保護
「どこまで行くんだ?」
「とりあえずは私の住処まで‥‥‥」
みんなには俺が助けに来た経緯を説明した。
「そうか、アリスが‥‥‥」
「アウルム、あの子は無事なの!?」
「ええ、大丈夫ですよ。シルヴィアが診てますから。しかし王国は‥‥‥」
「もはや王国はダメだ。私たちは亡命するしかないな」
「アウルム、誰か伝手を知らないかしら? 私たち五人まとめて保護出来る方‥‥‥」
アリス様も含めて五人か。
うーん、政治とかの難しい話は俺はわからないしな、イーリエさんに聞いてみようかな。
誰に対しても差別なく対応してくれる人だからな。
「じゃあ先にアドベントの街に行きます。そこで頼れる人に聞いてみますね」
「すまないな、アウルム」
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「まったく、面倒な話を持ち込んでくれるなぁ、アウルムよ?」
「いや、うーん。すみません、イーリエさん」
「いや、まぁお前のせいじゃないけどな。大丈夫か? アウルム、お前の方が心配だよ」
「まぁ、多分。大丈夫だと思いますよ」
「そっちの方はなんとかしてみるよ。嫁さんが待ってるぞ。早く帰ってやれ」
「ありがとうございます」
とりあえずあとはイーリエさんに任せて家に帰るとするか。
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家の近くまで来たが‥‥‥、なんだこれは?
騒がしいな、人か? 誰か‥‥‥、いや。
嫌な予感がして探ってみると‥‥‥、いた!! シルヴィアだ、アリス様も一緒だが‥‥‥?
襲われている!?
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私はアリス・クリューソス。
迂闊だった。どうやら私は尾行されていたらしいわね。
森に入るまではかなりしつこく追って来てたのに森に入ってからぱったりと無くなったので安心してしまったの。
その後森の中で力尽きて、倒れていたところを助けてもらった。なんだか久しぶりの雰囲気、誰だろうと思ったらなんとアウルムだったの。驚いたわ。
私は以前のようにアウルムに助けを求めた。
お父様、お母様を助けてほしい、と。
アウルムは相変わらず優しかった。
隣にいたエルフ? の奥さんかな? に何か言って出て行った。
シルヴィアさんというのね。
アウルムの奥さんで間違いない、エルフ特有の美しさ、今の朦朧とした頭で見たらそれはもう女神様のように思えたわ。
シルヴィアさんは回復魔法を何度もかけてくれた。お陰で少しずつ体力も回復してきて起き上がれるようになった。でも代わりに少しシルヴィアさんが疲れてしまったみたい。
「大丈夫よ、休めばすぐに戻‥‥‥!!! 何かいる!?」
シルヴィアさんは窓の横に貼り付けてそっと外を覗き見る。反対側の窓も同じように見る。
「‥‥‥囲まれてるわ」
「あそこにいるに違いない!! 燻り出せ!!」
連中は弓の先に火のついた矢を全方位から放ってきた。
地上から高く設置しているこの家に逃げ場は無い。シルヴィアさんと私は意を決して飛び降りた。
「!!!! こいつはいいや! エルフじゃないか!? 教祖様からまた褒めていただける! 生捕りにするぞ!!!!」
「「「はっ!」」」
ざっと見て20人はいる、みんな屈強な身体に頑強な装備だ。これはマズイわね。
シルヴィアさんも少しはやる様だが、二人ではさすがに分が悪いわ。
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