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猫と僕と知らない世界  作者: シマタロウ
第一部2章:猫と魔術師のお仕事

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幕間2:彼女と彼女の上司

 日本の魔術協会って結構微妙な存在です。どれぐらい微妙かと言えば平日の昼間、事務所にいるのが二人だけっていうぐらい微妙。

 いるのは私と課長だけ。最近は白髪の量が目に見えて増えてきて、それをよく愚痴っている課長と私だけ。事務所広々です。


 日本の支部に所属しているのは全部で6人。6人だけなのですが、うち3人は他の組織に出向中、もう一人は・・・故あってあまりここには来ません。ちなみに、赤松さんや柏木さんは嘱託社員扱い。同じような人は何人かいて地方の組織との調整役等を行ってもらっていたりします。


 このミニマムな体制は日本支部が過去に色々やらかしたせいで、組織としての力を持たないように圧力をかけられた結果・・・らしいのですが、あまりにもあまりな気がします。せめてもう少しだけでも力が残っていれば、私という明らかに不向きな人材を事務作業に投入する必要なんてなかったのに。


 ダメなんですよ、こういうチマチマした作業は・・・あぁ・・・お家に帰りたい・・・そして、私も猫を飼いたい。


「なぁ、依城。これさぁ、週末もずっと考えてたんだけど、さっぱり分からねぇのよ」


 そして、そろそろお昼ご飯について悩みだそうとしていた時、課長がいきなり話しかけてきた。少しウトウトとしていたから正直びっくり。


「えと、いきなり何の話ですか?」


「あれだよ、お前の彼氏の魔術だよ。解析してくれってメールで届いてたやつ」


 なるほど。ちゃんと見てくれてたんですね。

 でも、課長でも分からないかぁ。ちゃんと本腰入れないと無理かなぁ。・・・あと、一応訂正はしておかないとね?


「課長、見て下さってるのは助かるんですけど、赤松さんは私の友達であって彼氏とかそういうのじゃないので、ちょっと、あれですよ、まぁ、違うんですよ・・・フヒ」


 うまく言えなかった。しかも何故か変な笑いも出た。


「キモイな」


 ごめんなさい。・・・あかん感じの姿を晒してしまいました。切り替えましょう。


「ひょっとして固有魔術だったりするんですかね?」


 特定の個人にしか使う事が出来ないように調整された特殊な魔術。それが固有魔術。


「いや、経緯を聞く限りだとその可能性は無い・・・ところで、本当に彼氏じゃないのか?この土日も仕事の手伝いに行ってたのに?」


 話題を逸らし切る事が出来ませんでした。


「仕事を手伝う事になったのは結果論といいますか、たまたま遊びに行った時にややこしそうな案件が入ってきたので同席しただけといいますか。ええ、そうでした。その件の報告もまとめていますので、また内容の確認をお願いします。下手を打つと薬物汚染が外部にまで広がる可能性が」


「いや、それなら今朝のうちに協力依頼を何か所かに出しておいたぞ。それで、わざわざ新幹線に乗って訪ねに行ってるのに、そういう関係じゃないのか?」


 また話題を逸らすことに失敗しました。


「うーん、ちょっとおじさん心配になってきたなぁ。やっと、ぼっちの道を爆進していた依城に春が来たのかと思って喜んだんだけどなぁ?でもなぁ・・・」


 余計なお世話感のあるイジリは勘弁してもらいたいです。


「その赤松って奴、なんだかよく分からんけど地元の組織に認知されちゃってるわけだろ、すげぇ強い奴って。あれじゃないか?こう・・・異性を使って『自分の組織に取り込もう』みたいな動きとか出てくるんじゃないのか?ほら、そういうのやりがちだろ?地方の古い組織とかはさ」


「いやいや、赤松さんに限ってそんな」


 ・・・本当にそうか?・・・本人にその気がなくても押し切られてしまう事はあるんじゃないのか?なんだかんだで赤松さんは押しに弱い。私も彼のそういうところを当てにして行動しているし・・・あれ?ひょっとしたらヤバいのでは?あれ?どうしたらいいの?ヤバくないです?


「にしても、そんな奴を引っ張りださないと纏まらない様な問題にも見えないんだよなぁ、これ。その薬なんか他の効能でもあるんじゃないのか?」


 私が一人戸惑っているうちに話題が前のところに戻っています。いや、それはちょっと置いといて、さっきの話をもう少ししたいのですが。


「それに薬の件も気になるが、赤松さんとやらが使っている魔術についても正直気になる。何をどう考えても構成が意味不明すぎる。固有魔術ではないとしても、何か外部から読まれ難くするためのプロセスが仕込まれているとしか思えない。・・・内容を書きだした本人が構成をちっとも理解出来ていないってのが一番意味不明なんだが」


「あっ、それだったら魔術の構成を書き起こしたのがクロちゃんだからですよ」


「ん?どういう意味だ?」


「クロちゃんは赤松さんの使い魔の猫です。タブレットで器用に書き物してましたし」


 意味が分からん。そう呟きながら課長は机に突っ伏した。

 その気持ちは分かります。大いに分かります。

 今までの報告書も全部クロちゃんが書いてたんですよって伝えたら面白いでしょうね。


「まぁ、あれだ。今度こっちに来てもらおう」


 課長は机から顔だけあげ、急にそう言った。・・・え?赤松さんを呼ぶ?どうして?なんでわざわざ??


「魔術の事は使っている本人に聞いた方が速いし、依城が認めるほどの強力な人材をみすみす地方の組織に盗られるわけにはいかんからな。ここらで交友を深めて団結しとかんとな」


 その方が依城にとっても良さそうだしな、そう言って課長はお昼御飯に旅立っていった。


 なんだかよく分からないうちに、赤松さんをここに招くことが決まったようです。


 まぁ、あれです。

 よくやったぞ課長!ありがとう課長!!フォローも頼むぞ課長!!!


 どうしましょう。なんだか凄く嬉しいです。

 


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