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二七歳の男が無敵のシスコン兄から溺愛される妹に転生した異世界物語  作者: key@holder
第一章 第三部 レミリス王国編 ~デガロ監獄島~
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第46話 情報交換

 シャノンさんは静かな口調で、デガロ監獄の構造をひとつひとつ紐解いていった。


 四方を囲むのは、高さ一〇メートルにも及ぶ石壁。外界との接点は、南側に設けられた唯一の門のみ。内部は整然と区画されており、まるで盤上の駒のように機能が配置されている。


 南西には監視者と職員のための施設。北西には、Sランク冒険者に匹敵する力を持つ重犯罪者の牢獄。南東にはAランク、北東にはBランクの囚人がそれぞれ収容されている。そして中央――そこには、異質な存在であるダンジョンが据えられていた。


 現在の収容人数は、Aランクが二四人、Bランクが四九人。合計七三人。なお、Sランクの囚人は、今のところ存在しないという。


 説明を聞き終えた後、レッドが疑問を口にした。


「なあ。いくら壁が高くても、空を飛べる奴なら逃げられるんじゃないか?」


 シャノンさんは、わずかに首を振る。


「その点は問題ありません。監獄全体は、常に外側から結界に覆われていますので」


「結界、か……」


「許可証を持つ者のみが、その内外を行き来できます」


 なるほど、と頷きつつも、俺は改めて思う。これだけ厳重なら、普通は脱獄など不可能に近い。


 だが――


「脱獄が難しいのは解った。じゃあ、ゼヒドはどうやってここから抜け出したんだ?」


「それは……解らん。現在も調査中だ」


「……そうか」


 歯切れの悪い答えに、胸の奥がざらつく。結局、核心には何も触れられていない。


 沈黙を破るように、今度はゼフィンが口を開いた。


「わしからも一つ訊きたい」


「おう、何でも来い」


「ゼヒドの死因だ。報告では力の暴走とあったが……真実か?」


「ああ、本当だ」


「ふむ……」


 短く唸る声に、重たい余韻が残る。


「できればよ、俺の手でケリをつけたかったんだけどな」


 思わず、レッドの本音が漏れる。


「それより、黒竜石については何か分かってるのか?」


「ゼヒドが飲み込んだという黒い石のことじゃな。残念ながら、そちらも調査中だ」


「……ちっ」


 どれもこれも“解らない”ばかりだ。


 ゼヒドに手を貸した奴が、まだこの監獄にいる可能性もある。


 そう考えると、背筋に冷たいものが走る。俺とレッドがここにいる間に、何か掴めればいいが……。


 やがて、話は打ち切られた。


「今日はひとまず休むがいい。仕事は明日からだ。シャノン、二人を部屋へ案内してやれ」


「承知いたしました。それでは、お部屋までご案内いたします。どうぞ、こちらへ」


「あいよー」


「はい」


 俺とレッドは、シャノンさんの後に続く。


 やがて一つの扉の前で、彼女は足を止めた。


「こちらが、レッド様のお部屋となります」


「おう……ん? あれ?」


 レッドが首を傾げる。


「フェリスちゃんと同室じゃねえのか?」


「違いますよ」


「マジかよ! 一緒にしてくれ! 頼む!」


「規則ですので、お受けできません」


 きっぱりと断られ、レッドは目に見えて肩を落とした。


 ――危なかった。


 もし同室なんてことになっていたら、俺の身がどうなっていたことか。


 その後、俺も別の部屋へ案内される。


 扉を閉めると、ようやく静寂が訪れた。


 ……今日はもう休もう。


 考えるのは、明日でいい。


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