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ヒューマン日間ランキングで10位にあがってこれました!
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自室に戻るとなんだか変な感じがした。
そこに在った筈の物がない。そんな感じだ。
屋敷では何時も側に居てくれるアニーを見た。
『アニー、なんか部屋が変な気がする』
「変でございますか?」
『何か足りないような・・・!!』
何が足りないのか必死で探す
『ダニエルのぬいぐるみが無いわ!それにダニーの剣も!』
アニーがハッとして他に何か無くなっている物が無いか捜し始めた。
他の家人達を呼び、部屋から物が無くなっていると伝えると、大騒ぎになった。
お祖母様は私の部屋には入っては居らず、家人達も掃除の時以外何も動かしていないと言った。
何が無くなったか捜してみると些細な物が色々無くなっていた。
子供のおもちゃ程度のネックレスや指輪に髪飾り。
本物のアクセサリーは金庫に入れていたのでそれらは無事だった。
『無くなった物は他人には価値のないものばかりでした』
「そう・・・」
お祖母様もあの子のことを疑っているのだと思った。
『他人には価値がなくても、私には絶対に失くせない物。ダニエルのぬいぐるみや剣だけは絶対に許せない』
「そうね。ニコル、貴方の部屋を見せてもらってもいいかしら」
「い、いやです!」
初めてニコルの声を聞いた。
「でも、疑いは晴らしておいた方が良いと思うのよ。今調べないとずっと貴方が盗んだと思われ続けてしまうもの」
「絶対に私の部屋には入らないでください」
その時おずおずと「ニコルお嬢様の部屋にダニエル様のぬいぐるみがあるのを見ました」と家人の一人が言い出した。
「エリーお嬢様が差し上げたのだと思っていまして・・・」
家人の言葉にお祖母様がニコルの部屋へ向かった。
部屋に入ると、私よりずっと多くの物を持っていた。
ぬいぐるみも、服も、何もかも。
その中からダニエルのぬいぐるみと剣が見つかり、その他諸々も全て出てきた。
「エリー。私がニコルを叱るから今回は我慢してくれる?」
首を大きく横に振る。
「お願い。間違いは誰でも起こすと思うの、許してあげて」
『謝りもしなかった!』
「そうね、悪いことをしたという意識が少ないのかもしれないわ。ちゃんと教えていくわ」
祖母の困った顔に渋々首肯くしかなかった。
『部屋に入れないようにして欲しい』
「ええ、そうね。エリーの部屋に鍵をつけましょう」
それで納得するしかなかった。
自宅でお茶会を開催するという宿題が出ていたが、私の招待客はレイモンドと祖母の2人だけだ。
祖母はニコルも誘おうと言ったが、私は了承しなかったし、ニコルも参加するとは言わなかった。
お茶会の準備を進めていると「いい笑顔をしていらっしゃいます」と何人かの家人に言われ、恥ずかしかった。
準備の合間にその他の宿題も片付けていく。
お茶会で成績が取れない以上、他の事を頑張らないといけない。
机に向かって計算問題をやっている時、アニーが話しかけてきた。
「お嬢様はお勉強が好きなのですか?」
『好きではないわ。でも、他の人より劣るから出来ることはしておかないと後で自分が困る』
「そういうものなのですか」
大きく首を縦に振って笑った。
「ニコルお嬢様はお勉強が嫌いなようです」
『そう』
「来ていただいている家庭教師の先生を追い返してしまうようで、奥様が困っていらっしゃいました」
『お祖母様も大変』
アニーがニコルの話をするのは私がそう頼んだからだ。
学校へ行く前のように意識から締め出しているだけでは駄目だと学校で学んだ。
何事においても知らないよりも知っている方がいいと教えられた。
だから嫌いなニコルのことも知ろうとした。




