第101話 黒竜の背にて
風が心地いい。
俺がシャノンさんの背から落ちないように、レインが後ろから少し強めに抱きしめてくれている。
これがシャノンさんの、黒竜の背に乗っているという状況でなければ、間違いなくレインにキスされてるな。
俺の中ではホッとした気持ちと、残念に思う気持ちが二つある。
徐々にではあるが、俺はレインの事が好きになっているんじゃないだろうか?
まあ、元々嫌いではなかったからな。
けどなあ……。
外見は少女なのに、中身は成人の男だからな。
正直、男を好きになるのは抵抗がある。
どちらかと言えば……。
女の子を好きになりたい!
この先、俺が恋に落ちる女の子は現れるのだろうか?
それとも……。
「レインさん、サイダール方面の海岸付近に降りるという事でよろしいですか? 村まで行ってしまうと、この状態では目立ち過ぎてしまうので」
「ああ、それで構わない」
「分かりました」
高速艦スカイラールの時よりも、シャノンさんの黒竜での飛行の方が速い気がする。
普通なら、そんな速度で飛んでいたら背になんか乗っていられない筈だけど、乗れているのはレインが何らかの魔法を使ってくれているからだろう。
「フェリス、寒くないか?」
「うん、大丈夫だよ」
俺の背中に、レインの温もりが伝わる。
俺は……。
レインに、大事にされているな。