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猫と僕と知らない世界  作者: シマタロウ
第一部2章:猫と魔術師のお仕事

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幕間1:僕と魔術

「ねぇ、クロや。最近思うんだけど、僕が使っている強化魔術さ、なんか凄い感じになって来てない?」


 自宅の和室で寝ころびながら飼い猫への質問タイム。

 昨日まで週末でお休みだったけど、平日になったところで仕事の依頼が無ければ普通にお休みなんだよなぁ。つまり、午前中からゴロゴロしていても何の問題も無い。

 依城さんは夜遅くに帰って、今日も朝早くから仕事をしていると思うと・・・ちょっと申し訳ない感じがするけど。まぁ、それはそれ。休みは休みなので。


 ちなみに、クロは仰向けで寝ている僕の腹の上でダラリとしてるよ。飼い主によく似て素敵なダラケっぷりでしょ。


「マスターって自分の異常さにまだ自覚無かったの?前のカチコミの時に皆にドン引きされてたから、とっくに気付いているものとばかり」


 あったねー。そんな事あったねー。骨の兵士の方々をちぎっては投げ、ちぎっては投げした時の事よなー。あの後色々あったから、ぶっちゃけ忘れてたわ。・・・そうだった。あの時の周囲のリアクション、昨日と同じような雰囲気でしたわ、そう言えば。


「でも僕に出来るぐらいの事なら、他にも出来る人が結構いるんじゃないの?少なくとも依城さんは僕より凄い事やってたわけだし」


 使い魔からの知識インストールと謎の睡眠学習というチートを使ってるとはいえ、芸歴数か月の素人なんですから。


「・・・そこからなのね」


 クロが体を起こして僕の胸の上に座りなおした。この位置関係は続行するんだね。


「あのね、マスター、普通の強化魔術っていうのは、ちょっと力を強くして重い物を短時間だけ持てるようにしたりとか、少しの時間だけ限界を超えた素早さで動くとか、そういう使い方をする術式なの。長時間使いっぱなしにするものでもないし、そもそも人外っぽい力が使えるようになったりする魔術じゃないの。

 マスターみたいな事が出来るのは、それこそ戦闘に特化した極一部の変態的な魔術師か、あるいはそれこそ本物の『人外』ぐらいのものなのよ」


 これは悪口なのだろうか・・・飼い猫に人外認定されている気がする。でも、まぁ、そう考えると昨日の顔が厳つい人(結局名前を聞く機会さえ無かった)の態度も納得いくかも。打ち合わせで目の前に座っているのが『人以外の何か』だったら、そりゃ怖いよね。『可愛い猫ちゃんにご飯あげてるつもりが、よく見たら虎だった』みたいな。例えが下手過ぎる気もするけど、でも、そんな感じなわけでしょ?そりゃ、怖いよ。怖くて当然だよ。


「マスターの不安な気持ちは分かるのよ。自分が使っている魔術が何か得体の知れないものなんじゃないか?そう思ってるんでしょ?

 正直、わたしだけじゃ分からない事も多いから、ナギの職場の人に解析をお願いしてるの。もちろん、ナギにも見てもらってるし。大丈夫。すぐに分かると思うから」


 クロが真剣なまなざし(黒目が真ん丸で可愛い)で、胸の上から僕の顔を覗き込んでいた。

 でも、ごめん。全然そんなの考えて無かったかも。だって、そもそもどんな魔術を使ってるかとか全然分かってないし、普通が何かも分からないし。・・・睡眠学習さんもそういうの教えてくれないから分からなくて。勉強のしようもないしさ。


 まぁ、とりあえず猫さんが心配してくれてるんだ。話だけでも合わせておこう。


「そっか。ありがとう。僕は魔術に疎いから助かるよ。また何か分かったら教えて」


「ええ、任せといて。わたし・・・というより、本職の人たちがあっという間にマスターの魔術を解析してくれると思うわよ。案外、その結果が元になって新しい術式とか出来たりするかも?そしたら謝礼も出るんじゃないかしら?悠々自適な生活が待ってるかも?」


「・・・すでに結構悠々自適じゃない?ほら今日だって月曜なのに、こんなにのんびり」


「それもそうね。これ以上の楽な生活ってよく分からないわね」


 クロはそう言うと、再び僕の上で眠り始めた。よきかな、よきかな。猫のいる生活プライスレス。

 僕も今日はちょっと昼寝?朝寝?でもしようかな。体を鍛えるのは、また午後からでいいや。

 おやすみ、クロ。



 ・・・

 ・・・・・・

 眠るといつもの夢を見る。

 必ずしも内容をはっきりと覚えているわけではない。けど、必ず僕の中に『何か』を置いていく。そんな夢。


 ここ最近は技術的な内容の伝授は終わったようで、その代わりに伝えられているのは「思い・感情」そう言った類の何か。言葉に出来るような内容では無いのだけど、いま僕に伝えられているのは「焦燥・後悔・渇望」そんな単語で表現するしかないような、ジリジリと追い詰められていくような、そんな思い。

 きっと僕に伝えようとしているのは動機。僕に与えられた力の「動機」なんだと思う。


 この力が用意された理由、そして僕に渡された理由、それはきっとこの先にあるのだろう。


 まだ途中なんだろうし、目が覚めたら、いま考えている事も忘れてしまうのだろうけど、でも、そろそろ「誰が」伝えようとしてるかぐらいは知りたいなと、僕はそう思っている。

 


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