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二七歳の男が無敵のシスコン兄から溺愛される妹に転生した異世界物語  作者: key@holder
第一章 第二部 レミリス王国編 ~辺境の村サイダール~
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第39話 三人の密談

 朝食の支度を終えた頃には、すっかり日も昇っていた。


 テーブルには湯気の立つ料理が並び、俺たちは三人で食卓を囲んでいる。


 いつも通り、俺とレインは向かい合って座る。俺の右隣には、リリーナがちょこんと腰掛けていた。


 箸の音だけが、静かに響く。


 誰も、口を開かない。


 ただ、目の前の料理を黙々と口へ運ぶだけ。


 ……何だ、この空気。


 重い。


 やけに、重い。


 誰か……何か喋ってくれ……!


 内心で必死に叫ぶ。


 すると――


「あ、あの~……」


 おずおずと、リリーナが口を開いた。


 来た!


 救世主!


 そう思ったのも束の間――


「レインさんとフェリスって……その……そういう関係、なんですか?」


 いきなり直球!?


 思わず箸が止まる。


 空気が、さらに凍りついた気がした。


「え、ええと……それはね、リリーナ……」


 言葉に詰まる。


 何て説明すればいいんだよこれ!?


 頭の中がぐるぐるする。


 その時――


「ゴホン」


 レインが軽く咳払いをした。


「リリーナちゃん」


 落ち着いた声で続ける。


「俺とフェリスは――付き合っている」


 え!?


 思考が止まる。


 初耳なんですけど!?


 だが、そんな俺の動揺などお構いなしに――


「やっぱり!」


 リリーナの顔がぱっと明るくなる。


「そうだと思ってました!」


 満面の笑み。


「兄妹にしては仲が良すぎるなあって、ずっと思ってたんです!」


「はは……」


 レインが苦笑する。


「実は、そうなんだ。今まで内緒にしていてすまなかったな」


「全然いいですよ!」


 リリーナは気にした様子もなく頷いた。


「私、薄々気づいてましたし」


 観察力高くない!?


 思わず心の中でツッコむ。


「それで……」


 リリーナがさらに身を乗り出す。


「このこと、家のお兄は知ってるんですか?」


「いや」


 レインは首を横に振った。


「レッドは知らないはずだ」


「そうなんですね」


 ……ああ。


 想像してしまう。


 もしレッドに知られたら――


 めちゃくちゃ落ち込むだろうな……。


 ちょっとだけ、申し訳ない気もする。


 すると、リリーナがにやりと笑った。


「じゃあ、このことは――」


 指を一本立てる。


「私たち三人だけの秘密、ってことで」


「え?」


 思わず聞き返す。


「何で?」


「だって――」


 リリーナはくすっと笑った。


「お兄が恋のピエロになってる姿、面白そうじゃないですか」


 おい。


 なかなかに酷いことを言う。


 ……いや、でも。


 ちょっとだけ想像してしまう。


 確かに……ちょっと面白いかも。


「リリーナちゃんがそれでいいなら、俺は構わない」


 レインはあっさりと同意した。


「私も……いいよ」


 流されるように頷く。


「よし、決まりですね!」


 リリーナは満足げに笑い、拳を軽く握る。


「これからは三人で、お兄のピエロっぷりを見守りましょう!」


 勢いよく手を上げるリリーナ。


 レッド……。


 心の中で、そっと手を合わせる。


 ご愁傷様です……。


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