13 最終話
これで完結です。
ここまでお付き合いいただいてありがとうございます。
祖母からレイモンドに宛てた手紙が何通も出てきた。
内容はどれも似たようなもので私のこととニコルのことを気にかけていた。
ニコルを気にかけてやって欲しい。
もし、人を恨むことを止めているようなら修道院から出してやって欲しい。
ニコルが修道院に入れられた詳細も書かれていた。
家人から私の部屋の鍵を盗み出し、鍵を開け今度は気付かれないよう部屋の中を漁っていた。
前回ばれてしまったが、鍵をかけたことで気が緩んでいるだろうと普段は目に付かない物を盗んでいた。
部屋を漁っているときに人の気配がして慌てて部屋を出たが扉を閉めきれず、人が来た。
服装を見て異母姉だと当たりをつけて階段から突き落とした。
エリーに並々ならぬ殺意を抱いていたので、更正していてもエリーには近づけないで欲しい。
離れた場所で暮らしていけるようにしてやって欲しい。と書かれていた。
祖母は私もニコルも愛していたのだろう。
その手紙を見つけてレイモンドは修道院へ様子を見に行った。
レイモンドには更生しているかどうかの判断はつかなかったので院長に尋ねた。
更生はしていないと思われるが、修道院で面倒を見るのはもう、無理だと言われていた。
洗礼の時から人を呪い、数多の人を殺してやると言った。
ニコルが食事当番の時は体調不良になるものが多く出て、それが、あまりにも続くのでニコルを食事当番から外した。
洗濯をさせると、草の汁で衣類を駄目にしてしまう。
掃除をさせると物を必ず壊す。
水汲みをさせるとやはり体調を崩した。
もっと厳しい所に移して欲しいと頼まれていた。
十二~三歳の子がしていることだった。
レイモンドは別の厳しい評判の修道院に移していた。
そこに入れた頃、ニコルは半狂乱になって暴れることもあったが、数年掛けて落ち着いていった。
そこの院長によそに移しても大丈夫と言われ、その修道院の近くで小さな家を買い、ニコルに与えた。
そしてレイモンドは時々様子を見に行っていた。
近隣の人にも金を握らせ様子を知らせるよう手配していた。
ニコルの最後の証言で刑が決定した。
私、お異母姉様が憎くて仕方ないの。
なぜこんなに憎いのか解らないの。でも殺したい程憎いの。
私からお父様とお祖母様を取り上げるんですもの。
だから私も取り上げてもいいわよね。
レイモンドを。
まだ残っているわ。子供がいるでしょう?
早く会いたいわ。私はその子と仲良くしたいの。
指を一本ずつ切り分けるのはどうかしら?
どう思う?
ああ、お異母姉様に見ていただくのはどうかしら?
きっと喜んでくださると思うの。
ああ、お異母姉様を早く殺したい。
必ず殺してやると毎日誓っているの。
ニコルは日をおかず斬首された。
私は右足が少し不自由になり、肩の傷が元で左手が動かなくなった。
それでも生きていてダニエルとダイアナを抱きしめることが出来る。
ニコル、あなたは死、私は生きている。
私は幸せよ。
Fin




