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4,フェミニスト第一村人発見

注;これはあくまでフィクションです。

 昼下がり、薫たちはお昼ご飯を取っていた。


 王都から西に5日間くらい歩いていた。


「こ、これ本当にたどり着くんすか?」


 奈央が不安そうに薫と令に尋ねる。薫は同情しながら答える。


「西のこの道なりに、少し進んだ方にトンギビスタという村があると言っていたけど……全然少しじゃないわよね……こちらの世界では1週間くらいの移動は少しになるのね。建物を数日見ないと結構不安になるものね……」

「そ、そうなんすよ……自分も田舎に住んでいたのでこういうことに慣れていたつもりでしたけど、レベルが全然違うっす……」

「前の世界も、昔は東京から大阪にいくのにかなりかかっていたらしいものね、それと同じ感覚なのでしょうけど、大変だわ」


 令が奈央たちに微笑みながら答える。


「大丈夫です、予定では今日の午後には着くはずです。王が距離を間違っていなければですが」

「ふ、不安っす……あの王なんで……」

「そうですね、でも私はこうして冒険しているが楽しいです!前では絶対できないことだったので……」

「そ、そうっすね、これでよかったっす」


 そう話している2人を薫も頷きながら見ていた。そして令が少し渋い顔になることに気づく。


「ただ私はこの食事に慣れなくて……乾燥させたものをそのまま食べるとういうことをほとんどしてこなかったので……」

「あら?アロリーメイトとか干し芋を食べたことがない感じ?ワタシは似たものだと思っていたけど」

「そ、そうっすね。自分もそんな認識で食べているっす。でも……肉食べたいっす……」

「食べ盛りですね。でも他人事ではないかも、私もなんだかお肉料理を食べたいです」

「身体がタンパク質を求めているみたいよね、ワタシもだわ。年齢的にという感じよね、こんなこと思うの何十年ぶりかしら」

「料理文化もまだまだみたいですからね、私頑張ろうかな……」


 令の目にはやる気がこもっていた。魔法とういう電化製品があるから……きっと応用すれば……令がそんな独り言を呟く。


(よっぽど暖かいご飯が食べたいのね)


 奈央が周りを見渡しながら話を切り出す。


「そ、それにしてもずいぶん平原が続くっすね。山を見てないから凄い違和感っす」

「そうねぇ、この大陸イ・クワリティだっけ?相当広そうよね」

「王都の方たちがいうところだと、凄く広く発見しきれていない場所が数多にあるらしいです。ユーラシア大陸を軽く超えるかもですね」


薫、令がそれに答える。

令の話を聞いて、薫は細い目をしながら話す。


「それを移動手段徒歩のみでしょ?発見しきる前にワタシたちが先に老衰してしまうわ!」

「や、やっぱり馬とか欲しいっすね……それに乗ったことがないから乗ってみたい……」

「奈央さんは乗馬したことがないのですね、楽しいものですよ」


奈央、令が答える。そうしてお昼はあっという間に過ぎてゆく。


(こうして和気藹々と話すのは何年ぶりかしら)


薫は思った。こうしてお昼を楽しく話すことに、給食の時の懐かしさと暖かさを感じながら。



「あ!建物っす!」


 昼食後、ほどなくして目的地が見えた。奈央は興奮しながら指さす。


「令ちゃんが言った通りなんとか着いたみたいね。長ったわ……」

「いえいえ王がしっかり教えてくれたおかげですよ。とはいえ私も疲れましたね」


 薫、令も安堵するように話した。


 トンギビスタ村、王都以外の住人に会うのは薫たちにとってこれが初めてだ。以前から王の使いが何回かアポを取っていたようなので邪険にされることは無いというが、少し緊張する。

 早速門前まで進んだ。しかし出迎えがない。見張りはいないようだった。薫は軽く村の様子を見てみる。木造の三角屋根が特徴的の異世界ゲームの定番といえば……という見た目に感じた。いざ目の前にあると不思議なものだなとも思った。

 ただ気になるのは住人がまったくといっていいほどいない、閑散としていた。


「なんだか随分寂しい村ね、お出迎えもないみたいだし」

「そうですね、人はそこそこいると聞いてきたのですが、少ないですよね……」

「い、いないわけではないみたいっすよ。あそこに……あ、え、こっちに来るみたいっす」


 奈央が示した方向を薫、令が確認する。こちらに駆け足で来る者がいた。女性、この村と思わしき民族衣装を着こなし、引き締まった見た目で貫禄を感じさせる雰囲気だ。

 彼女は薫たちに近寄って早々に話した。


「村にようこそ!立ち話は危ないからこちらにお願いします!」


 そう言ってこの村でかなり大きい家を示し誘導された。薫たちは従いついて行った。



 家の中はかなり広々していた。だが木造造りのせいか、暖かさを感じ落ち着く雰囲気があった。


 彼女に誘導され、そのまま応接室に入った。彼女はおぼんを持って薫たちの応接室に戻る。


「せかしてしまって申し訳ないです、ちょっとお外は今は危ないので……こちら、この村で取れた葉の飲み物になります」


 そう言いながら薫たちの前に出した。久しぶりの暖かいものにありつけたことに嬉しかった。


「あら!紅茶!?いい香りだわ!」

「あ、あったかいっす」


「ありがとうございます、さっぱりしていてその中に少し苦味があり、美味しいです」


 薫たちは彼女に、それぞれに伝えた。


「ありがとうね!この村の名産品なの!何もない村だけど、この葉がこの村の唯一の収入源だからね!大事に育てているわ。自己紹介がまだだったわね!私はこの村の村長をしているメイと言います。よろしくね!さっそく本題だけど君たちはゴマットンからきた人達よね?来ていただいたのは非常にうれしいけど、実はあれから問題ができちゃって……」


 そうメイは後半から声のトーンが落ちていった。


 薫たちのことはメイから見ると、王都の使いの者に見えるようだ。間違っていないが、あの王の……と思うと薫は少しげんなりした。

 メイは息を落ち着かせてから本題を話す。


「まずお出迎えが遅れちゃってごめんなさい、先ほど言った通り、村は脅威に脅かされてお外は危険なの……キングオークじゃないわね、見た目的にそう言っちゃうけど、正確にはプリンセスオーク率いるオークの群れが、近くに巣を作ったらしくて……働き頭が欲しいらしくて、村の男を連れていってしまうの……ウチの夫も見事につれていかれて困っているの。まだ女性は大丈夫だけどこっちの男たちがね……特にイケメンがいないのは困りものだわ!」



 最後はメイ自身の気持ちが乗ったいたようだが、薫は親身になって聞いていた。やはりイケメンは大事だ、と。

 どうやらオークの村は不定期でこの村に強襲しに来るらしい。男性はまだ何名か残っているがいつ襲われるか分かったものじゃないので、実質軟禁状態らしい。

 この状態が2ヶ月くらい続いているらしく、村人はかなり精神的に参ってしまっているようだ。


「来て早々にこのようなお願いするようで大変申し訳ありませんが、どうかこの村、トンギビスタを助けてほしいです、もし救援いただけたら、ゴマットンの傘下に……」


 メイは深々と頭を下げる。薫はバツが悪そうに答える。


「傘下なんて……ワタシたちは友好関係を結んで交易がより良くなれたらと思ってきたのよ。それに傘下になったら絶対あの王、ろくなお願いしないから!しかしオークね……ワタシたちでどうにかできるものなのかしら……」


 3か月訓練に励んできたが実践はさっぱりだ、自分たちがどれぐらいこの世界で通用するのか薫たちは少し不安だった。同様に令と奈央も質問する。


「そもそもなんでオークは男だけをさらうのでしょうか?」

「オ、オーク……その、プリンセスってどれぐらいの強さなんすか?」


 メイが二人の質問に答えようとした時だった。


「あら?アーシの話かしら嬉しいわねえ~」


 薫たちは声の主がメイでないことに気づき、確認する。そこには2mは軽く超えるであろう巨体がいた。その巨体がオークなのは一目で分かった。緑色の肌、筋肉質な身体、背中にはこん棒があり、薫がゲーム等で見たことのある、見た目だっただからだ。

 メイは驚き身構える。


「どうしてここに!どうやって!」

「あらぁ?見張りもさっぱりだったからここまですんなり来たわよぉ~。また人手が欲しくてねぇ~……ってあらぁ!男じゃない!若いじゃない!イケメンじゃない!それとあなたぁ、小さくて可愛い娘ねぇ、ちょうど欲しいと思っていたのよぉ。まとめて持って行っちゃうわぁ!ありがとうねぇ!」


 そう言いながらオークは薫たちの方に一瞬で詰め寄る、薫が戦闘態勢に入る前に懐に入り、オークは薫たち3人をまとめて抱擁する。抱擁とはいってもそれがオークの膂力ともなれば薫たち3人を気絶させるには十分過ぎた。

 米俵のように求め上げながらオークは薫たちを運んだ。薫は脱力していく意識の中でまた気絶することを悟る。


(また気絶なのね、何回目かも忘れちゃったわ……)


鴨鍋ねぎま:出会いはいつだって衝撃的にあるものです(物理)。

赤烏りぐ:いつもどおりリグさんです!まさかの展開に驚きが隠せません!薫の運命やいかに!

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