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帰艦して機体を出ると、藍色のパイロットスーツが見えた。
スーツが白や青だったりするのは業者なのだろう。
周囲はパーツの回収等、忙しない様子が伺えた。
機体の損傷と武装のパージ、戦闘データだけで賄えるハズ。
分隊として活動していた彼らは十二人から三人に数を減らした。
少しだけ気持ちが晴れたが、落ち込んだ彼らの顔を見ていると腹が立ってきた。
「たかが迎撃任務で、何人死んだの無能共?」
「よせ」
口より先に手が出そうな男は、理性的な彼に止められたようだ。
「私も甘く見ていたのは事実だけれど――――」
「それにしても死に過ぎよ」
理性的な彼を見ていたら、食って掛かった私が馬鹿みたいに思えた。
何にしても、当面は食うに困らない金額が振り込まれている。
更にここから、パーツの修理などの費用を抜いた額が追加で振り込まれる事になっているのだ。
次世代機である『Ex-マグア』の持ち出しは厳禁だが、汎用機であれば勢力圏内を自由に移動できる。
コックピット内部で寝泊まりするくらいならばと、小旅行の計画を自室で立て始めた。
ノック音。
「いいか?」
黙って入室のロックを解除する。
「今回の任務は、その――」
「何、あの機体?知ってたの?」
「あぁ、知っていた」
「ふぅん」
「サンプルデータなんだが、マキナのデータが本採用されたんだ」
気まずそうにしている男は、引け目があるような素振りだった。
「これからの任務には、ああいうのが混ざるだろう」
【次の任務について聞く or 聞かない】
「別に。旅行で暫く留守にするから」
「それなんだが……」
背後に人の気配がある気はしていたが、軍属の男達が控えていた。