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猫と僕と知らない世界  作者: シマタロウ
序章:猫との出会い

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幕間1:猫の気持ち

 飼い主が眠りこけた夜中、わたしは独り物思いに耽っていた。


 薄々気付いてはいたけど、わたしのマスターはちょっと変な人。出会って、たった一日で十分にそれが理解出来てしまった。


 そもそも猫がしゃべるという異常事態を普通に受け入れ、あまつさえ迷うことなく自分の手元に置く判断を下せるのが妙。契約の時だって、せっかく寝てる間に色々仕込んでいたのに全部無駄になっちゃったし。いや、別に使いたかったわけじゃないけど。

 でも、きっと事前に仕込みがあった事を伝えても「契約がスムーズに済んで良かったね」みたいな感じで終わりそう。マスターは、そういう人みたいだし。


 さっきの海岸の時もそう。戦闘用としか思えないレイスが出てきた時、勝算なんて無いはずなのに立ち向かう事に何の躊躇も無かった。たぶんマスターは損得なんて何も考えていない。リスク計算なんて、これっぽっちもする気は無い。ただ自分の信じるままに突き進むだけのヒト。

 もし危ない事があったら、わたしが助けてあげないといけない。正直、このままだと長生きは出来ない気がする。人助けとかしてあっさり死んじゃいそう。


 まぁ、それは仕方ないとして、マスターのおかしい点は人格面だけには留まらない。


 その最たるものは、魔力量。本来、全くの普通の人だったマスターに魔力なんてあるはずはない。強化魔術を施した時だって、疑似的な魔力回路を形成して、わたしの魔力と制御で術式を起動するはずだったのに。でも、実際はマスターの中に『使用されていない魔術回路』がたくさんあって、そこに本人の魔力が流れる事で術式が起動した。


 強化魔術が暴走しかかっていたのも、さっきはマスターの「鍛えてるから凄いことになった説」にのったけど、実際には普段使っていない回路にいきなり魔力を流した事で制御が不安定になっただけの事。それを裏付けるように、戦闘の後半ではほぼ普通に術式を使いこなしていたわけで。きっと、あと数回の演習をこなせば、自在に動き回る事さえ可能になるはず。


 それに、レイスを吸収してから気付いたのだけど、あの時、初めての魔術を起動してから、ずっとマスターからわたしに魔力が流れて来ている。まるで一人前の魔術師と契約しているかのように。

 これは端的に言えばありえない。


 今のわたし自身、足らない記憶や経験をマスターから補っている中途半端な存在ではあるけれど、魔術回路は魔術師の家系が何代にも渡って「自らを品種改良」して増やしてきたものだ、という事ぐらいは分かる。そう、魔力なんて普通の人間が自然に持ち得るものではないはずなのだ。


 これについては、マスターが私をたばかって「実は魔術師である事を隠している」か、あるいは「記憶が誰かに弄られていて認識出来なくなってるけど本当は魔術師だった」という二つの可能性が想定出来るけど


「この人がわたしを騙しているってのは無さそうねぇ」


 たった一日の付き合いだけど前者は無いような気がする。なら後者かと言えば、そんな事をするメリットが正直全然思い付かない。


 今もマスターは、出会ったばかりの怪しい使い魔のわたしの前で全力で眠りこけている。こんな無警戒な人をややこしい計略にはめる必要性が思い付かない。

 たぶん、シンプルな手段でも凄く騙しやすいんじゃないかな?むしろ、大概の事は単純にお願いすればどうにかなるかも?

 そう思ってしまう。


 でも、まぁ、いま爆睡してるのは、信頼とかそういうのではなく、初めての魔術行使と戦闘、そして負傷と回復で体力を使い切っただけのような気もするけど。帰ってきて、お風呂に入って、すぐに「おやすみ」だったから。

 ちょっと申し訳ない。流石の猫でも気を遣う感じの疲労困憊ぶり。


 眠っているマスターを見て改めて思う。これといって特徴のない普通の成人男性。体はちょっと鍛えているようだけど(腹筋がボコボコ)、それもあくまで普通の範疇。何も特別なところは見当たらない。魔術回路と魔力については、確かに疑問が残る・・・でも、このヒトが私にとって良いマスターであろうとしてくれた事に間違いは無い。


 きっとマスターには何か秘密があって、いつかトラブルに巻き込まれるか、あるいは既に巻き込まれているかなのだろうけど、わたしに出来る限りの精一杯で、このヒトの力になろう、そう思った。

 


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