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猫と僕と知らない世界  作者: シマタロウ
第一部1章:猫と見習い

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幕間1:とある黒猫の日常生活

 わたしのマスターは意外と勤勉だ。だから、どんな時でも必ず仕事に行く。


 たとえ新しい家族(わたしの事ね)が増えてすぐの時でも、大怪我を負った翌日でも(傷は魔術で治したけどフラフラだった)、普通に働きに行った。


 何がマスターをそこまで頑張らせるのかは分からない。分からないけど、とりあえず、わたしはマスターの頭の上で霊体化したまま待機を続ける。だって、わたしは使い魔だから。


 マスターは今日も変わり映えのしない朝ごはんを食べ、同じ時間に出勤の準備を整える。ちなみに、わたしもいつも同じものを食べる。ほぼカニってやつ。美味しいのよ?

 ほとんど荷物の入ってない肩掛けカバンに、いつもと同じTシャツにジーパン、それだけでマスターの用意は終わる。そしてウトウトしているわたしに声をかけ頭の上に乗せる。


「ほら、起きてクロ。行くよ」


「・・・あいさー」


 寝ぼけながら霊体化を行い、そして寝る。実は寝ててもズレて落ちないように、魔力を使ってマスターの頭に身体を固定していたりする。結構、便利で快適よ?


 そして、わたし達は、いつも通りバスにのって、電車にのって、のんびりと工場へと向かう。

 最初は物珍しくて外の景色を眺めてたけど二日で飽きた。


 というわけで、わたし視点では玄関を出たら、もう到着という感じ。もう寝っぱなしよ。で、次に目が覚めるのはだいたい始業前の体操の時。音楽がうるさいのよ。なんかテンション高い呼び声も入ってるし。

 もちろん、マスターの仕事中は寝たままなんだけど、たまに起きてマスターの作業を眺めたりもしてみたり。右から左に四角い機械が流れてくる。それがマスターの前で止まって、なんだかよく分からない丸いお皿みたいなのを二つ乗せてケーブルを何本か繋ぐ。そして足元のスイッチを踏むと次の人のところに流れる。


 超つまらん。


 マスターの記憶を読んだところ、これは『IHクッキングヒーター』って奴らしいけど、どう考えてもわたし達に縁のあるものでもないし、何より作業が単調過ぎ。わたしを眠らそうって策略なんじゃない?とか思ってたら、今日もいつの間にか眠っていた。


 気が付けばもうお昼ご飯の時間。マスターはいつも通りに誰ともしゃべらないで一人で唐揚げ定食を食べている。ちなみに、もうそれなりに一緒にいるけどマスターが食堂で唐揚げ定食以外を食べているのを見た事が無い。家でも鶏肉ばっかり食べてるし、そろそろ鶏の供養塚とか立てた方がいいんじゃないかしら?


 食事が終われば、また同じように業務開始。午後も特に面白い事も変化も無く淡々と時間が過ぎる。まぁ、寝てたからよく分かんないけど。そんなこんなで、だいたい仕事が終わる15分ぐらい前から音楽が流れだすから、いつもそこで目が覚める。妙にテンション高い感じの歌であまり好きじゃない。そもそも音量が大きすぎるし。


 これで一日の労働は終了。仕事中はマスターに話しかける事も出来ないから暇で暇で。とはいえ、家に帰るまでは我慢我慢。じゃ、もうちょい寝ましょうかね。


 マスターは会社帰りにスーパーによる事が多い。主食のサラダチキンとわたしのカニカマが主な買い物だ。いつも同じ買い物ばかりで暇だし、わたしは寝てるけど。

 そして家に着いたら、まずはご飯。マスターのご飯はサラダチキンとサプリメントとプロテイン。だから、すぐに食べ終わる。ナギが来てたら外に食べに行ったり、出前とったりしてくれるから面白いけど、普段は流れ作業って感じ。あんなご飯でマスターは嫌にならないのかしら?ナギはいつも美味しい物を食べるのに余念がないみたいだけど?人間色々?案外マスターが変わってるだけなのかしら?わたしもカニカマだけで満足だから似た様なものなのかしら??


 それはともかく、これでやっとわたしの時間。


「マスター!特訓をしましょう!!次の戦いに備えて特訓開始よ!!!」


 魔術の特訓はテンションが上がるわね!さぁ、マスターを鍛えましょう!!


「なんかあれよね。依城さんの影響めっちゃ受けてるよね」


 マスターは少し疲れたようにそう言った。やっぱり鶏だけじゃ元気出ないんじゃないかしら?豚とかも食べた方が良くない?まっ、別にいいか。健康そうだし?


「もちろん!ナギはわたしの心の師匠だもの!だから、ある意味、マスターの師匠でもあるのよ!

 もっと敬うぐらいで丁度いいわよ!!」


「お、おぅ、そうだね」


 マスターも納得してくれたし、今日もナギが教えてくれた演算領域の拡張にチャレンジしてみましょう!!


 特訓二日目開始!!


「じゃ、早速いくわよ!!」


「ちょ、ちょっと待って!心の準備がまだ」


 マスターの頭に飛び乗り、いつも通りに霊体化を行う。そして、マスターの霊器に接続。霊体化したわたしの身体がマスターの霊器の中に取り込まれる。

 ナギの予想通り、わたしにはそういった機能があらかじめ組み込まれていたようだった。特に抵抗無く、するりとマスターの演算領域を拡張する事に成功する。


「ぐぅっ」


 視界がマスターと一体化してるから様子がよく分らないけど、なんかマスターから変な声が聞こえた。

 前回の時に聞いたけど、演算領域が広がると急に視界?が広がったみたいな感じがして気持ち悪いんだって。・・・ま、すぐに慣れるでしょ!いける!いける!!


「があっ!」


 おぉ、マスターが奇声を上げながらも強化魔術の行使に成功した!流石わたしのマスター!やる時はやるじゃないの!!

 でも、まだ前の戦闘で言うところの一回目の変身?ぐらいの強度かな?ちょっと物足らないけど、こんなものかしら?出来れば二回目の変身?がいつでも使えればいいのだけど。


 いつか本当に出来たらいいわね、変身。憧れよね。


 それはそれとして。

 ふむふむ、前回より強化魔術が安定している。素晴らしい!これで後は持続時間の問題だけかしらね?どれだけもつかなー?

 ・・・・・・

 ・・・


「もうダメ」


 少しするとマスターが音を上げ、霊器の接続が切れた。

 昨日よりちょっと時間が伸びてるかしらね?二分ぐらい?うーん。微妙!!


「マスターぁ、もうちょっと頑張れないのー?マスターならもっと頑張れると思うんだけどー?前の時みたいな恰好良い姿をまた見せて欲しいなぁって」


 とりあえず霊体化を解除し、頭の上からお願いしてみる。これ、そんなに難しいのかしらね?


「いやいや、マジでもう本当に無理だって。なんか凄い未知の感覚で、なんかこう思考が拡散していく感じで、ぐわんぐわんというか、ぐねぐね、うねうねというか。これ絶対に闇雲に特訓とかしても無理だって」


 マスターはちょっとお疲れみたい?困ったわね。


「じゃあ、ちょっと休憩がてら対策を考えてみましょうか?」


 どうしたものかしらね。すぐには何も思いつかないから、とりあえずカニカマのパッケージを開ける。


「まだ時間もたっぷりあるし、ゆっくり頑張りましょうね!マスター!」


 今日も楽しく夜は更けていく。頑張れ!マスター!!

 


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