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楽しんでいただけたら幸いです。

凶行は続きます。

 私は恐怖から声も出なかった。

「俺はエルシーを愛せないと何度も言ったよな?!それを無理やり結婚させて男の子を産めと言ったから作ってやっただろう。だからエルシーにそっくりな子供なんか要らないじゃないかっ?!」

 そう言って祖父を突き飛ばす。

「俺が愛したチェリーは俺をずっと待っていたんだよ。待って、待って、やっとチェリーのところに行けたと思ったらニコルを産んで死んでしまった」

 よろけた祖父を置いて、その間に父が私に近寄る。

「その可愛いニコルをお前達に奪われ、残されたのがここにいるエルシーそっくりな子供だ」

 ベッドの上から動けない私は声も出ず、何も出来ずにただ父を見ていた。

「エルシーもニコルの面倒を黙って見ていればいいのに、ぐずぐず言いやがって、その挙げ句自分そっくりな子供を残して出ていきやがってっ!!うっ・・・」


 いきなりゴンっという音がして父が頭を押さえて(うずくま)

 祖父が何かで父の頭を殴った音だった。

「馬鹿なことを言うなっ!エリーも血を分けたお前の子だろう。以前はあんなに可愛がっていたのにどうしてこんな酷いことをっ!」

「可愛がっていた?可愛いなんて思ったことは一度もなかったよ。エルシーそっくりな顔で笑いかけてくるんだぞ。(おぞ)ましかったさ。向こうのジーさんとバーさんが居たから仕方なかったんだ。愛したことなど一度もない。俺はこいつを殺して自由になるんだっ!!ニコルを取り戻す!!」

 自分の言葉に酔いしれて恍惚とした顔で立ち上がり、私に剣を向けた。

「バカなことはやめなさい。子供達をお前の目に入らない所に連れて行くからっ!」


 殺されるのだと冷静に思った。

 開かない目で必死に父を睨みつけた。

 父は剣を振り上げ私に向かって振り下ろした。

「やめなさいっ!!」


 痛みを堪らえようと歯を食いしばったが、痛みがこない。

 いつの間にか(つむ)っていた目を開き、私が見たものは、私をかばったダニエルが斬られていた。


「ダニエル・・・?うそ、なんで?ダニエル」

 手を伸ばしたくて動かそうとするが体が動かない。

「エリーはぼく・がま・もる・・・」

 ベッドに一条の血の跡を残しながらダニエルがズルリと崩れ落ち、床でドタンという音が鳴った。


「ダニエル!ダニエル!お願い!返事してっ!」

 ダニエルからの返答はない。

 祖父と父が何かを叫んでいたが何を言っているのか理解できなかった。

「ダニエルーーーっ」

 父はダニエルを見下ろし「ま、仕方ない」と言った。

 その言葉だけはっきり聞こえた。


 仕方ないって何?

 私の絶望を見て父は「フッン」と言って嬉しそうにした。

「ダニエルを殴った方がよかったのか・・・」

 えっ?


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