第8話 辺境の村サイダールへ
「私達に言えないというのは、何か理由があるんですか?」
「すまない、お前達の事は信用している。だが……これも、白竜王様の命令なのだ」
白竜王からの命令じゃ、絶対に言えないだろうな。
「言えないというのなら、それは別に構わないが、ダンジョンの転移魔法陣が使えるか使えないのかだけでも教えてくれないか?」
使えると言ってくれ! 頼む!
「ダンジョンの転移魔法陣は……」
ゴクリ……。
「残念ながら、使う事は出来ない」
使えないんかい!
「何故、駄目なんだ?」
「ここにあるダンジョンは、封印している。それによって、中に入る事は出来ないんだ」
ダンジョンも封印してんのかよ!
「ダンジョンの転移魔法陣が使えなければ、今の俺達には村まで帰る方法がない」
そうだよ! どうしろって言うんだよ!
「その事なら、心配はいらない」
え、そうなの?
「この転移の宝玉を使って、戻ればいい」
テレーゼは紫色の綺麗な宝玉を、レインに手渡した。
「使い方は、ダンジョンにある転移魔法陣と同じだ。手を繋いだ状態で、お前達の帰るべき村を思い浮かべるだけでいい」
なーんだ。そんな簡単に帰る方法があったんだな……じゃねえよ! もっと早く言ってくれよ!
「この転移の宝玉は、とても貴重な物ではないのか?」
「そうだな。簡単に手に入る物ではないが、私からのお前達に対するお詫びだと思って受け取ってくれ」
「そうか。それなら、有り難く使わせてもらう」
「ああ、そうしてくれ」
ふう……。これでやっと、ここからおさらば出来る。
「フェリス、俺達の村へ帰ろう」
レインが、俺に向かって手を差し出す。俺は、その手を強く握った。
「うん」
白竜のテレーゼとは知り合ったばかりだが、これでお別れだ。
「テレーゼ、またな」
「テレーゼさん、さようなら」
「レイン、フェリス。いつか……また、どこかで会える事を楽しみにしている」
俺とレインは死の森から、俺達の住む村サイダールへと転移した。