第7話 封印とダンジョン
「私は黒竜王が封印されたこの場所を監視するようにと、白竜王様から仰せつかっているのだ。だから、お前達にここから去れと忠告をし、それが聞き入られない場合は排除しなければと考えていた。お前達の話を信じずに、お前達がここで、何か良からぬ事をするのではないかと勝手に思い込んでしまった。本当にすまなかった」
白竜はもう一度、深々と頭を下げる。
「白竜さん、お話はよく分かりましたから、そう何度も頭を下げないで下さい」
「一度はお前達を本気で殺そうとした私を許してくれるとは、二人はとても優しいのだな。それと今さらなのだが、私はお前達の話を信じる」
白竜が、話の分かる奴で良かったあ。一時は、どうなるかと思ったけどな。
「そうか、それは良かった」
「そういえば、自己紹介がまだだったな。私はテレーゼ・ヘルメスだ。二人とも、よろしくお願いする」
「俺の名前はレイン・ロード、探索者だ。そして、こっちは妹の……」
「フェリス・ロードといいます。学生してます。こちらこそ、よろしくお願いします。テレーゼさん」
俺はペコリと、白竜のお姉さんに対して頭を下げた。そして俺とレインは、テレーゼと握手を交わす。
「それにしても、レインの力は凄いな。どれだけの魔力量があれば、あんな数の魔法陣が出せるんだ? それに、レインは本当に人族なのか?」
ほんと、テレーゼさんの言う通りだ。レインは、人の形をした何か別の存在じゃないかと疑いたくなる。
「いや、俺は正真正銘の人であって、それ以外の何者でもないさ」
「そうか。人族の中にも、強い力をもった凄い奴がいるのだな」
レインは人の中でも、超まれな存在だと俺は思うけどね。
「テレーゼ、最初にも言ったが、俺達はダンジョンの転移魔法陣を使って、俺達の居た村に戻りたいと思っている。だが、ダンジョンを目指してここまで来てみれば、ダンジョンどころか何もない場所だった。ここには、ダンジョンは存在していないのか?」
「ダンジョンは、ある。しかし……」
ダンジョンは、やはり存在していたのか。だが、テレーゼさんの歯切れの悪い言い方が気になる。
「テレーゼさんは、黒竜王がこの場所に封印されてると言っていましたね。それと、ダンジョンも存在するとも言いました。そうすると、黒竜王の封印とダンジョン。この二つは、何か関係しているんじゃないですか?」
「そうだ、関係している」
ですよねえ。
「黒竜王の封印とダンジョンが関係しているとは、一体どういう事なんだ?」
「それは……」
それは?
「今は、言えない」
言わんのかい!