第62話 レッドとユートの戦い5
「ユート、お前の影技とやらは、これで終わりか? まだ、他にも何かあるんだろ?」
「そうや、わいの影技はまだあるで」
「なら、どんどん俺に見せてみろ!」
レッドの奴、ユートをめっちゃ煽ってやがる。どんだけ戦闘が好きなんだよ!
「次は、この影技や」
ユートの影で作った分身が、ゆっくりと地面に消える。
「ほな、レッドはん、いくで」
「おう! こいや!」
影分身の時と同じく、ユートの影がユートを中心に左右へ広がる。
「影槍十閃!」
左右に広がったユートの影から、十本の細長い影が伸びる。伸びた影の全ての先が、槍のように尖った形状をしていた。そして十本の長く伸びた槍が、レッドへ目掛けて勢いよく向かう。伸びた影槍は鞭のようにしなりがら、あらゆる方向からレッドを襲った。
「レッド!」
俺とアマリアさんが同時に叫んだ。レッドが、ユートの操る影槍に串刺しにされたと思ったが……。
「凄いわ。レッド、全ての影槍を躱してる。どうやったら、十本の不規則な動きをする影槍を躱す事が出来るのかしら?」
俺には、影槍の動きが速すぎて全く見えない。それをアマリアさんは、何とか目で捉えてるみたいだ。更に凄いのはレッドだ。影槍の全てを躱してるレッドは、影槍の速さよりも、もっと速いスピードで動いてるって事なのだから。




