
裏僕:「いや君の判断はただしいと思うよ」
僕:もう一人の僕は僕に対してずいぶんと偉そうにしていた(きょうごう)
裏僕:「でもさ、警察に渡してどうにかなると思ってるの?」
僕:「あとは……警察がなんとかしてくれるだろ」
裏僕:「うわ・・・ひどく冷たいねぇ、君は」
ロス:「ううっ……」
僕:「えっ、えっとぉ……」
僕:僕は何をすればいいのかわからなかった。
僕:「とりあえず、何か飲む?」
僕:僕は熱中症対策で普段から鞄の中にしまってある水筒を取り出して少年に渡した。
僕:「これ、よかったら」
ロス:「えっ……いいの……?」
僕:「全部飲んでいいから、泣くなよ」
ロス:「ほ、ほんと!?」
僕:「ああ」
裏僕:「へぇー……」
ロス:「お兄ちゃんありがとう!!」
(抱きつく)
僕:子供は僕に抱きついた。
僕:「えっと……」
ロス:「お兄ちゃんは優しいんだね」(幸せそうに)
僕:「いや……とりあえずここから離れよう」
ロス:「うん!」
(BGM終了)
僕:しばらくして僕は結局何もできずに、警察を呼んだ。
もう一人の僕はいつの間にかいなくなっていた。
僕はいつの間にか自分の部屋に立ち尽くしていた。
(クラスのざわめき)
僕:現実味の無い一日が過ぎていつの間にか今日になっていた。自分には国語の宿題は相変わらずわからないままだった。
文学:「ねぇ・・・○○くん(効果音)」
僕:「あっ……学級長か」
文学:「ど、どうしたの?次、移動教室だよ」
僕:「あ、そっか・・・授業は何だっけ?」
(椅子の音)
僕:なんで自分は今寝ようとしていたんだろうか……。最近体が重い。
文学:「美術……だよ」
僕:「なんでそんなにおどおどしてるんだ?」
文学:「えっ(裏声、ひっくり返ったように)、そ、それは……」
僕:こいつほんとに意味わかんねぇ
僕:「とりあえず、ありがとう」
文学:「えっ、あ、うん……」
(足音)
僕:学級長としゃべっていても、廊下を歩いていても、もう一人の僕が現れることはなかった。
僕:「おかしいな」
僕:おかしい?なんで僕は今そんなことを思ったのだろう。
(立ち止まる)
僕:もう一人の僕は僕にとっての日常に入り込んでいたのを優等生な僕は気づかない。
(足音再開)
(足音フェードアウト)
僕:美術もそんなに好きではなかった気がする。
(ガヤ)
僕:目の前の鏡に映った自分を描くなんて無意味なことだ。
ムー:「あれ、○○くん(効果音)、描かないのー?課題作るの嫌いなのに珍しいね」
僕:突然呼びかけられた声に僕はとっさに答えられなかった。
僕:「俺、苦手だからさ、こういうの」
ムー:「へぇー……あれ、一人称俺だったっけ」
僕:「いや、あれ……?」
僕:なんで一人称が俺になったんだ……?
ムー:「まぁいいやー、ってかものさしで紙の長さ図るのやめなよ」
僕:「なんで?」
ムー:「なんでって……そりゃあ、美術らしくないし」
僕:「美術らしくない?」
ムー:「なんていうか、そういうのは直観でいいんだよ」
僕:「直観なのか……?」
ムー:「そうそう、美術なんて自由だよ。
他人と比べられない素敵な教科。
自分より劣ってるとか優れてるとか決めてるのってただの主観でしょ?
勉強はそういうのがはっきり見えて嫌いなんだよねー」
(ペンを走らせる音)
僕:僕は彼女の言ったことが理解できなかった。
僕:その時間の、自分のペンは動くことはなかった――――。
(BGM)
僕:平凡な帰り道だった。課題が多くのしかかってていた。
僕:「ってか国語の宿題とかサイト漁れば出てくるかー、学校で調べよ」
(足音、石を蹴飛ばす音)
僕:僕は石を無意味に蹴飛ばした。
僕:「えっ……」
僕:そして、僕は見てしまった。
(心臓音)
僕:「うそ……だろ……」
僕:僕が石を蹴飛ばした視線の先に、昨日あったばかりの子供がいた。
僕:警察にいたんじゃ……!
僕:僕は視線の先の、その橋の上にいる子供に向かって走った。
(走る音)(息切れ)
僕:「はっ……」
僕:子供は橋の上で、
僕:「駄目だ……」
僕:立ち上がった
僕:「おい!」
ロス:「お兄ちゃん……?」
僕:距離はもうそんなになかった。
僕:「何してんだよ……」
ロス:「助けて……僕をこの狭い世界から出して……」
僕:「だから、」
ロス:「痛いよ、なんでそんなことするの……」
僕:「おい、」
僕:頭の中がグチャグチャで足が動かない。自分が今動けば、動けば動けば動けば動けば動けば、
ロス:「もう嫌ああああああああ」
(橋の上から飛び降りる音)
(水に落ちる音)
僕:優等生な僕には何が起きたのかわからなかった。
僕:「っあ……(嗚咽)」
僕:僕は体を震わせることしかできない。
目の前のわからない淋しさに涙をこぼすことしかできない。
裏僕:「やっほー。帰ってきたよ」
(振り返る音)
僕:「えっ」
裏僕:「帰ってきたのにその態度はひどいなぁー」
ナレ:僕はひどく困惑していた。
裏僕:「死んじゃったね、あの子」【冷酷な声】
僕:「ふざけんなよ……」
裏僕:「は?」
僕:「なんで……なんで……」
僕:もう一人の僕はうずくまる僕とは違って僕を見下していた。
僕:「なんで止めなかったんだよ!」
裏僕:「無理だろ」
僕:「お前はノーフィクションなんだろ!?」
裏僕:「俺は今は虚構だよ、今はね」
僕:「……は?」
裏僕:「その気になれば、ノーフィクションになる」
僕:「だってお前最初……」
裏僕:「うずくまってんじゃねぇよ」
僕:もう一人の僕は僕の胸ぐらをつかんだ。
裏僕:「もうどうだっていいだろう?」
(プツンッ音)
(スイッチ音)
僕:「あぁ…そうだな…ははっ」
ナレ:僕は無力に笑った。
僕:「もうどうだっていいや」
(BGM)
僕:それは明日のこと。朝、目を覚ますと体の重さは消えているだろう。
いつもより一時間早く起きて、一時間早く学校についただろう。
(ガラスの割れる音)
僕:誰もいない教室。
僕:「ああああああああああああ(叫びながら机や椅子をまき散らす感じで20秒)」
僕:僕は泣き出しながら教室にある椅子と机をめちゃくちゃにしているだろう。それはただの明日のこと。
BGM(チャラい感じの)
裏僕:「おはよう」
僕:なんでお前が、
ムー:「おはよー、今日はなんか印象違うね」
裏僕:「そう?普段通りの俺だよ」
僕:なんでお前がリアルにいるんだよ
(扉の音)
裏僕:「あ、委員長ー、おっはよー」
文学:「えっ、あっ……○○くん(効果音)おはよう……」
裏僕:「いやぁ~困った顔も、可愛いねぇ」
文学:「えっ……そ、そうかな」
ムー:「ね、ねぇ…頭でも打ったの?」
裏僕:「え?なんで?」
ムー:「なんか普段と違うよ」
裏僕:「そうー?気のせいじゃない?」
僕:確かにこんなの自分じゃない。
こんなのは自分じゃ―――――。
裏僕:「だって、自分にアイデンティティなんてないよ」
僕:その声は自分に言っているのか……?
裏僕:「昨日ね、目の前で少年が飛び降りたの」
ムー:「えっ……」
裏僕:「そりゃあ、『僕』はもうわけわかんなくて、頭の中グチャグチャになって悲しいんだ」
(僕を強調気味)
ムー:「ちょっと、正気……?」
裏僕:「でも俺は正気だよ。『僕』は狂ったかもしれないけど」
ムー:「それってどういうこと?」
裏僕:「まぁ、こっちの話だよ」
文学:「それで、警察には言ったの……?」
裏僕:「はははっ、そんなの意味ないよ」
文学:「えっ」
僕:そうだ……僕は……。
裏僕:「だって、もう、助けられなかったじゃない?」
僕:僕はあのまま何もせずに帰ったんだ。
裏僕:「滑稽な話だよねぇ……ほんとにさ」
(キンコンカンコン)
僕:一時間目が、
裏僕:「あ、数学の時間か」
僕:僕の数学の時間が、
裏僕「あ~。たのしみだなぁ~」
(みんなが席につく音)
僕:「ふざけんなよ!!!!!!!!」
(スイッチ音)
ムー:「えっ……?」
モブ1:「なになに」
モブ2:「何だよ??」
僕:「えっ……えっと」
裏僕:「ほら、お前の大好きな数学の時間じゃないか」
(パリンッ)
先生:「○○、どうしたー?席につけよ」
文学:「ちょっと!○○くん!?」
僕:「……どけよ」(小声で)
先生:「は?」
僕:「どけよ!!!!」
僕:僕の行動に誰も理解できなかった。誰も声はかけることはなかった。
(チョークの音)
僕:「お前らは所詮低能だろ!!今日の宿題も明日の宿題も昨日の宿題も何も解けない、バカなんだよ!!ほらみろよ!!証拠に俺の書いたこの数式すら解けないだろう?そろばんなんてできないだろうな。面積の公式すらいえねぇだろう?こんな俺がでたらめに描いた図形なんてお前らには芸術だのなんだの言って解くことを逃げるんだろう!?なんでお前らはそんなこともできないのにのうのうと生きてんだよ!!」
(3秒ぐらい無音)
文学:「それは…違うよ…」(おびえてる感じ)
僕:「はぁ?」
文学:「それは違う、数学の問題を解くだけが生きることじゃない」
僕:「何言ってんだよ…」
文学:「人の心を考えるのも大切なことじゃない」
僕:「そんなこと……」
裏僕:「ほら、あの子に言ってやれよ、大好きなあの子に。自分は正しいんだって」
僕:脳内にもう一人の僕が語りかけてくる。
僕:「もうどうだっていいよ」
(椅子をたたきつける音)
先生「○○君!!!」
(走る音)
僕:どこに向かって走っているのかわからない。
僕:消えたい死にたい消えたい死にたい消えたい死にたい消えたい死にたい消えたい死にたい消えたい死にたい。
僕:「ううっ……」(嗚咽)
僕:どうすればいいのかわからない。
僕:だって、気づいてしまったのだ。
裏僕:「橋の上からあの子を突き落したのは、自分だってことに今更気づいたの?」
(走る音停止)
僕:「……気づかない」
裏僕:「優等生な僕なのに?」
僕:「優等生な僕なのに……」
裏僕:「優等生な僕なのに?」
僕:「優等生な僕なのに……!!」
裏僕:「答えられないの?」
僕:「もう黙れよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
(BGM途切れる)
(荒らす音フェードイン)
僕:気づいたらそこは使われていない古い空き教室だった。
僕:僕はもう理由も目的も保てなくなった。いや、初めからそんなものは僕の心にはなかったのかもしれない。そう思いながらも周りの錆びついた机や椅子を荒らしている。それはただの今日のこと。
裏僕:「派手にやってるねぇー」
僕:「黙れ!」
(衝撃音とともに荒らすのを中断する)
裏僕:「俺が悪かった、とでも?お前がそんな奴になってしまったってのは、俺のせいにしたいの?」
僕:「そんな奴?」
僕:僕が顔をあげたときに、もう一人の僕は狂ったような笑顔で僕を見てきた。
裏僕:「ははっ、何その顔。あっ、でも……お前なんて個性ねぇもんな」
僕:「えっ……」
裏僕:「正直言わせてもらうとさぁ、ただ宿題を学校に持ってきてるだけじゃん、虚無だよ」
僕:「っ……(唇をかむ音)」
裏僕:「言いたいことがあれば、なんでも言えよ」
僕:「……ぼ、僕は……」
裏僕:「お前は?」
僕:「僕は生き続けなきゃいけないんだ……」
裏僕:「というと?」
僕:「自分が正しいということを貫くために……」
裏僕:「自分が正しい?へぇ、やってみろよ、昨日逃げ出したくせに」
僕:「生き続けなきゃいけないんだ……」
僕:グチャグチャに机といすが散らかった教室で、僕はもう一人の僕に向かって、
(ナイフをかざす音)
僕:目に見えないナイフを。
裏僕:「何でその生き続ける君は片手にナイフを持っているの?」
僕:「死ね」
裏僕:「冗談よせよ……」
僕:「死ね」
裏僕:「やめろって……」
僕:「死ね」
裏僕:「俺が死んだらお前は……」
僕:ナイフを振りかざした。
裏僕:「やめろ……」
僕:「死ね……」
裏僕:「やめろよ……」
僕:「死ね死ね死ね死ね死ね」
裏僕:「やめろっていってんだろ!!!!」
僕:「死ねえええええええええええええ」
(刺された音)
裏僕:「あ…がぁ……」
(消える音)
僕:「ハァ……ハァ……(息切れ)」
僕:これでよかったんだ、これで正解だったんだ。こいつが現れてから僕の世界がおかしくなった。
裏僕:「……っざけんなよ……」(死にそうな声)
僕:「は…ははっ…」」
文学:「○○くん……?」
僕:「は!?」(振り向く感じで)
文学:「なにこれ……」
僕:見られていたのか。
文学:「ちょ、ちょっと先生呼んで、」(言いかける)
腕をつかむ。
僕:「おい」
文学:「は、はなして」
僕:そこには普段の彼女のおびえた姿はなく、目の前にはまるで別人のような彼女がいた。
文学:「もう息をするのもやめて!何もしないで!」
僕:彼女の叫び声は僕の灰色の心を完全に黒くしてしまった。
僕:もう僕は戻れない。
文学:「ふざけないでよ!何が「自分が正しい」よ!!!」
僕:何も言えなかった。
文学:「もう息をするのもやめて!何もしないで!」
僕:彼女の悲鳴は教室中に反響し、廊下には聞こえなかった。
文学:「なんでこんなことするの?」
僕:「僕にも……俺にも……わからない」
文学:「やめて、」
僕:「わからないんだ……自分がどうすればいいのか」
文学:「そんなの見つければいいじゃない」
僕:「見つけるってどうやって?」
文学:「この手記を書き綴った狂人を、私は、直接には知らない」
僕:「は……?」
文学:「けれども、この手記に出て来る京橋のスタンド・バアのマダムともおぼしき人物を、私はちょっと知っているのである。小柄で、顔色のよくない、眼が細く吊つり上っていて、鼻の高い、美人というよりは、美青年といったほうがいいくらいの固い感じのひとであった。」
僕:「なんだよ……」
文学:「人間失格のあとがきの冒頭、私はね、このお話が好きなの」
僕:突然彼女が妬ましいほど、うれしそうな声でしゃべった。
文学:「私が好きなのはね、残酷な本。残酷な本を書く人ほど心が綺麗なの」
僕:「だから……なんだよ……」
文学:「一度読んでみたら?」
僕:元通りに机を戻すのに時間はかかるだろう。戻す気力にはなれなかった。
僕:「もうどうだっていいんだ…」
文学:「国語は楽しいよ、まもるくん」
僕:「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」(絶望した感じで)
(BGM停止)
(刺さる音)
僕:僕はもう一人の僕で刺したナイフで僕の心臓を貫いた。
(血が飛び散る音)
(BGM)
僕:優等生な僕は今日、生まれて初めて教科書とノートを学校に置き忘れてきた。
僕:そんな僕は数学と理科が得意で国語が嫌いだ。
僕:散らばった机と椅子の教室。何気なく席に座る。
僕:最近自分の名前を知った、まもるというらしい。
僕:目の前に倒れているもう一人の自分の骸はもう目をあけることも語ることもないだろう。
僕:どうでもいい僕は今日国語で0点を取った。
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感想とか印象とか言ってもらえると助かります。
作者が思っている印象とみなさんが思っている印象が不一致してしまっていたら、脚本側としても虚しいので
http://koebu.com/smph/user/fe03e16b
に感想をくださると嬉しいです(というか感想が欲しいっていうそれだけの理由なんですけども)
読んでいただきありがとうございました、拙いながらみなさんの力になれると嬉しいです
コウグチ