第6話 四千年前の災厄
白竜が地面に両足を付けた瞬間、姿を変えた。竜の姿から、人の姿へと。
え、女の人!?
「姿を人に変えられるなんて、凄いな。しかも……」
流石にレインも、この光景には驚いているみたいだ。それに、人の姿になった白竜の胸を凝視してるし。
白竜の人になった姿は、少し神秘的にも感じる。長く透き通るような白い髪、モデルのような体型で、しかも胸が大きい。今の俺の姿、フェリスから見れば、凄く綺麗なお姉さんに見えるのだが。個人的には、服をちゃんと着た姿だったのは、マイナス点かな。
変身後は、やはり裸でなければ!
「驚かせてしまったか? こちらの姿の方が、お前達と話がしやすいと思ったのでな」
「ああ、なるほど。それは、こちらとしても有難い」
レイン! 白竜の胸を凝視するんじゃない! 妹の俺は、恥ずかしいぞ!
「お前達に、ここを去れと言った理由も話さず、殺そうとしたのは謝る。すまなかった」
白竜は俺達に対して、深々と頭を下げた。
「その事は、もういいよ。結果的に俺達は死んでもいないし、傷付いてもいないしな。それより、ここを去れと言った理由を教えてくれ」
白竜は頭を上げ、この開けた場所の中心を指差した。
「ここに、黒竜王が封印されている」
黒竜王? 王が付くという事は、黒竜の親玉的存在って事か?
「黒竜王は、何故ここに封印されているんだ?」
「黒竜王は原初の竜と言われ、この世界にとっては非常に危険な存在だった。今から四千年前、黒竜王一人によって、世界の半分が消滅した。他種族はもちろん、同族である竜でさえ、滅ぼそうとしたんだ」
マジかよ! 黒竜王、めっちゃヤバイ奴じゃん! こっわ!
「当時、その最悪の状況を食い止める為に白竜王様、赤竜王様、青竜王様が動いた。そして、何とかその三竜王様のお力によって、ここに封印する事が出来たんだ」
この世界の四千年前って、そんな凄い事があったんだな。四千年前に、転生しなく良かったあ。
「ただ、四千年経った今、黒竜王の封印は弱まっている」
は!? 嘘だろ!? それって、やばくね!
「何故、封印は弱まった?」
「封印は、三竜王様のお力で成されている。しかも四千年もの間、継続的に。本来、竜王は一万年の寿命がある」
一万年って、寿命長すぎるだろ!
「だが……。赤竜王様と青竜王様は封印によってお力を使った為、百年前に亡くなった。残っているのは白竜王様、お一人となり。その白竜王様も、何時どうなるかは誰にも分からない」
白竜王が死んだら、封印はどうなるんだ?
普通に考えれば、誰も封印の力を使えず、黒竜王の封印が解けてしまうんじゃないか?
それって、超ヤバイんですけど!