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謁見

「アウルム様、入場なされます!」

 

 大勢の偉い人たちの前を歩いて行き、玉座の前で止まる。王様はまだいない。


「(ここで跪いて待つのよ)」

 隣にいたアリス‥‥‥がこっそり教えてくれた。


「国王陛下のご入場!!」

 盛大にラッパが鳴る。頭を下げているから見えないが前に誰か入ってきたのがわかった。


 その人物が玉座に腰掛ける。


「苦しゅうない、面を上げよ」


 顔を上げると、思ってたよりずっと若い王様がいた。

「余がタイタン王国国王ジークベルト・タイタン十三世である。其の方がアウルム殿か? いや、楽にしてくれ。誰か椅子を用意せい!」


 ざわざわし始めた。王様の前で椅子に座るなんて事あるのか?

「(こんな事今までにないわ)」

 アリスがこっそり教えてくれた。


 やがて椅子を二つ持ってきてくれて、そこに座るよう促された。


「其方は余の臣下でも民でもない。なのにこの国を救ってくれた。まさに我が国の救世主である。余の方こそ頭を下げるべきであろう」

「いえいえ、そんな勿体ないお言葉です」


「アリス嬢、久しいの。息災であったか? 叔父上にも大変無礼をした。是非詫びたいのだが‥‥‥」

「陛下、ご無沙汰しております。その旨お伝え致します」


「叔父上にはまだ教えてもらいたい事が山の様にあるのだ。可能であるなら戻って来て欲しいのだ」

「はい、それも併せてお伝え致しましょう」


「アウルム殿よ、ユピテル教団の教祖ユリウスとカリュプス侯爵は共に魔族であったのは知っておろう?」

「あ、侯爵様もでしたか。それは存じ上げませんでした」


「本教会には洗脳の魔道具が有ったのは知らぬか?」

「教祖だった魔族から少し聞きました」


「あの魔道具には他種族への嫌悪感を強める働きがあった様なのだ。恥ずかしい事だ、余も他種族に対して少しの嫌悪感があったという事なのだからな」

「あぁ、まぁ誰しも少しくらいの嫌悪感は有るかも知れませんよね」


「そう言ってくれるか、ありがたい。そして本当にすまなかった。余に出来る事が有ればなんでも叶えよう。言うてくれ」


 えっ! 

 そういう話になっちゃったのか‥‥‥。


「んー、では未開拓の地に住む許可とこの国で食料等の購入の許可を‥‥‥」

「ん? そんな事‥‥‥も苦労させておったのか。申し訳無い。それくらいの事はもちろん許可する。それだけでは余の気が済まん。もっとないのか?」


「では、他種族の差別の完全撤廃をお願いします」

「うむ、さすがじゃの。だがそれももう始めているところである。他には‥‥‥」


「他には特に‥‥‥」

「なんと‥‥‥欲のない‥‥‥」

「陛下、ワタクシから一つお願いが‥‥‥」


「言うてみよ、アリス嬢」

「このアウルムに爵位を与えてはいかがでしょうか? 後々、ワタクシの伴侶にと考えておりまして‥‥‥」


「おお、それは良いな。アウルム殿を我が国の伯爵と‥‥‥」

「お待ちください! 私に爵位は必要ございません。どうかご容赦を‥‥‥」


 周囲がざわざわし始めた。

 そりゃそうだろ、俺が貴族なんて有り得ない。それに成りたくもないし。


「爵位にも興味無しか‥‥‥。アリス嬢は公爵令嬢だからせめて伯爵位を授けようと思ったのだが‥‥‥」

「(アウルム! なんで断るのよ!?)」

「えぇ‥‥‥?」

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