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猫と僕と知らない世界  作者: シマタロウ
第一部1章:猫と見習い

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5-7:猫と大事件 僕とクロを助けてくれてありがとう


周囲の■■を魔力に変換・吸収し、それと合わせて強化魔術の出力を上げていく。

身体が不慣れな分、無意味に時間がかかる。

もちろん、その間も影は懸命に斬りつけてくるが、もうそんなものが当たるような段階ではない。たかが■■■■如きでは相手になるわけがない。


様々な軌道で迫ってくる剣尖を体捌きのみで避け続ける。剣の腹を叩いて無理やり軌道を捻じ曲げたりするような必要はない。普通の太刀筋なら今の「僕」には当たらない。観察と予測に基づいて適切に動くだけで十分だ。


そして避けている間にも強化魔術を少しずつ完成させていく。

この経験が次に繋がるように、そして何より「僕」が理解出来るように、剣戟の最中にも関わらず、ゆっくりと完成に向け進めていく。

もちろん、「僕」の実力で維持できるのは、ほんの瞬きほどの時間に過ぎないだろう。目指すべき力を発揮出来るのは、それこそ一瞬だけだろう。


だが、それで十分だ。

今の危険が凌げ、そしてこの経験を次に繋げる事が出来るならば、それで十分だ。


目の前に迫っていた鈍く光る剣の軌跡を右手の甲で静かに逸らす。それだけで影が勢いを殺せず大きく体勢を崩す。


魔術が込められた剣とはいえ、どんなに技術を再現した■■■■が振るっているとはいえ、意思無き剣をあしらう事なんて難しい物でも何でも無い。それこそ少し場数を踏めば「僕」でもすぐに出来るようになるだろう。これから■■を■■ために、この程度は出来て当たり前に成らなければならない。

まぁ、一朝一夕というわけにはいかないだろうが、そこは「僕」の努力と覚悟に期待といったところか。


そして、そうこうしているうちに強化魔術が目指すべきところまで届いた。

この強化魔術、本来は肉体能力を拡張させる事だけを意図した物では無い。その目標は、■■の模倣だ。人知を超えた■■だけが到達出来る極致、それに少しでも手を伸ばすための、その一端に少しでも近づくための自分なりの手段。遥かな高みに近づくための手段の一部が、既存の強化魔術と重なっているだけに過ぎない。昔見た■■の姿を、憧れた姿を、自らの力で模倣し、そして更に『その先』へと進もうとしているだけの話。

もちろん、この試みはまだ完成したと言える状況ではない。だが、それでも「ただの魔術師」が振るう力としては、それなりの物だと自負はしている。


■■■■がこちらから飛び退き体勢を整える。「僕」の様子が先ほどまでとは変化した事に気付いたのだろう。迂闊に攻め込むような事はしないようだ。なかなかに用心深い。だが・・・


小細工なく相手の懐まで一息で飛び込む。

右足を半歩前に、上半身を捻り、運動エネルギーを溜め込む。そして右拳に全ての力を乗せ■■■■に突き込んだ。そのイメージは発射台、右腕を軸に全ての運動エネルギーが解き放たれた。


■■■■は、剣で受けようとするも、残念ながら胸の中心で拳を受ける事となった。

限界まで強化され■■に近しい身体能力で放たれた拳は■■■■の魔術的な防御も突き抜け、その体の硬度も上回り、結果として、拳は綺麗にその胸を貫通した。


■■■■は脱力し、その四肢を力なく投げ出している。「僕」よりも小柄だった事もあり、今や胸に突き刺さった腕に引っ掛かって辛うじて立っているような状態だ。

まるでおもちゃのスイッチを切ったかのように■■■■は、その活動を停止している。そして少しの間を置きサラサラと音を立て末端部から黒い灰となり崩れて行った。


つまり、これで終了。

強化術的を解除し、元の状態に戻る。今回の事がこれからどんな風に影響していくのか、それだけが少し気がかりだが・・・





気が付くと目に映るのは薄暗い天井だった。とりあえず起き上がらないと、そう思って身体に力を入れようとするも


「ダメ!まだ動かないで!!」


クロに慌てて止められた。


「良かった。気が付いて。まだ治療中だから、もう少し待ってて。良かった。気が付いてくれて、本当に良かった」


クロにいたく心配をかけたようだが、いまいち記憶がはっきりしない。いや・・・なんとなく思い出してきたぞ?なんか凄い強化魔術を使って影を一撃でやっちまったような?で、そのままぶっ倒れたような??


思い出しはしたけれど、なんだか夢の中の出来事みたい。振り返っても、ふわふわしてる感じ。普通に考えたら僕にあんな事が出来るわけは無い。でも「何をやったか」は理解していて。これはアレか?僕の危機に際して「睡眠学習の中の人」が出てきた感じ?

でもプログラム的な感じの何かかと思っていたけど、普通に話をしてたような?内容はほとんど思い出せないけど。


・・・ふむ。何処の誰だが知らないけど、いつか会ってお礼がしたいかも。僕とクロを助けてくれてありがとうってね。


クロが一心不乱に回復術式を使ってくれてるのを横目で見ながら、僕はそんな事を考えていた。自信があった戦法が初陣で失敗したのが残念やら恥ずかしいやら、そんな気持ちも勿論あるけど、それ以上にクロ共々無事に生き残れて一安心という気持ちが大きい。クロの様子からして僕が本当に無事なのかどうかについては、まだ若干の疑問が残るけど、生きてるし、生きてるなら、とりあえずはオッケーという事にしたい。先の事はまた今度にして、今は生きている事を喜ぼう。


やったね!死ななかったぜ!!


遠くから誰かの走る足音が聞こえて来た。依城さんか偽名コンビのどちらかだろう。

さて、出来の悪い新人としては言い訳の仕方を考えておかないといけませんな。どうしたもんかな?



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