第97話 組織の狙い
「レミリス王国の辺境の村、サイダールにゼヒドを送り込んだ本当の目的は……陽動です」
シャノンさんの声は落ち着いているが、その意味は重い。
「陽動……ですか?」
「ええ。レインさんの指摘は、的を射ています」
レインが軽く頷く。
「そうか。サイダールを混乱させ、王国警備隊の目をそっちに向けさせるのが目的だったのか?」
「その通りです」
――ん?
俺にはまだ、はっきり見えてこない。
「そうなると、組織の本当の狙いは――王国の中でも一、二を争う大都市、レミリス王国の中心に位置する王都ウェレス……もしくは、南東にある港町ザイール、ということですか?」
「はい。組織の狙いは、港町ザイールです」
――ザイールか。
レミリス王国最大の貿易都市で、各国との物流の要となる場所だ。
そんな町を、組織が狙っているのか!
「だが、俺がゼヒドを倒したことで、計画は白紙になったんじゃないのか?」
そう思わずにはいられない。サイダールでの陽動は、レインのおかげで完全に失敗しているはずだ。
「それなのですが……」
そこに、ユートが口を挟んだ。
「シャノンはん、少しわいにも話をさせてくれへんか? さっきから、ボーっと突っ立ってるだけやし、このままだと暇すぎて死んでしまうで」
おい、ユート。お前は子供か!
「どうぞ。話の続きは、あなたからして」
シャノンさんが微笑みながら促す。
「よっしゃ! 了解や! まかしとき!」
ユートの目がキラキラと輝いている……。
そんなに退屈だったのかよ!
いや、完全に子供だ、こいつは。




