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獣人スタンの忘れられない一日

 牛の獣人でタイタン王国に住んでいるスタンは妙に早めに目が覚めてしまった。

 虫の知らせというやつだろうか?


 スタンは毎朝「タイタンの角」の近くに行き祈るのが日課だった。この習慣はスタンに限らず多くの獣人が行っていたが、ここ数年で獣人の数はめっきり減り、祈りを捧げる獣人も激減していた。


 「ユピテル教」なる差別主義の宗教が流行り始め、獣人やドワーフ、エルフは国外に逃げる事が多くなっていた。


 身体が大きく力のあるスタンは労働力として優秀で、持前の優しい性格でヒト種の友人も多かったため、他の獣人に比べ差別を受ける事は少なかった。


 ただユピテル教の流行に伴い、生活し辛くなったのは事実でタイタン王国からの脱出を残った獣人仲間と悩んでいたところだった。


 夜も明けぬ薄暗い中「タイタンの角」の前で何か違和感に気付く。


 なんだろう? 何かが普段と違う‥‥‥。


と、考えていたところでタイタンの角が振動し始める。


 これはおかしい、異常だ。

 思うや否や、近くのハシゴによじ登り三つ鐘を鳴らす。

 これは災害の合図。火事であったり、モンスターの襲来であったり。鳴らし方で建物内に閉じこもったり、安全性の高い広い場所に避難したりする。三つ鐘は後者。



 やがて振動は大きくなり、地面を揺らし始める。


 恐ろしい!! この世の終わりだ‥‥‥。


 ヒト種も獣人たちもみんな一様に恐れ慄き、震えて動けずにいたが、スタンが檄を飛ばす。

「建物が崩れるぞ! 急いで外に出ろ!」


 いよいよ揺れが激しさを増した。これほど揺れると立っていられない。


 タイタンの角は魚のかかった釣り糸の様な動きでやがて宙に浮かんだ。


 大地の揺れが止まり、ほっと安心したのも束の間、見ていた者は状況が理解出来なかった。

 あの巨大な鉄の柱が宙に浮く事など誰にも想像する事が出来なかったからだ。

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