表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/95

88,箱入り令嬢の奇策と失策

「ここがビルコン山脈採掘場になります!」


 ジーエは高らかな声が、冬のすんだ空気に響く。

 令たちはジーエに案内され、洞窟にやってきていた。



 今朝、各自朝の支度を済ませ待機しているとジーエがやってきた。ちなみに今回の朝ご飯はシチューだ。


「皆さま、おはようございます!ニージャ様に聞いて参りました!」


 各自テーブルに集まる。


「魔石を回収したいとのことだったのですが、実は問題がございまして……」

「問題……?」


 ワンミが首をかしげる。可愛い。

 ジーエは気にせず、進める。もっと見惚れる時間はないのか。


「はい!実は我々が使っていた洞窟なんですが、ドワーフに占拠されてしまいまして……」

「ドワーフ?」


 令は初めて聞く単語に質問する。ジーエは意気揚々と答える。


「ドワーフとは種族のことです。人間族と違い、身長は小さいですが力があります。洞窟内で自由に動けることをいいことに占拠されてしまいまして……しかも彼らは非常に強力な種族、人間が歯向かうことは不可能なのです……なので申し訳ありませんが……」

「構わないわ!その洞窟取り返しにいきましょう!じれったくて、早く行きたいわ!」


 薫が立ち上がる。おそらく本音が漏れる辺り、ジーエにやきもきしているのだろう。

 ジーエはオーバーリアクションのように手を動かしながら、


「いえいえ!先ほども言いましたがドワーフは非常に強いのです。貴方がたの実力もあるのかもしれないのですが、非常に危険なので辞めた方がいいかと!」


 令は心の中で念話と発し、


『奈央さん、どう思いますか?』

『ぶっちゃけきな臭いです』

『分かりました』


 令は一呼吸整え、


「構いません。ドワーフからその洞窟を奪還してみせます」

「ええ……?」


 令はあえてこの択を選ぶ。

 相手は驚く。本来なら本当にドワーフが脅威なら恐怖の顔をするが違う。


(どうする……?)


「……分かりました……ではその洞窟に案内します!」


 ジーエは以外とすんなり切り替えた。

 薫は楽しそうに立ち上がり、出発の準備を始める。

 こうして洞窟に向かった。



(さて……)


 洞窟に着き、令はこのきな臭いカードをどう打開するか、頭を捻る。


『奈央さん、何か気づいたことはありますか?』

『あの村と隣接している洞窟があったのも関わらず、この洞窟にきました』

『そうですか……』


 ますますきな臭い、しかし魔石は手に入れたい。


『とりあえず目的果たして早く帰るのはどうですか?寒いですし!ワンミがずっとくっついて来るので!』


 可愛い理由。


『分かりました』


 とにかく慎重に進むしかない。今回の目的は貿易よりも魔石の入手。クルギアスラ村以上にきな臭い村は令も早くおさらばしたかった。

 ドワーフには申し訳ないが、戦闘に関してはなんとかなる。もちろん令も頑張るが、ドラゴンを一人で討伐した奈央がいる。


「健闘を祈ります!」


 ジーエに見送られ、令たちは慎重に足を前に進める。


 洞窟は入ってしまえば、トンギビスタ村の洞窟と見た目はそんなに変わらない。違うのは気温の方だ。凍えるように寒く、令はポケットにあるカイロを手に取る。

 昨夜カイロを作って正解だった、後ろを見ると薫も同様に震えながらカイロを手でかみしめている。

 令は空いてる左手から火の玉で周りを照らしながら進んでいく。

 洞窟をどんどん深く入っていく。すると少しずつ寒さはやわらいできた。

 洞窟は行き来しやすいように広めに作られている。

 令は周りの気配を勘ぐるが静か。

 どんどん進む。300mくらい潜っただろうか。

 静かな洞窟を進む。

 まだ目的のドワーフとは遭遇しない。

 どんどん潜っていく。かなり深くまで進んだ気がする。

 すると、


「皆さん、行き止まりです」

「あら、ドワーフいないじゃない!」

「令さん、薫さん、静かすぎます。ワンミも気をつけて」

「うん」

「確かに言っていたのと違うわね……だけど見てよこれ!キラキラしているわ!」


 薫が少女のように喜んでいる。その先を令は確認すると、細かな魔石が大量に散りばめられていた。

 薫が壁に火球ライトを近づけながら、


「これが魔石よね?火に反射して凄い綺麗だわ!」

「……!みんな危ない!」


 奈央が声を荒らげた瞬間、地面が揺れる。


(え?)


 瞬間、上から岩のなだれが起こる。


「つかさちゃん直撃!」


 薫に押され深部の横壁に激突する。痛いが薫が魔法を使っていなければ、令はなだれに巻き込まれていた。

 岩なだれはすぐに止んだが来た道が封鎖されていた。閉じ込められた、令のみ。


「皆さん!大丈夫ですか?!」

「あ、つかさちゃん無事でよかったわ!待ってね今これ壊すから!」

「待って薫さん!ドワーフ!先に対処!」


 奈央の掛け声と共に、薫たちの気配が消えていった。ドワーフと戦闘をしているだろうか。

 だとすれば早めにこの岩なだれをどかして合流しないといけない。

 令は安全を考慮して雷魔法を使用する。


「かみなり!」


 なだれした岩々に激突する。しかしびくともしない。


「そんな!」


 令の攻撃魔法が通じない。令はバフ魔法に特化しているとはいえ、攻撃魔法もある程度使え自信があった。

 もう一度、


「かみなり!」


 掛け声こそ、ひ弱に思えるかもしれないが、イメージを強めこれでもかと威力を高めている。

 しかし岩々は焦げたように色が変化するだけで何も動かない。


「どうして!」


 令は完全に閉じ込められた

作者:ブックマーク登録、いいね!評価いただけると励みになります!気軽によろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ