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空飛ぶ戦艦(別視点)


「陛下!! グランホルストが!! 空に浮いております!!」

「船が空を飛ぶわけが‥‥‥‥‥‥」


 タイタン王国国王ジークベルト・タイタン十三世はその光景に言葉を失った。


 テラスに出て側近から望遠鏡を受け取る。


「カリュプス侯爵邸の方向に向かってますな」

「何者かが船から出たな。空に浮いている‥‥‥?」

「何者でしょうか?」


「先端に何かが付着した? アレは‥‥‥?」

「!!!! アレは魔族です!! あれ? でも首だけで動いてないですな」


「船が下向きになりましたな。あ、動いた。あれ? 落ちてませんか?」

 

 グランホルストの船首を下向きにカリュプス侯爵邸に落下した。


「皆、伏せよ!!」


ドッカーーーーーン!!!!


 大爆発による衝撃波と爆音が王城にまで到達した。

 王城の侯爵邸側の窓ガラスには全てヒビが入った。


 身を起こすジークベルト。

「全く何が起きたというのだ? 早急に調査せよ。特に今回被害のあった公爵邸とユピテル教本教会、グランホルストの残骸も重点的に。グランホルストに乗っていたであろう人物も特定して連行せよ」

「御意」


ーーーーーーーーーーーー


 その後の調査で侯爵邸とグランホルストの残骸から何かの角が複数、本教会からは魔道具の欠片が発見された。

 それを精査すると角は魔族のもの、欠片は「洗脳の魔道具」の一部である事が判明した。


ーーーーーーーーーーーー


「アウルムさん!! ご無事で!!」

「ただいま戻りました。イーリエさんは?」


「今、アリス様とシルヴィアさんの訓練をしているわ」

「あぁ、そうなんだ‥‥‥」


 訓練所をのぞいてみると‥‥‥

「ほれほれ! 綺麗な顔しててもモンスターは手加減してくれねぇぞ! さっさと動け!!」


「「‥‥‥‥‥‥」」

 アリス様とシルヴィアは例の如くひたすら走らされていた。なんか懐かしい光景だな。

 

「イーリエさん! 戻りました!!」

「お! おかえり、アウルム。このお嬢様たちは随分と体力が無いなぁ。ちゃんと動いて食ってんのか?」

「まぁ、アリス様は貴族ですし。シルヴィアもエルフなので‥‥‥」


「冒険者に貴族も一般民もあるかぁ!! 冒険者は常に生きるか死ぬかだ、そこには男も女もねぇ、エルフもドワーフも関係ねぇ!」

「「!!」」


「やるわよ、アリス」

「ええ、シルヴィア」


 二人は再びダッシュを続けた。やがて倒れる直前でイーリエさんの声が掛かる。


「よし、俺の腹が減ったから今日はお終いだ。みんな着替えていつもの所に集合! 20分後な」


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