第10話 フェリスの幼馴染
次の日の朝、幼馴染のリリーナとともに村にある小さな教会へと向かった。リリーナ・オルトは、俺と同じ一五歳の女の子。快活で、とても優しく、俺にとっては掛け替えのない親友だ。この村には学校と呼べる建物がない為、平日は教会で勉学に励む。ちなみに、このサイダールの村には、八○人程の人達が住んでいる。豊かで広い土地がある為、農業をやってる人が多い。
「ねえ、フェリス?」
「何?」
「昨日、レインさんと一緒にカルデラの町へ行って来たんでしょ?」
「うん、行って来たよ」
「良いなあ、私も一緒に行きたかったなあ」
リリーナを誘わなかったから、少し拗ねてるみたいだ。
「お兄ちゃんがどうしても、私と二人だけで行きたいって言うから。本当はリリーナを誘いたかったけど、それで誘えなかったの。ごめんね」
「なるほどね。レインさんはフェリスの事、大好きだから、休日くらいは独り占めしたかったのかもね」
「ははは……。そう……かもね」
妹を独り占めしたいは、かなり危ないけどな。
「でも、昨日は大変な一日だったよ」
「そうなの?」
「うん。だって、骨董屋さんで、転移の鏡に触れてしまって、死の森まで飛ばされちゃったから」
「え、本当なの!?」
「本当だよ」
「死の森って、怖い魔物が沢山いるんでしょ!? よく無事に帰って来れたね!?」
「ああ、まあ……。お兄ちゃんが、居たしね。私だけだったら、死んでたと思う」
「そっか、レインさんがフェリスの事を護ってくれたのね」
「うん」
もう二度と、死の森へは行きたくねえ!
「だから、リリーナは一緒に行かなくて良かったと思う」
「そっかあ、そんな大変な事があったんだね」
あっ……。昨日、死の森へ転移した事を、リリーナに話しちまったが、まあ黒竜王の事は言ってないから大丈夫だよな。ははっ。