【CALL】 -prologue- 始まりの音①
生きている間には、色々なことがある。
それは多分、想像もできないようなことであっても―――
例えば今日・・・
―――――【私】の目の前で、【私】の【世界】は燃え散った。
火事とか某国の大量破壊兵器なんていうありふれたものではない。
それは、たった一つ・・・たった一つの丸い玉・・・のようなモノ。
上から落ちてきた丸い玉・・・
飴玉のように綺麗だけど、空の青には不釣合いな色。
【私】は、ただじっと見ていた。
丘の上から、ぼーっと見ていた。
それが【私】の【世界】を灼いた。
家の方向で赤い柱と轟音が聞こえる。
【お母さん】に怒られた時以上に大きな音。
【お父さん】のいびきよりも大きな音。
でも、一番似ているなって思ったのは・・・
【妹】が泣きじゃくってる時の音。
【お母さん】がよく寝る前に話してくれた。
この【世界】には【神様】がいて、いつも【私】たちを見守ってくれているのだと・・・
あとに知ったことだけど、この【世界】には【神様】なんていない。
少なくとも・・・【私】の【世界】にはいなかった。
ただ、それだけ―――
急いで丘を駆け下りる。
炎の勢いは、少しは衰えたもののまだ炎は残っている。
目の前の・・・【世界】が灰化した。
【お父さん】が頑張って作った家も・・・
【お母さん】が大事に育てていたお花も・・・
【妹】が大切にしてくれていた手作りのお人形も・・・
みんなみんな燃えちゃった。
【私】は何もできなかった。
【私】はひとりぼっちになってしまった。
お世辞にも裕福とは言えなかった。
けれど何よりも暖かかった・・・
【私】は泣くことも出来ないでいた。
久々の連載です。prologueはまだ続きます。